All Chapters of CARDINAL(カーディナル) ― 裏切られた前世を返上し、今生は私が主役 ―: Chapter 81 - Chapter 83

83 Chapters

第82話 祝福の宴

「乾杯!!」王城の大広間に、祝福の声が響き渡った。長い戦いを乗り越えた仲間たちが、一堂に会する。今日は戦勝祝いではない。フジとルピナス、二人の新たな門出を祝う宴だった。「本当におめでとう!」真っ先に駆け寄ってきたダリアは、ルピナスに勢いよく抱きついた。「もう……泣かないって決めてたのに。」「ダリア。」「幸せになってね。本当に、本当に……。」言葉にならない想いが涙となってあふれる。ルピナスも目を潤ませながら、親友を優しく抱きしめ返した。「ありがとう。」その様子を見ていたマーガレットも、そっと微笑む。「今日は泣いても許される日ですね。」「そうね。」三人は笑い合った。その時、楽団が優雅な演奏を始める。「新郎新婦、最初の一曲を。」司会役のヘリアンサスが声を上げると、大きな拍手が広がった。「行こう。」フジは優しく手を差し伸べる。「はい。」ルピナスはその手を取り、ゆっくりとホールの中央へ歩き出した。音楽に合わせ、二人は静かに踊る。見つめ合う瞳。重ねられた手。その姿は、まるで一枚の絵画のようだった。「綺麗だな。」「もう……今日は何度目ですか?」「何度でも言う。」フジは照れることなく微笑む。「世界で一番綺麗だ。」ルピナスは恥ずかしそうに笑いながら、そっと彼の肩へ額を寄せた。会場中が温かな拍手に包まれる。宴も終盤を迎えた頃。ローゼンがゆっくりと立ち上がった。「皆、聞いてくれ。」自然と会場が静まり返る。「私は前世で、多くの過ちを犯した。」「だが今世では、多くの仲間に支えられ、この国を守ることができた。」ローゼンはフジとルピナスを見つめる。「二人が歩む未来が、この国の希望だ。」「心から祝福する。」大きな拍手が鳴り響いた。ルピナスは胸がいっぱいになり、深く頭を下げる。宴の最後。庭園へ出ると、夜空いっぱいに花火が打ち上がった。色鮮やかな光が世界樹を照らし、藤の花びらが夜風に舞う。「綺麗……。」ルピナスは思わずつぶやく。フジはそっと彼女の肩を抱いた。「これから毎年、一緒に見よう。」「はい。」寄り添う二人の背中を、仲間たちは優しい笑顔で見守っていた。祝福の宴は終わった。しかし、二人の物語はまだ始まったばかり。翌朝、夫婦となった二人は、誰にも邪魔されない穏やかな時間の中で、未来への約
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第83話 新しい人生

