All Chapters of 愛人を孕ませた婚約者に捨てられましたが、初恋の寡夫公爵に溺愛され始めたら元婚約者が狂いました: Chapter 91 - Chapter 100

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第90話 どうぞそちらもお幸せに<第2部・完>

 「う……う………………うわぁぁぁああああ!!!」  突然ヤヌシュが頭を抱えて奇声をあげた。 そして黒の魔女を恨みがこもった目で睨むと、彼女に向かって突進したので黒の魔女はヒラリとかわし、ヤヌシュはただ床に転がり込んでしまう。  「最後の足搔きというわけか?」  黒の魔女は、実に楽しいと言わんばかりの表情でヤヌシュの方を見ると、彼の手には小さな布袋が握り締められていた。  「しまった、それは……!」 「ふふ、ふははは!!最初にお前を見た時、玄関でこの布袋に魔法具のような物を入れているのを見てから、ずっと手に入れる機会を待っていた!この中の物を使えば…………」  ヤヌシュは袋の中身を探り、見覚えのある小瓶を見つけて歓喜する。 あれは……先ほどの惚れ薬とは少し違う形状だけれど、黒の魔女の魔力が込められているわ。  「ヤヌシュ、それはあなたが持っていたものとは違うものだけど、強い魔力が込められているから危険よ!」 「そうか、クリスには分かるんだね……強い魔力が込められているなら……」 「やめろ!それの中身は……!!」  黒の魔女の制止など全く耳に入っていないヤヌシュは、中に入っていた1つの小瓶の蓋を開け、一気に飲み干してしまう。 薬の中身も分からないのに飲んで大丈夫なの?私はドミニク様と目を合わせ、ヤヌシュの方へとまた視線を戻した。  「まったく……お主ほどの欲深い人間はそうそうおらぬぞ。まぁその欲が身を滅ぼすのだが」 「なに?…………う?……ぐ、あ……ああ゙あ゙…………ああぁぁぁ!!」   「ヤヌシュ!!」  突然苦しみ出したヤヌシュに向かって名前を呼んでみたものの、体を悶絶させながら床に転がってしまい、身を縮こまらせて苦しみに耐えている姿に駆け寄ろうとした私をドミニク様が制止したのだった。 そして顔を上げ、こちらを向き、涙を流しながら手を伸ばし、助けを懇願してくる。
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第91話 <第三部>待ちわびた知らせ~カルロ王子Side~ / クリスティーナSide

  クリスティーナ親子や始祖の魔女の過去に迫る第三部<白と黒の魔女編>スタートです! よろしくお願いいたします ~・~・~・~・~   ――――東の大陸中央に位置するカラドゥス王国―――― 夜空を見上げながら、少し欠けている月を仰ぎ、いつくるやも分からない知らせを待つ。 今日も来ない、か。 グラスを片手に溜息を1つ吐いた。 すると遠くから、王族の伝書鳩がやってくる姿が飛び込んでくる。 私は歓喜に震え、その知らせを性急に読み始めた。 紙を持つ手が震える……そこには、ついに長年待ち望んでいた内容が書かれていたのだった。 「やっと……やっとだ…………」  うわ言のように呟く私を聞き慣れた声が現実に戻していく。  「……カルロ王子殿下、そのような薄着でバルコニーに立たれましては、お風邪を召してしまわれますぞ」  「まったく、私をいくつだと思っているのだ」 「おいくつになられましても、御身は我が国で最も大切なお方の一人である事をお忘れになりますな」 「口うるさい爺のおかげで、せっかくの朗報が薄れてしまうではないか」 今日は満月ではないが、月の輝きが増しているように感じた……何か良い知らせがやってくるかもしれない予感がしていたが、ツェットリーニ王国から伝書鳩がもたらしてくれた知らせは、それ以上のものだった。 長年探していたものが見つかり、後ろに輝く月さえも私を祝福しているように感じる―――― 「ようやく見つかった……やはりツェットリーニ王国が隠していたようだ」  私の言葉に爺が目を見開いて反応する。  「む?……まさか、白の魔女の行方が分かったのですかな?」 「そうだ、長かった……すぐに迎えに行く。白の魔女は我が国の……我が一族の血を引く者なのだから」 知らせを握り締め、まだ見ぬ魔女へと思いを馳せながらブロンドの髪をかき上げた。 ツェットリーニ王国は長年の我が国の追及を逃れながらひた隠し、ずっと手の内に収めていたのだ。  現国王は分からぬが、先王は知っていたに違いない――――  この落とし前はつけてもらわねばならないな。  そして白の魔女…………クリスティーナ・ヴァッセルはこのカラドゥス王国第二王子である私の妃になるべき女性。 王太子である兄上に先を越されるわけにはいかない。  夜着を
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第92話 ※互いの存在を確かめるように

