「う……う………………うわぁぁぁああああ!!!」 突然ヤヌシュが頭を抱えて奇声をあげた。 そして黒の魔女を恨みがこもった目で睨むと、彼女に向かって突進したので黒の魔女はヒラリとかわし、ヤヌシュはただ床に転がり込んでしまう。 「最後の足搔きというわけか?」 黒の魔女は、実に楽しいと言わんばかりの表情でヤヌシュの方を見ると、彼の手には小さな布袋が握り締められていた。 「しまった、それは……!」 「ふふ、ふははは!!最初にお前を見た時、玄関でこの布袋に魔法具のような物を入れているのを見てから、ずっと手に入れる機会を待っていた!この中の物を使えば…………」 ヤヌシュは袋の中身を探り、見覚えのある小瓶を見つけて歓喜する。 あれは……先ほどの惚れ薬とは少し違う形状だけれど、黒の魔女の魔力が込められているわ。 「ヤヌシュ、それはあなたが持っていたものとは違うものだけど、強い魔力が込められているから危険よ!」 「そうか、クリスには分かるんだね……強い魔力が込められているなら……」 「やめろ!それの中身は……!!」 黒の魔女の制止など全く耳に入っていないヤヌシュは、中に入っていた1つの小瓶の蓋を開け、一気に飲み干してしまう。 薬の中身も分からないのに飲んで大丈夫なの?私はドミニク様と目を合わせ、ヤヌシュの方へとまた視線を戻した。 「まったく……お主ほどの欲深い人間はそうそうおらぬぞ。まぁその欲が身を滅ぼすのだが」 「なに?…………う?……ぐ、あ……ああ゙あ゙…………ああぁぁぁ!!」 「ヤヌシュ!!」 突然苦しみ出したヤヌシュに向かって名前を呼んでみたものの、体を悶絶させながら床に転がってしまい、身を縮こまらせて苦しみに耐えている姿に駆け寄ろうとした私をドミニク様が制止したのだった。 そして顔を上げ、こちらを向き、涙を流しながら手を伸ばし、助けを懇願してくる。
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