夕焼けが王宮の庭園を優しく染めていた。ルピナスは一人、噴水の前に立っていた。フジに自分の想いを伝えた日から、胸の中は不思議なくらい穏やかだった。もちろん恥ずかしい。思い出すだけで顔が熱くなる。それでも後悔はなかった。初めて、自分の心に正直になれた気がした。「探した」背後から聞こえた声に振り返る。ローゼンだった。穏やかな表情だった。以前のような焦りも執着もない。どこか吹っ切れたような顔をしている。「少し話せるか」ルピナスは静かに頷いた。二人は噴水の縁に腰を下ろす。しばらく誰も口を開かなかった。聞こえるのは水の流れる音だけだった。やがてローゼンが小さく笑う。「静かだな」「そうね」「昔のお前なら、もう五回は喋っている」ルピナスも思わず笑った。「失礼ね」「事実だ」少しだけ空気が和らぐ。その時間が心地良かった。恋人ではない。でも、敵でもない。そんな距離だった。ローゼンは空を見上げた。「ありがとう」突然の言葉だった。ルピナスは驚いて隣を見る。「え?」「真実を知ってくれて」ローゼンは静かに続ける。「許してくれて」ルピナスは首を横に振った。「まだ全部許せたわけじゃないわ」その言葉にローゼンは苦笑する。「そうだろうな」「失った時間は戻らないもの」ルピナスは夕焼けを見つめた。「あの頃の私たちは、二人とも子どもだった」その言葉にローゼンは目を閉じる。否定できない。守ることばかり考えて、伝えることを忘れていた。ルピナスも信じることより、傷つくことを恐れていた。二人とも未熟だった。だから壊れた。「でもね」ルピナスは優しく笑う。「あなたを好きだったことは、一度も後悔してない」ローゼンの瞳が揺れた。その一言だけで十分だった。救われた気がした。「あの恋は、本物だった」ルピナスはゆっくりと言葉を紡ぐ。「だからこそ終われたの」ローゼンは静かに息を吐く。胸は痛い。それでも不思議と涙は出なかった。「今は違うんだな」その問いに、ルピナスは少し照れながら笑う。「うん」その一文字だけで十分だった。誰のことを想っているのか。もう聞く必要はない。ローゼンは立ち上がる。夕陽を背に、ルピナスへ手を差し出した。「最後に一つだけ約束してくれ」ルピナスも立ち上がる。「何?」「幸
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