 「ドミニク様、愛してます」 「うん、私も……」  ドミニク様は自身の目の前にある双丘をやわやわと触り心地を確かめるように揉みながら舌を這わせ、そこにもキスをしていく。 「この柔らかい白い肌も、君の細い指も、美しい髪も」 私の全てにちゅっちゅっとキスをしながら愛を囁いていく。 彼の唇が触れた部分が熱を帯びていき、じんわりと幸せが染みわたっていく気がした。 それと同時に熱は疼きに変わっていく。 やがて彼に愛された痕が体のそこかしこに付いていくのを見ていると、なかなか触ってくれない胸の先端に刺激が欲しくて自分からおねだりしてしまっていた。 「ドム、先も触ってぇ……」  「上手におねだり出来る君も、愛してるよ」  せっかくお願いしたにも関わらず、私に軽いキスをしたドミニク様は、私を後ろ向きにした後、後ろから乳房を触り始めた。 「顔が見えない方が、イケナイ事をしているように感じない?」  「そ、んなこと…………っ」  私の反論も虚しく、彼に後ろから乳房を持ち上げられ、全然触ってくれなかった先端を摘み、カリカリと弄り出す。  「はぁぁ……あっ、きもち……いぃ……っふ、ああ……!」 ずっと焦らされている状態だった私は、この甘い刺激にすっかり身を委ねてしまう。 「あっ、いい……っあ、う……っ」  やがて上体は仰け反り、もっと触ってほしいと言わんばかりに彼の手に乳首を押し付けるような形になっていった。 彼の指の動きはより強度が増し、先端が硬く腫れているかのように
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第93話 事件のその後

 私の大きなお腹の音を聞いて大笑いされた後、リジーやノエルが入ってきて私の身支度を一通りしてくれたので、ホールに移動する事にした。 テーブルにはすでに食事が並べられ、豪華な料理の数々に目移りしてしまう。 相変わらず料理長のディエゴが作る料理は本当に美味しいものばかりで幸せ……私がいつ起きてくるかも分からないのに、こんなに用意しておいてくれたのかしら。 「ディエゴ、いつもありがとう。とっても美味しいわ」 「勿体ないお言葉にございます……!!」 「ティナが美味しい美味しいって食べるから、ディエゴは毎日張り切って作ってくれるんだよ。ちょっと作り過ぎなくらい」 「まぁ!ふふっ、私は当たり前の事を言ってるだけですわ。だって本当に美味しいから」 私たちが歓談しながら午餐をいただいていると、執事のグラースがやってきて、私にも聞こえるように話し始めた。 「旦那様、只今王宮から使者が参りまして、陛下が明日にでも王宮に来てもらいたいとの事ですが、いかがいたしましょうか」 昨日の事について、陛下もドミニク様にお話があるのね。 まだ一夜が明けたばかりで事件の事後処理などが沢山あるでしょうし、あれほどの事をしたフェンデルバーグ公爵だけれど、彼は仕事面ではとても優秀だったから、その穴は大きい。 陛下も日々のお仕事に加えて……ですもの、ドミニク様の助けが必要なのかもしれない。 「ドミニク様、きっと今の陛下にはドミニク様のお力が必要なんだと思いますわ」 「……そうだね、バタバタしているだろうし顔を出すよ。ティナも一緒に行こう」 「私も、ですか?」 私は驚いて目を見開く。 私が行っても何も役には立たない気がするのだけれど……でも私はホールで力を使ってしまったのだし、陛下とお話しておいた方がいいかもしれない。
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第94話 ※帰邸してみたら…

