※ 案内された部屋は、想像していたよりずっと狭かった。 パイプ椅子が輪になって並べられ、すでに数人が座っている。年齢も性別もバラバラで、共通しているのは、誰もが少し俯き加減で、視線を合わせようとしないことだった。 渚は空いている椅子の中から、入口に近い席に腰を下ろした。膝の上で、指先が無意識に絡み合う。「初めまして、渚さんですね」 進行役らしき女性が、柔らかい声で名前を呼んだ。渚は小さく頷くことしかできなかった。「今日から参加される方が一人います。緊張されると思いますが、ここはお互いのプライバシーを守るため、下の名前だけで呼び合う安全な場所です。話したくないことは話さなくて大丈夫ですよ。ここにいるだけでも、十分な一歩ですから」 輪になった椅子を、渚はぐるりと見渡した。 誰も、渚の顔をじっと見つめてこない。値踏みするような視線も、同情するような視線もない。ただ、静かにそこにいる。「昴くん、今日もよろしくね」 進行役の声に、渚の視線が動いた。 斜め向かいに座っていたのは、思いのほか若く見える男性だった。丸みのある輪郭、大きな瞳、あどけなさの残る顔立ち――男性、という言葉から連想する威圧感が、まるでなかった。むしろ、女の子と見間違えそうなほど柔らかい印象だった。「はい、よろしくお願いします」 昴と呼ばれたその人は、軽く笑って会釈した。人懐っこい、屈託のない笑顔だった。 渚の身体は、強張らなかった。(あれ……) 自分でも意外だった。橘や和樹のように「安全だと確信できる理由」があらかじめ開示されているわけでもないのに、目の前の彼には、不思議と恐怖や警戒心が湧いてこない。 昴が渚の視線に気付き、にこりと笑いかけてきた。「初参加なんですね。緊張しますよね、僕も最初はそうでした」「……はい」 声が、思ったより自然に出た。 進行役が場を整え、輪の中で一人ずつ、今週あったことや胸の内を話し始める。 誰かが、震える声で職場
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