All Chapters of 愛人を孕ませた婚約者に捨てられましたが、初恋の寡夫公爵に溺愛され始めたら元婚約者が狂いました: Chapter 131 - Chapter 140

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第130話 オブシダン様の企み ~ドミニクSide~

 翌日、我が家に小さな来訪者が来ていた。 なぜかディエゴが料理を提供していて、美味しそうにもぐもぐと食べる姿は、普通の幼女にしか見えない。  「ディエゴ、いつから我が邸のホールは勝手に他人が入り込めるようになったのだ?」 「も、申し訳ございません、旦那様!変な力を使われて体が勝手に……!」 ディエゴに魔力を使って料理を作らせていたとは……私は溜息をつきながら、ティナとオブシダン様との様子を見守る事にした。 ティナは始祖の白の魔女ではないにしても、記憶があるせいもあって、2人の間には私では踏み込めない空気感というものがある。 その事自体は微笑ましくもあるのだが、時折ティナがとても遠い存在のように思えて少し不安を覚える時もあった。 オブシダン様は我々の話に耳を傾けながら、奇妙な事を言い始める。 「クリス。最初にお主に会った時に気付き、聞こうと思っておったのだが、お主の魔力、まだ封印されているのは何か術でもかけられたのか?」 私とティナは確かに結ばれ、彼女の記憶も力も全て解放されたものだとばかり思っていたのに。  そこでティナは今までの経緯を全てオブシダン様に説明し始めた。 始祖の白の魔女が殺された経緯も含めて――――話を聞いていく内にどんどんオブシダン様の表情が曇っていく。 彼女の中で始祖の白の魔女は、子供を生み、力が受け継がれた後に寿命で亡くなったと思っていたのかもしれない。  「しかし、まぁ……愚かな人間どもめ、魔女の血に不老不死の効果だと?バカげた噂を流しおって……」 ――――ゴゴゴゴゴゴゴッ――――  突然邸が揺れ、地鳴りのような音が響き渡る。 怒りだ。 これは始祖の白の魔女が殺されてしまった事への……どちらかと言うと黒の魔女は人の欲につけ込む印象が
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第131話 ティナのために出来る事 ~ドミニクSide~

 『カルロ様、私にとってドミニク様はかけがえのないお方ですが、そのご家族の陛下や王妃殿下、王太子殿下やシェリアン様も私の両親も皆、私にとっては大切な方々です。そして――――』 『まだお会いしたばかりですけど、あなた様も大切な家族になります。何か私にお手伝い出来るがあればおっしゃってください。きっとここにお母様がいらっしゃっても同じ事を仰ってくださるはずです』  私の頭に昨夜の嫌な予感が過ぎっていく……彼女は優し過ぎるから、自分の身を顧みずにすぐに手を差し伸べてしまうんだ。 「これは面白くなってきたではないか。お人好しもここまでいくとお主も大変だな」 「………………っ」 私の顔を見ながらニヤリと笑われてしまう。 そこへラディが飛んで来て『ドミニク殿もティナ様になんとか言ってください!』と私を二人の元へ引っ張っていった。 このままでは会話を聞いていた事がバレて…………悶々としている私の目に、テーブルの上で手を握り合う2人の姿が目に入ってきたのだった。 ~・~・~・~・~ 結局オブシダン様が、自身の力を使ってアロッサ村での真実を見せてくれる、という話でお茶会はお開きになる。 そして翌日、私はティナと別行動で王宮に行き、兄上の執務室へと向かった。 アロッサ村に向かう事と、そこでその日の真実を黒の魔女が見せてくれるという話をしておかなくてはならない。 真実が分かれば、国としても色々と動いていかなくてはならないからだ。 「そうか。シェリアンのこれからにも関わる事だ、私も行こう」 「しかし兄上……」 「父親として、国王としても見届けなくてはならない」 兄上は複雑な表情をしているものの、瞳の奥には決意がにじみ出ていた。 こ
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第132話 望まぬ出会い ~ドミニクSide~

