All Chapters of 魔女の婚活 〜理想の夫を育成したら、世界を滅ぼす魔王になりました〜: Chapter 61

61 Chapters

第61話:三百年の純情と、最悪のタイミング

 私の名前は、エヴリン。 この世界で三百年以上を生きる、誇り高き『炎の魔女』である。 これまで、数え切れないほどの魔物と戦い、魔法の真理を追究し、魔女としての尊厳を守り抜いてきた。 どんな困難にも立ち向かう強靭な精神力を持っていると、自分でも自負していた。 ……そう。 あの日、隣の屋敷で。 親友とその狂った旦那様の、最高にドロドロで甘い『情事』を覗き見てしまうまでは。「……あぁっ……もう、だめ……っ」 深夜の寝室。 私は、自分のベッドの上で、羽毛布団を頭から被り、シーツをギリギリと握りしめていた。 目の下にできた濃い隈が、私のここ数日間の悲惨な状態を物語っている。 そう、あれ以来。 私は、まともに一睡もできていなかった。 目を閉じれば、暗闇の裏側に、あの光景が鮮明にフラッシュバックしてくるのだ。 乱れたシーツ。 真っ赤に染まったヴェラの、信じられないほど色っぽい、蕩けた表情。 彼女の体を蹂躙するアシュの、雄(オス)としての狂気に満ちた赤い瞳。 そして。 扉の隙間から覗き見ていた私に向けられた、あの『ドSな微笑み』。『――そのまま、俺の神様の美しさを、その網膜に焼き付けながら這いつくばっていろ』「ヒッ……!!」 思い出しただけで、全身の産毛が逆立ち、背筋に強烈な悪寒が走る。 ……と、同時に。「あぁっ……だめ、また……っ」 私の下腹部の奥深くが、きゅぅん、と。 甘く、痺れるような熱を持って、疼き出すのだ。 信じられない。 本当に、信じたくない。 私は、あの光景を思い出して『恐怖』しているはずなのに。 その恐怖すらもスパイスにして、三百年間一度も使われたことのない私の純情な回路が、暴走を始めているのだ。「私、頭がおかしくなっちゃったの……っ!?」 私は、布団の中で身悶えした。
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