結婚式の翌朝。王城の窓から差し込む朝日が、部屋を優しく照らしていた。窓辺では、小鳥たちがさえずり、世界樹の葉が朝風に揺れている。ルピナスはゆっくりと目を開けた。「……朝。」昨日までとは違う景色。薬指には、銀色の指輪が静かに輝いている。思わず微笑みがこぼれた。「本当に……夫婦になったのね。」その時。「起きたか。」優しい声が聞こえた。振り返ると、フジが窓辺で紅茶を淹れていた。「おはよう。」「おはようございます。」まだ少し照れくさそうに笑い合う二人。「眠れましたか?」「少しだけ。」ルピナスは照れながら答える。「昨日はいろいろありすぎて。」「俺もだ。」フジはカップを差し出した。「熱いから気をつけろ。」「ありがとうございます。」湯気の立つ紅茶を口に含むと、心まで温かくなっていく。穏やかな朝だった。戦いも、陰謀も、恐怖もない。ただ、大切な人と迎える朝。それだけで十分幸せだった。「今日はどこかへ行きませんか?」ルピナスが尋ねると、フジは嬉しそうに頷いた。「ああ。」「二人で歩こう。」◇王都では、人々が二人を見つけるたびに笑顔で声をかけた。「ご結婚おめでとうございます!」「末永くお幸せに!」花屋の少女は藤の花束を差し出し、パン屋の主人は焼きたてのパンを持たせてくれる。ルピナスは何度も頭を下げた。「こんなにも祝福していただけるなんて……。」「それだけ、お前は皆に愛されている。」フジは誇らしそうに微笑んだ。二人は市場を歩き、小さな露店で焼き菓子を分け合う。「あ。」ルピナスの口元についたクリームを見つけ、フジはそっと指でぬぐった。「もう……恥ずかしいです。」頬を赤くするルピナスを見て、周囲の人々から温かな笑い声が上がる。「仲がいいねぇ。」「見ているこっちまで幸せになるよ。」その言葉に、二人は照れながら顔を見合わせた。◇夕方。二人は初めて出会った世界樹の丘へ足を運んだ。夕日に照らされた世界樹は、あの日と同じように優しく輝いている。「ここから始まりましたね。」ルピナスが懐かしそうにつぶやく。「ああ。」「あの日、お前を守ると決めた。」フジは静かに言葉を続けた。「でも今は違う。」「守るだけじゃない。」「一緒に笑って、一緒に悩んで、一緒に年を重ねたい。」ルピナスの瞳に涙が浮か
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最終話 今生は私が主役

春。世界樹は今年も、美しい藤色の花を咲かせていた。柔らかな風が花びらを運び、王都は穏やかな笑顔に包まれている。あの日から、半年。かつて戦乱に揺れた王国は、ローゼン王のもとで少しずつ復興を遂げていた。市場には活気が戻り、子どもたちは安心して笑い、旅人たちも「この国は温かい」と口をそろえる。「本当に変わったな。」城下町を見渡しながら、フジは穏やかにつぶやいた。その隣で、ルピナスも優しく微笑む。「みんなが頑張ったからですね。」「ああ。」ローゼンは王として国を導き、マーガレットは王妃として民に寄り添う。ダリアは王宮で相変わらず慌ただしく働きながらも、笑顔を絶やさない。ヘリアンサスは騎士団長として若い騎士たちを育て、ラベンダーもそれぞれの場所で新しい人生を歩んでいた。誰一人として、前世と同じ結末を迎えた者はいない。未来は変えられたのだ。「ルピナス。」フジが優しく手を差し出す。「行こう。」「はい。」二人は手をつなぎ、世界樹の丘へ向かった。初めて心を通わせた場所。互いの想いを確かめ合った場所。そして、結婚を誓った場所。世界樹は、すべてを見守ってきた。丘へ着くと、一人の少女が転んで泣いていた。ルピナスはすぐに駆け寄る。「大丈夫?」少女は涙を拭きながら頷く。「ありがとうございます。」その様子を見た母親が深々と頭を下げた。「王妃様、本当にありがとうございました。」ルピナスは首を横に振る。「私は特別なことはしていません。」「困っている人がいたら手を差し伸べる。それだけです。」少女は笑顔になり、母親と手をつないで帰っていった。その背中を見送りながら、フジが微笑む。「やっぱり、お前らしい。」「そうですか?」「ああ。」「だから皆がお前を好きになる。」ルピナスは照れ笑いを浮かべた。二人は世界樹の下に腰を下ろす。風が吹き、藤の花びらが二人の肩へ舞い降りた。「フジ。」「なんだ?」「私、幸せです。」その一言に、フジは静かに笑う。「俺もだ。」「前世では、守れなかった。」「処刑台へ向かうお前を見送ることしかできなかった。」「……でも今世は違う。」ルピナスはフジの手を強く握る。「あなたが未来を変えてくれました。」「違う。」フジはゆっくりと首を振る。「未来を変えたのは、お前自身だ。」「あの日、お
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