 「ティナ、遅くなってすまない……!」 「ドミニク様!もうよろしいのですか?」 王妃殿下と王太后陛下との歓談が楽しくてあっという間だった事もあり、すぐにドミニク様が来てくれたものだと勘違いした私は、彼の慌てる姿に目を丸くしてしまう。  「ふふっ、ドミニク様の慌てよう……クリスティーナ様とご一緒だとドミニク様の色々な面が見られそうですわね」 「まったくだ……少し落ち着くのだ、ドミニク」 女性陣から何かとからかわれ、ドミニク様は返す言葉がない様子だった。 こんな姿も新鮮……ご家族だとやっぱり距離が近いからか、素のドミニク様を見る事が出来る。 年の差もあるので素敵と思う事が多いけれど、時々可愛い面を発見してまた一段と大好きが降り積もっていくわ。 「ドミニク様、迎えにきてくださってありがとうございます。王太后陛下や王妃殿下がとても良くしてくださって、本当に楽しい時間を過ごす事が出来ました」 私が王妃殿下や王太后陛下を見ながらそう伝えると、ドミニク様によく似た笑顔で王太后陛下が喜んでくださる。   「そうか。クリスティーナが楽しかったなら何よりだ。まあ、ドミニクがそのように急いで来る必要はなかったという事だな」 「母上……」  ドミニク様が王太后陛下を恨めしそうな表情で見ていらっしゃるわ。 失礼かもしれないけれど、本当に可愛い――――微笑ましい家族のやり取りにすっかり癒された私は、しょんぼりしているドミニク様に声をかけた。 「そろそろ日も暮れて参りますし、帰邸いたしましょうか」  「そうだね。母上もサリーシャ様も本日はありがとうございます。また日を改めて皆でゆっくりお会いしましょう」  「それはいいわね!皆でお食事をしながらでも」
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第95話 女子会のような夜

 「遅かったわね、二人とも。あまりに遅いから先にお食事をいただいてましたわ。ここのお料理はとても美味しいわね、さすがはドミニク様のお邸の料理長」 自身の言いたい事をつらつらと話すシェリアン王女殿下。 そして料理を褒められて嬉しかったのか、ホールに立っていた料理長のディエゴは赤い顔をしながら嬉しそうだった。  「料理の事はひとまず置いておくとして……シェリアン、何故ここに君が?」 「ふふっ、そんなに驚かないでくださいませ、ドミニク様。東の国へ嫁ぐ前に、ほんの少し自分のやりたい事をしてみたかっただけですわ」  「やりたい事?」 「ええ、ドミニク様のお邸で一夜を明かす事です」 シェリアン王女殿下のお言葉にその場にいた者たちは驚きのあまり、固まってしまう。 嫁入り前にそのような事実が明るみになれば、ドミニク様は責任を取らなくてはならなくなってしまう。 婚約者がいるとはいえ、ドミニク様はまだ独身…………既成事実を作ってしまおうと考えたという事かしら。 ドミニク様をお慕いしている気持ちもあるでしょうけれど、何とかして嫁ぎたくないという気持ちも伝わってくる。 「バカな事を……すぐにでも王宮へ使者を送る。とにかく帰るんだ」 「嫌ですわ、お兄様にも置手紙をして参りましたし、絶対に帰りません」 「シェリアン……」 シェリアン王女殿下は腕を組みながら頑として譲らず、全く動く気配がない。 そしてそんな姪の様子に、ドミニク様は心底困っている様子を見せていたので、私がシェリアン王女殿下とお話をする事にしたのだった。 「シェリアン王女殿下、お久しぶりです」 私が声をかけると、私の顔をひと睨みした後、反対方向へと顔を背けてしまう。 「もう日も落ちてしまいましたし、今日はお泊りにいたしましょう」 私がそう言うと、シェリアン王女殿下は期待した表情を見せてこちらに振り返った。 私はその行動を見て、とても分かりやすい人柄に思わず笑みがこぼれてしまう。自分の気持ちに正直な方なのかもしれないわね……悪気はなさそう。 「いいわ、あなたがそこまで言うなら泊まってやってもよくてよ?」 「シェリアン……!」 「はい、ぜひ泊まっていってくださいませ」 「ティナ……」 私は王女殿下にあえて肯定的な返事を返する。 そして私がひそかにしたいと思っていた事を口にした。
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第96話 洋裁店での試着