 兄上との話が思いの外早く終わったので、まだお昼前に帰る事になり、ティナがいない邸に帰ると思うと少し寂しい気持ちになる。  帰りの馬車で先ほどの会話を思い返し、溜息をついた。 どうする事がティナの幸せなのだろうか――――彼女の幸せを考えるなら、私が王族に戻るのは悪手だ。 きっと自分のせいで私が望まぬ選択をしたと自らを責めるだろうし、兄上達に迷惑をかけてしまう事にも心を痛める彼女の姿が目に浮かぶ。 ティナは自分の事よりも周りの幸せを願う人だから。 国々の争いが始まろうものなら、国を出て一人ひっそりと生きる事を選択するかもしれない。 そうなったらもちろん私も一緒に行く覚悟はあるが、それで各国が諦めてくれるとも思えず…………また始祖の白の魔女であるエスメラルダ様のように悲劇を繰り返す事になったらと思うと、決断しきれない自分もいる。  終わりの見えない試行錯誤を繰り返していると、突然馬車がガタンッと揺れ、停車した。 「何事だ?」 この街道は比較的整備されているので、このように揺れるほど荒れてはいない。 まさか野盗か何かか?  するとすぐに御者が扉の外に駆けてきて、状況を説明してきた。 「申し訳ございません!街道の真ん中に人が倒れておりまして、停車いたしました」 「まさか轢いてしまったのか?!息は?」 「今診てみます……!」 「いや、いい。私もいこう」 すぐに馬車から降りて、倒れている人物に駆け寄った。 「我々の馬車が轢いたのではないのだな?」 「は、はい!まだ明るい時間なので轢かなくて済みました……遠目から何かがあるのが見え、人だと分かって急停止しましたので」 これが夜なら間違いなく気付かずに轢いてしまっていただろう。 このような道に行き
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第133話 <第三部・完>望んでいた出会い ~???Side~ 

  ――――ツェットリーニ王国・王都リベルタス―――― 私は、オーレンブルク公爵から借りた馬を走らせ、なんとか王都に着いたので連れを探すべく馬から降りた。 「王都と言っても広いからな……まずは宿屋を探すか」 馬を伴いながら歩いていると、遠くから連れと思われる人物が3人ほど、私に向かって走ってくる姿を確認する。 「シベリオ様、やっと見つけましたぞ!!ご勝手な行動はお控えください!」 ずんぐりむっくりで少し歩いただけで息を切らしている男は、イースナビア帝国の内務大臣を務めるモスキート・アラベスタだ。 「モスキート、お前の声は本当に頭に響く」 「モスキート様のご心痛もお察しください。このような事が度々あっては我々の心の臓がもちませぬ」 モスキートに次いで小言を言ってくるのは、帝国騎士団長を務めるバズズ・モンテティード。 「本来なら一人で行く予定だったものをそなた達が勝手についてきたのだろう」 「あなた様に何かあったら、どうされるのです?!」 今度はセリスまで小言が止まらない。 「お前まで。ちょっと顔を見てみたかっただけだ。オーレンブルク公爵という男の顔をな」  「それは私が詳しく報告いたしましたでしょう」 「詳しくな……実に的確な報告だったぞ。すぐに本人だと分かった」 私がニヤニヤとそう言うと、セリスはほんのり顔を赤くし、少し俯く。 セリスのように強く美しい女性をあっという間に惚れさせてしまうとはな……しかも公爵位に収まっているが王族に生まれた者が、見ず知らずの男を助けてしまうなんて聞いた事がない。 「やはり、あの男は面白いぞ、セリス」 「まさか閣下に何かなさったのですか?!」 顔を真っ青にするセリスに、事の経緯
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第134話 <第四部>お目当て ~シルベリオSide~

