Todos los capítulos de 『尽くしすぎたのでやめました。今さら後悔しても遅いです』〜帰らない人を待つのは、もうやめます〜: Capítulo 31 - Capítulo 40

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第39話 私の予定

火曜日の朝、バッグを持ち上げた時、少しだけ違和感があった。 軽い。 昨日までなら、鍵を取り出すたびに指先に触れていたはずの、あの小さなクラゲの感触がない。 悠斗が買ってくれた、淡い水色のキーホルダー。 昨日の夜、私はそれをバッグにつけなかった。 本棚の、写真集の横に置いた。 捨てたわけじゃない。 嫌いになったわけでもない。 ただ、今の私には、少し近すぎた。 そう思った自分に、胸の奥がちくりと痛んだ。 「真琴、今日って何時くらい?」 玄関で靴を履いていると、背中から悠斗の声がした。 私は紐のないパンプスに足を入れながら振り返る。 「何時くらいって?」 「帰り。夕飯、いる?」 その言い方は、いつも私が悠斗に聞いていたものとよく似ていた。 夕飯いる? 何時に帰る? 食べてくるなら連絡してね。 何度も何度も、私が口にしてきた言葉。 それを悠斗の口から聞くと、不思議な感じがした。 「今日は……分からないかな」 「予定あるの?」 「うん。ちょっと寄りたいところがあって」 私がそう言うと、悠斗は少しだけ目を瞬かせた。 「どこ?」 責めるような声ではなかった。 ただ、本当に知らないことを聞くような声。 それなのに、私は一瞬、答える言葉に迷った。 前なら、きっとすぐに言っていた。
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第40話 なんとなく好き

退勤後、駅とは反対方向に歩いた。 いつもなら、最短の道を選ぶ。 早く帰って、夕飯を作って、洗濯物を畳んで、お風呂を沸かして。 その順番が、体に染みついていた。 でも今日は、曲がり角をひとつ違う方へ曲がった。 それだけで、知らない街みたいに見えた。 古い文房具店の前を通る。 小さな花屋の店先に、名前の知らない白い花が並んでいる。 喫茶店の窓から、オレンジ色の灯りがこぼれている。 私は歩く速度を少し落とした。 急がなくてもいい。 誰かの夕飯に間に合わせなくてもいい。 そう思った途端、胸の奥が少し軽くなる。 同時に、少しだけ罪悪感も顔を出した。 悠斗、何食べるんだろう。 冷蔵庫に卵はあった。 冷凍ご飯もある。 昨日の味噌汁は、もう残っていない。 そこまで考えて、私は足を止めた。 まただ。 私はまた、悠斗の夕飯のことを考えている。 考えてしまう自分が嫌なわけじゃない。 長く一緒にいた人のことを、急に考えなくなるなんて無理だ。 でも、そのために自分の足を戻す必要はない。 私はそう自分に言い聞かせて、もう一度歩き出した。 本屋に入ると、紙の匂いがした。 静かな空調の音。 ページをめくる音。 誰かの小さなくしゃみ。 私は新刊コーナーをゆっくり見て回った。
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