「あなたが欲しかったのは、妻じゃない。そこの死にぞこないの面倒を見る家政婦。あなたは私のことを、何にも知らない……! 私はこんな派手な色好きじゃない! 真っ赤で派手な薔薇も、キラキラ輝く宝石も大ッキライ! だって、私に似合わないんだもの……。私が地味な女って思い知らせてくるんだもの……! こんなもの、こんなもの!」 亮子は身につけているイヤリングやネックレス、結婚指輪まで外して床に叩きつけた。「亮子、すまなかった……」 浩二は亮子をきつく抱きしめる。亮子は声を上げて泣きながら、浩二の肩を何度も叩く。「今更遅い、私は、私はあなたを許さないから……!」「許さなくていいから……」 浩二は亮子を更にきつく抱きしめ、背中をさすった。 この後騒ぎを聞きつけた看護師の通報によって警察が来て、亮子は殺人未遂や傷害罪で現行犯逮捕された。 腕を切りつけられた成也は、その場で治療してもらう。幸い浅い傷だったので、縫合など大事にならずに済んだ。 浩二もまだ混乱していることから、成也の治療が終わるとふたりは事務所に戻った。「末安さん、その腕はどうしたのかね?」「実は……」 成也の代わりに、千夏が今回の事件について話した。嫉妬に狂った亮子が楓を殺そうとしたこと、成也が先回りしてそれを止めたこと、そして、亮子の弁護を考えていることも。「なるほど、お手柄だったね、末安さん。明日は有給をあげるから、ゆっくり休みたまえ。本条さん、弁護を止める気はないが、決めるのは依頼人ですぞ」「ありがとうございます、ゆっくりさせてもらいます」「はい、分かっています」 幸男がそれぞれの顔を見ながら言うと、ふたりは大きく頷いた。 2日後、成也は何事もなかったかのように笑顔で出勤してきた。「所長、先生、おはようございます」「おはよう、末安さん。もう出勤してきて大丈夫なのかね? あと2,3日は休んでも構わなかったのだがね」「大丈夫ですよ、大した傷じゃないので」 心配する所長に、成也は笑ってみせる。「末安さん、今回はあなたのおかげで、取り返しのつかないことにならずに済みました。ありがとうございます。それと、ささやかですが、これをどうぞ」 千夏は青い包装紙と金色のリボンでラッピングされた包を成也に手渡す。「ありがとう、先生。早速開けていい?」「はい、開けてください」 千夏が頷
Last Updated : 2026-06-02 Read more