「エル様、お帰りなさいませ」 グロラッハの屋敷から帰宅したエーリックを迎えたのは燃えるような赤髪の少年であった。 「ただいまスレイン」 彼はエーリックの乳兄弟であり、今は腹心となっているスレイン・ウォードである。エーリックを愛称の『エル』と呼ぶのを許された唯一の腹心だ。 「思ったより早かったじゃん」 エーリックのもう一人の側近である黒髪の青年が、気怠そうな茶色の瞳をチラリとエーリックに向けた。 主人相手にも粗雑な物言いをする彼の名はセルラン・セールズ。 「殿下の事だから姫さんとこ行ったら、しばらく帰らねぇと思ってたんだがなぁ」 ソファにだらしなく腰掛け、とても主人に対する態度ではない。が、エーリックもスレインも諦めて咎めはしない。 エーリックがセルランの対面に腰を下すと、スレインが手際良くお茶を用意した。 「それで、妖精の姫さんは何の御用だったんで?」 エーリックが一口お茶を飲んでティーカップをソーサーに戻すのを待って、セルランが話を切り出した。 「それなんだけど……」 エーリックは信頼する腹心達にウェルシェがストーカーに狙われているのだと説明した。 「なるほど、ウェルシェ様にそのような危機が」「すっげえベッピンさんだもんなぁ。そりゃ狙ってる男の一人や二人いるわなぁ」「だが、王妃殿下よりエル様の婚約には不可侵の下知が言い渡されているはずですが……」「ストーカー野郎なんて異常者だから常識は通用しねぇさ」「セルラン、少しは真面目に考えろ」「オレぁいたって
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