 正餐を食べ終えた後、お茶を飲みながらくつろいでいると、ドミニク様が何かを思いついたかのように話し始める。 「そうだ、王都の街にある洋裁店に行かなくてはいけないんだった。ティナも一緒に行ってくれるよね?」 「はい!私がご一緒してもよろしいのですか?」 「むしろ君が一緒に来てくれないと困るんだ。そうと決まれば支度をして出発しよう。ノエル!」 ドミニク様がノエルを呼ぶとすぐにやってきてくれて、私を外出用の服装に整えてくれたのだった。 「坊ちゃんはクリスティーナ様とお出かけ出来るのが嬉しいのですね。お顔が緩んでおりますので外ではお気を付けくださいまし」 「すまない、気を付けるよ」 ノエルに指摘されてバツが悪そうなドミニク様は、鏡を見ながら自身の表情をチェックし、キリッとした表情に切り替えていた。 私はその光景を見て、思わず笑いがこみ上げてしまう。  「ふふっ、どんな表情をしていてもドミニク様は素敵です」 「ありがとう」 私の腰に腕を回したドミニク様は、感謝の気持ちに額にキスをしてくれる。 そこへラディが飛んできて、私たちの周りをくるくる飛んだ後、肩にとまり、『私は街には行けませんので、しっかりティナ様をお守りしてください。ドミニク殿、頼みましたぞ』と念を押していた。 ドミニク様は「もちろん」と答え、私たちは皆に見送られながら馬車で街へと向かったのだった。 ~・~・~・~・~ 「ドミニク様、洋裁店へは何か用事でもありましたの?」 「ああ、それは着いてからのお楽しみ」 いつものように彼の膝に乗せられていた私は、何をしに行くのだろうという単純な疑問を聞いてみたけれど、ウィンクをしながら何やら含みのある笑みで内緒と言われてしまう。 彼の表情や洋裁店には何があるのだろうという期待で、胸がドキドキしてきたわ。 お楽しみという事だから、きっと良い事なのよね。
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第97話 ※試着したまま

 「どうすればいいの……」  思わず呟いた言葉がドミニク様に聞こえたのか、はたまた私から何も反応がないからなのか、彼がカーテンの向こうから声をかけてくる。 「ティナ、そろそろ着替え終わった?」 「………………あの……」 「? 終わったなら私も見てみたいのだけど、いいかい?」 え、それはダメよ。こ んな姿を見られたら恥ずかしくて穴に埋まってしまいたくなる。 マダムが渡してくれた下着は、お腹までの短いシュミーズドレスのようなデザインだけれど、胸のところはちょうど頂きのあたりが割れていてリボンが付いていた。 背中はひも状でほとんど布がない状態だし……そして下に身に着けるものはというと、それもほとんど紐状で、特にお尻はまったく隠されていない。 前の方はレースも付いていて一見普通に見えるけれど、恥ずかしいところは割れていて……上も下も恥ずかしい部分だけ強調するかのようにわざと見えるようになっているから、その部分を食べてくださいと言わんばかりなのだ。 これならまだ裸の方が……部分的に見えるなんて…………しかも見える部分にリボンが―――― 絶対にドミニク様には見せられない。 でもすぐそこにいるし、私の様子がおかしいと思い始めているわ。 しかも見せてもらってもいいかと聞いてきている。 きっとドミニク様は下着だとは思ってないでしょうから……でも下着だと言っても見せてって言われそう。 どうしよう―――― 「ティナ? 開けるよ?」 「っ……ダメですッッ!!!」 あ…&hel
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第98話 ※いじわる

