あれから、三年。 十五歳だったあの子は、今や十八歳の立派な青年へと成長を遂げていた。 「ヴェラ様。馬車から降りる際は、どうか足元にお気をつけください」 差し出された手は、白魚のように美しく、それでいてしっかりと男らしい骨格をしていた。 私がその手を取ると、彼は羽毛でも扱うかのように、ふわりと私の体をエスコートして馬車から降ろしてくれた。 三年前は私と同じくらいだった背丈も、今では私を優に超え、見上げるほどに高くなっている。 「ありがとう、アシュ」 「とんでもありません。ヴェラ様のエスコートは、俺の生涯をかけた至上の喜びですから」 夜の王都。 王城の隣にそびえ立つ、豪奢な大夜会堂の前。 無数のガス灯が照らし出す中、私の目の前で完璧な微笑みを浮かべる青年を見て、私は深い満足感に包まれていた。 アシュ。 六年前、スラムで処刑されかけていた薄汚れた孤児の少年。 それが今や、どうだろう。 モデルのように均整の取れた長身と、広い肩幅。 月光を溶かし込んだような、滑らかな銀灰色の髪。 そして、冷たくも見る者を惹きつけてやまない、宝石のような赤い瞳。 仕立ての良いいつくし黒の燕尾服を寸分の隙もなく着こなす彼は、どこからどう見ても、由緒正しい高位貴族の令息にしか見えなかった。 いや、その辺の王族よりもずっと気品に満ち溢れている。 「ふふっ……本当に、立派になったわね」 「すべては、ヴェラ様が俺に与えてくださった愛情と教育のおかげです」 アシュは私の手の甲に、臣下が女王に忠誠を誓うように、恭しくキスを落とした。 その所作の一つ一つが、洗練され尽くしている。 完璧。 まさに、完璧だ。 礼儀作法、剣術、魔法、教養、そしてこの圧倒的な美貌。 私が「理想の夫」にするべく、手塩にかけて育て上げた最高傑作。 三百年間、誰からも愛されず、婚活に失敗し続けてきた私。 妥協せずに自分でゼロから育成した結果が、ついに今日、この場で証明されるのだ。 「さあ、行きましょうか。今日の主役は私たちよ」 「はい、俺の神様」 アシュが私の腰にそっと手を添え、私たちは夜会堂の重厚な扉へと向かった。 扉が開かれた瞬間。 煌びやかなシャンデリアの光と、オーケストラの優雅な演奏、そして何百
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