 お待たせしました!! 第四部開始になります~~帝国の人間もちょこちょこ関わってきますので、まずはシルベリオSideからになります!^^ よろしくお願いいたします~~m(__)m ~・~・~・~・~   初夏の夜風は実に気持ちがいい。少し長めの髪を温い風が通り過ぎるのをバルコニーに立ちながら堪能する。  「そろそろお部屋へお戻りください。御身に何かあれば大変な事になります、シルベリオ様」 セリスの小言が止まらない。 私自身は前皇帝の四男として生まれ、特に何も期待されずに育った事から、年を重ねて身分で縛られるようになる事など想像もしていなかった。 何故か身体能力だけはずば抜けて高く、自分の肉体を磨けば磨くほど武勲を挙げた事で帝国での影響力が強くなっていき、結果このような身分になっただけだ。 帝国では世襲制ではなく、力のある者がトップに立つ。 私の代わりなどどこにでもいるという事だ。 無論私より影響力のある人物が出てきた場合は、皇帝の座を追われる事もあるだろう。 そうなったらなったで隠居し、自由気ままに過ごそうと考えているので、皆が思う程自分の身分にこだわってはいない。 今回の旅も好きに動きたいがためにツェットリーニ王国に来たのもあるが、ここに来た目的は色々ある。 まずはリドメキシアの秘薬の件で世話になった、オーレンブルク公爵に会ってみたかった事。  やり手の元王弟殿下はどのような人物か、非常に興味があったのだ。 私に対してフェンデルバーグ公爵をこちらに渡さない為に堂々と交渉してきた男……結果フェンデルバーグ公爵は失脚し、ツェットリーニ王国での裁きを受ける事となった。 エデンに手を出し、密かに流通させたフェンデルバーグ公爵。 ヤツを徹底的に潰してやろうと考えていたのに、我々の思惑は空振りになる。 そしてその婚約者であるクリスティーナ・ヴァッセルが白の魔女だというのだから、なかなかに興味深い話
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第135話 初めての家出

 私は今、ダンの庵にやってきていて、猛烈にドミニク様に対して怒っていた。 同時に悲しみも押し寄せてきて、プンプン怒りながら涙を流している私を見兼ねてダンが暖かいお茶を出してくれる。 「美味しい……」  お茶を啜りながら、なおも怒りが収まらずにダンに愚痴をこぼす。 「私はしばらく邸には戻りません……!あんな……あんな事を仰るなんて…………っ!」 「まぁお主の気持ちも分からんでもないが、突然何も告げずにいなくなったのだから、ドミニクのヤツもひっくり返っているのではないか?」 「しばらく慌てていればいいのです。私はそのくらい怒っているのですから!」 「お主がそこまで怒るところを初めて見た。面白いものを見せてもらった……ククッ。しかし、そろそろ何があったのか話してもらうぞ」 「それは……」 私は庵に連れて来てくれたダンに対してはしっかりと事情を話しておかなくてはと思い、どういう事情なのかをつらつらと話し始めたのだった。  ~・~・~・~・~・~ カルロ王子とドミニク様が不穏な感じになり、その後ドミニク様と肌を重ね、いつものように意識が飛んでしまった私は、ふと真夜中に目を覚ますと隣にいたはずの愛する人がいない事に気が付いた。 シーツを触ってみるとひんやりしていて、多分私が意識がなくなった後から部屋を出ていったのではと推察した。 何かお仕事でもあったのかしら……。 でもそんな話は聞いていなかったし、なんとなく違和感があったのでベッドから下り、夜着にショールを羽織って彼を探す事にしたのだった。 肌を重ねている時にほんの少し、彼の様子がおかしかった気がしたけれど、翌日に話し合えばいいと思っていた。 何かが間違ってる感じがす
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第136話 オブシダンの庵