  「あ、あ゙あ゙……っ!」  さっきまで羞恥でいっぱいだった自我が決壊し、彼にしがみつくのが精一杯で、甘い痺れを全身で味わった。 まだ体がビクビクしている私を抱きしめ、頭を撫でてくれる手の温もりに酔いしれてしまう。 ドミニク様、大好き――――  でもドミニク様の責め苦は止まる事はなかった。 私を鏡の方へと向かせ、自身は後ろから私の秘所を覗き込む。 下着はひも状でまるで隠れてはいなかったので、彼の目には私の恥部が丸見えになっていた。   「なんて淫らで美しいんだ……いつも見ているのに、こうやってリボンやレースから覗いて見ると……」  「や、そこで喋らない、でっ……!」 ドミニク様は私の声など聞こえていないかのように指で花弁を開き、無遠慮に口づけをしてくる。 「……ひぅっ……あぁっ!」  彼の舌が襞(ひだ)を押し広げて中へ侵入し、すっかり蜜が溢れてしまっていた恥部はぐちゅぐちゅと音を立てていた。  刺激が与えられる度にお腹の奥がきゅうぅっと熱くなり、じわじわと疼いて私を侵食していく。 ここがどこであるかも忘れ、自分から腰の振っているかのように揺れが止まらなくなっていった。  「あうっ、いぁ……あ、はぁ、ああ……!!」 「こっちも弄ってあげる」  彼の指は私の花芽を確実に探し当て、指の腹で押しつぶし、快楽を押し上げてくる。 その間も舌は止まることなく蜜でいっぱいになった私の中を弄び、反応を楽しむかのように指先で雄しべを転がされていくと、絶頂の波へとのまれていった。 「ふ、うっ、……んぁっ、あぁ
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第99話 ~ドミニクSide~ ※想起しながら 

 宴の席でフェンデルバーグ公爵が謀反を働き、ヤヌシュからティナを奪い返した翌日の朝―――― 昨夜の事は今でも思い出したくない……ヤヌシュがティナを攫い、惚れ薬を飲ませようとしていたとは。 隣りで眠る愛する人は朝になっても起きる気配はなく、可愛らしい寝息を立てていた。 彼女の美しいホワイトブロンドの髪をひとすくいし、口付ける。 昨夜は色々ありすぎたし、このまま思う存分睡眠を取ってほしい……魔力も使い切り、その上連れ去られてあんな事に巻き込まれ、疲れ切っただろうから。 私がフェンデルバーグ家の別荘へとたどり着いた時、中には明らかに人の気配があり、灯りもついていたのであの別荘に彼女がいる事は確信していた。 私は今まで出した事もないほど声を振り絞り、ティナの名を叫んだが、あれほどの大声を出した記憶は後にも先にもあの時が初めてだっただろう。 中から私を呼ぶティナの声。 入ってみると、ヤヌシュと乱れたティナの姿――――今思い出しても私の胸に怒りが満ちて行く。 テレージアはあれほど誠実な人だったのに、その弟はここまで堕ちてしまうとは。 本当はティナとヤヌシュの幸せを願っていた。 ヤヌシュがテレージアのような誠実な人柄なら、ティナを安心して任せられるとも思っていたのに……どんどん歪んでいったものはもう元に戻る事はないのだと言わんばかりに歪みきってしまい、その歪みはティナへと向かっていく。 悔しさと憤りを拳に込め、ヤヌシュに振りかぶる。 ――――バキッ!!!!―――― あのように人を殴った事も初めてだ。 命を奪う事にならなかったのは不幸中の幸いとでも言うべきなのだろうか……結局ヤヌシュは欲に駆られて己を見失い、黒の魔女から奪った試作品の変化の薬によって”ダンゴムシ”に変化し、彼女の手によって管理される人生となったのだった。 これで良かったのか?
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