渚とばかり遊んでいたことをクラスメイトに囃し立てられ、思春期特有の照れ隠しから、好きじゃない、と否定した。それを証明するために渚との約束を連絡なしにすっぽかし、クラスメイト達と校庭でサッカーをして遊んだ。その次の日からだ。渚が学校に登校しなくなったのは。プリントを毎日届けても、渚の母親しか対応してくれず。話したい、とお願いしても「風邪をうつすと悪いから」と門前払い。二階の渚の部屋のカーテンは固く閉じたままだった。いつも玲が遊びに来ると必ず、あの窓から顔を見せてくれるのに。渚を怒らせてしまった、と玲は思った。体調が悪いのは本当かもしれない。でも、自分が家の外から渚を呼んでも返事さえしてくれないのは、連絡もせずに約束を破ったことに腹を立てているんだ。玲はポストに手紙を毎日残した。学校に登校してこなくなった前日、渚との約束の場所に行かずにサッカーに行ったことを必死に謝った。それから、『わんちゃんの子犬が産まれたよ。今度こそ、一緒に見に行こう』『駄菓子屋に行こう』『夏祭り、今年も一緒に行こう』約束の場所と、時間も書いた。だけど、渚は来なかった。(渚もあの時、こんな気持ちだったんだ)約束をすっぽかしたことを後悔しない日はなかった。手紙には、学校での出来事も事細かく書いた。渚が登校しても、知らないままで寂しくならないように。だけど、一度も返事はなかった。玲は諦めず、毎日欠かさず手紙を残したが、三ヶ月後に突然それは終わりを告げた。相良の家の窓から見えていた、明るいピンクのカーテンが消え、二階の渚の部屋の花柄のカーテンも消えていた。町中を探しても、見つからなかった。子供の足で行ける範囲なら、どこまでも行った。担任に聞いても、両親に聞いても、誰も知らない。何も聞いていないと返ってくる。空っぽになった旧相良家の前で玲は立ち尽くした。(俺が約束を破らなければ……渚は俺の隣にずっといてくれたのに)その日から、玲の世界は色をなくした。抜け殻のように生きてきたある日――八年ぶりに渚と再会した。――俺の唯一、俺の光。失ったら、生きてはいけない俺の命。愛しているから、傷つけない。大事だから、傷つけない。(でも、俺の本性を知れば、絶対に嫌われる)俺の命を失ってしまう。愛しているから、壊せない。だから、壊さない
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