 そうして今に至る。 私の話を全て聞き終えたダンは、思案する表情でドミニク様の心情を考え始めた。 「ふーむ……ドミニクほどの人間が、そのような事をすぐに口にするとは思えんがな」  「どういう事?」 「あやつにも色々な事情があるのかもしれないという話だ。だからと言って自分から求めておいて後悔するというのはいただけないがな。お主が知らぬ事実があるのやも知れん」 「私が知らない事実……」 それは確かにそうかもしれない。  「あやつではないから分からぬが、少なくとも我から見たドミニクは、自分が決めた事は何があっても貫き通す人間のように思うておったので、今回の事は驚きを隠せぬ」 『それは確かに。ドミニク殿は私の目から見ても実直な方です。そして繊細な方でもあるように思います』 「ラディ?!あなた、いつの間についてきていたの?!」 『ティナ様の魔力が激しく乱れておりましたので馳せ参じたところ、黒の魔女様と何やら怪しい雰囲気でしたので……気付いておりませんでしたか…………』  トホホと肩を落とすラディを手の平に乗せ、何とか宥めた。 私ったら全く周りが見えていない状態だったのね……恥ずかしい。 そして普段はライバル視しているラディもドミニク様の事を冷静に分析していて、冷静さを失っていた自分が情けなくなってしまう。   「やっぱり、私が白の魔女でなければ……私がドミニク様を苦しめている…………」 私自身が望んだ事ではないけれど、自分が白の魔女だという事は運命として受け入れるしかない事実なので、もし愛する人を苦しめるだけなら身を引く事も考えなくてはならない。 身を引くのはいい……でもドミニク様が誰かと結婚し、その方を愛おしい目で見つめるのだけは―――― 「耐えられない……ドミニク様が私以外と…………その相手が私ではないなんて……っ!」 ダメだって分かっているのに、そんな世界なんてなくなってしまえばいいとすら思ってしまう。 そんな私から黒い魔力が湧き上がってきて、どんどん指先が黒くなっていく。 「クリス……!それ以上呪うでない!!」 『ティナ様!!』 呪う?これはドミニク様を失うしか選択肢がない自分の運命に対する恨めしい気持ち、という事?  黒くなっていく自分の手を眺めていると、ダンが私を抱きしめ、自身の魔力を注ぎながら私の気持ち
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第137話 東の楽園エデン

  翌日、すっきりと目覚めると、良い匂いがしてくるので体を起こした。  「目覚めたか。よく眠っておったな」 「ダン、おはよう」  食事の支度をしながらこちらに笑いかける姿に懐かしさがこみ上げてくる。 私たちがまだ共に生活していた時、こんな光景が沢山あったわね。 エデンに近いからか、昨夜はダンと暮らした記憶がぽつぽつと思い出された。 ソファから立ち上がり、ダンの手伝いをする為に彼女のもとへと向かうと、すでにテーブルの上には美味しそうな食事が並べられていたのだった。 「まぁ……凄いわ。これ、全部ダンが用意したの?」 「お主と寝食を共にするのは久しぶりだからな。少し張り切りすぎたか?」 ちょっと照れている彼女が可愛くて、思わず抱きしめる。 姿も小さいし、自分の子供のように感じてしまうわ。 「な、な、なにをするっ!」 私の腕の中でジタバタしながら耳まで真っ赤のダンが本当に可愛くて、真っ黒な美しい髪の頭を撫でてあげた。 「ふふっ、何でもないわ。感謝の気持ちを表しただけ」 「お主は何でも大げさだ!」 私の腕から逃れたダンは、私に温かいお茶を淹れてくれた。 2人で目の前のご馳走を頬張りながら、夜にエデンへ向かう話になる。 「夜の方がいいの?」 「ああ。やはり月の光りが差し込んでいた方が神の存在を感じやすい。昼間はまた明日にでも向かえばいいだろう。違いを感じるのもまた面白いぞ」 「そうなのね……夜に行けば神の声が聞こえるかしら」 「それは難しいだろう。そなたは全ての力を解放出来ていない。満月の日ならば言葉を交わす事が出来るだろうが」 「そう……」 お祖母様がご自分を呪っているので力が開放されていないのは分かっている。
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第138話 二度目の邂逅

