家に戻ると、使用人が夕食を用意していた。食事を済ませた紗寧は、そのまま2階へ上がった。風呂から出たところで、スマホが震える。駿人からのメッセージだった。【義姉さん、荷物は届きましたか?】紗寧は、箱を階下に置いたままだったことを思い出した。駿人が何を送ってきたのか確かめようと、急いで取りに行く。包装を解く前に、またメッセージが届いた。【じゃあ、うまくいったら次の事業に貝原明文さんも噛ませて、利益を分配しますよ。それならどうです?】紗寧の目に、かすかな光が差した。貝原家の会社は、このところ経営が思わしくない。豊水の事業を頼りに持ちこたえるつもりだったが、豊水に問題が起きてからは、その計画も止まっている。駿人が貝原家に手を貸してくれるなら......【分かりました。やってみます】駿人はすぐに返信してきた。【やった!義姉さんならきっと頷けるって、信じてました!じゃあ、さっき教えたように蒼士さんに甘えてみてください。義姉さんにお願いされたら、きっと断れませんって!】「甘えて」という言葉を見て、紗寧は耳を赤くした。彼女は急いで階下へ行き、牛乳を温めて、蒼士の書斎へ持っていった。蒼士は仕事をしていた。顔を上げると、牛乳を手にした紗寧が入ってくる。「ずいぶん気が利くな」紗寧は頬を赤らめ、机にカップを置いた。「あの......温かいうちに飲んでください」「ありがとう」蒼士は牛乳を置いたら彼女は出ていくだろうと思った。だが、しばらくたっても紗寧はその場に立ったままだ。「何か用か?」「その......」蒼士は片眉を上げて彼女を見た。「ん?」紗寧は唇を結んでから尋ねる。「駿人さんが話していた専用の狩猟場って、北城にあるんですよね?」カップを持つ蒼士の手がわずかに止まり、口元がゆっくりと緩んだ。「ああ」「景色がいいですよね」「確かに」「室橋家の持ち物なんですよね?」「そうだ」紗寧は唇を噛んだ。「あの......」「行きたいのか?」紗寧は驚き、慌てて首を振った。「いえ......!ただ聞いてみただけです」蒼士の笑みが深くなる。「そうか」――これだけ?紗寧は続きを待ったが、蒼士は何も言わない。もどかしくて仕方がなかった。ここまで話
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