 その日は一日中、体の魔力が増幅されている感覚に襲われ、髪はプラチナに光り輝いていた。 ラディも体が大きくなり、羽は七色に変化している。 ダンの庵にいるのに、まるでエデンに行った時のよう。 「満月の日はいつもこうなる。私の呪いも弱まり、姿が元に戻るのだ」 「まぁ!本当ね。日中は月が見えないとは言え、満月だから日が高くても変化するの?」 「そういう事だ。ここはエデンが近く、影響を受けるのだろう」  確かにドミニク様の邸では満月であっても姿が変わるという事はない。 この場所が特別なのね。 ラディは大きくなった自分の体であちこち飛び回れるのが嬉しいのか、庵から元気に飛んで行った。 『夜には戻りますので――!』 飛び立つ後ろ姿は、本当に神鳥のよう。 ここにいると昔の自分に戻っていくようで、現実を忘れていってしまう感覚に陥る。 より魔女の血が濃くなるというか――――ここに来てから家族やドミニク様の事を思い出す機会が減っている気がする。 私は少しだけ危機感を覚え、エデンに行ったら次の日にでも邸に戻ろうと考えていた。 ダンは今までずっとここでそうやって過ごしていたから、私たちよりも時の流れを感じずに過ごしていたのではと思う。 ヤヌシュの件で私たちと接触する機会が増え、だんだんと同じ時間軸を生きるようになってはきているけれど、彼女の時間の感覚は私たちとは少し違う感じがしている。 ここは楽園――――苦しみも悲しみもない。ただ穏やかに時が流れていた。 でも私は愛する人のそばがいい。 悲しい事があっても苦しい事があっても……ここに来た時はドミニク様に対して怒りの感情と悲しみの感情が入り乱れていた。 でもそれでも、やっぱり忘れたくない。 彼を愛していた時間を。 お祖母様が人と繋がっていたかったのは、きっと私と同じ理由だったのかもしれない。 悠久の時を生きる世界から連れ出してくれる人を探し求めていたのね。 ダンも、そういう人を探しているのかしら? 「ねぇ、ダンには今まで、私にとってドミニク様のような存在はいなかったの?」 ――――ガタンッ!―――― 私が素朴な疑問を投げかけた瞬間、テーブルに足をぶつけてしまったのか、彼女がうずくまってしまう。 「……っ……突然なんの話だ」 「びっくりさせて、ごめんなさい。足は大丈夫?」 「問題ない
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第139話 愛する人のもとへ

  『今、エデンの存在を知る人間が増えているのです。そしてここを私物化しようと企んでいる者がいる』 「?!」 『この地は私や魔女、古からの生き物にとっての聖域――――ここが侵されてしまうと力は弱り、もはや監視役としての役目を果たす事は出来なくなるでしょう』  「そんな……」   エデンを私物化しようとしている者がいるの? それは誰なのだろうかと聞くまもなく、神は話を続けていった。  『エデンの生態系を乱した者は処罰され、事なきを得ましたが、先日またこの地で人間の気配を感知しました。オブシダンだけでは監視しきれません……』 「我が呪いを受け、幼女の姿になってからエデンの存在を隠す事が出来なくなってきたのもあるのだろう」 「ダンの呪いを解く方法はないの?」 「あるにはある…………しかし……」 「しかし?」 「……と、とにかく、それは難しいのだ!」 どうしたのかしら、顔が真っ赤だわ。 これ以上聞いても無理に聞き出したいわけではないので、質問を引っ込める事にした。 エデンの為ではなく、ダンの為に呪いを解いてあげたいと思ったのだから。  「でも、私はこの通り自分自身に呪いをかけているので、力が全て戻っておりません。今日は満月なのでかつての姿ですが」 『それは心配要りません。そなたの呪いはもうすぐ解けます』 「え? 本当ですか?!」 『そなたも分かっているはずです。もう自分の中で答えが出ている事を――――』 「………………」 私が人と共存して生きていきたいと願っている事……お祖母様の事は本当に不幸な事件だったけれど、それでも、何度生まれ変わっても人と生きていきたいと願っている私の気持ちを分かっているのね。 この気持ちを消す事が出来ないなら、抱えて生きていくしかない。 どんな人生が待ち受けていようとも。 (お祖母様、これでいいのよね……?お祖母様の御心は私が全て受け止めて生きていくから――) そう思った瞬間、私の胸の奥から温かな小さな光が浮かび上がり、その光はやがて私の全身を包み込んだ。 そして花火のように弾けて消えたのだった。 光の粒子が煌めき、とても綺麗―――― 「今のは?」 『そなたにかけられた呪いが消え……エスメラルダが解放されたのです』 「メルー…………」  ダンの方へ視線を移すと、大粒の涙を流
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