「ドミニク様、何も言わずに消えてしまい、ごめんなさい」 「……あの時の会話を聞かれていたとは思わなくて、寝室に戻った時に君がいなくて、血の気が引いたよ。邸も物凄い騒ぎだったし、あまりに私が狼狽えていたのを見かねたリジーが教えてくれた」 「リジーにも大変な役目を与えてしまったのですね。あとで謝らなくては」 「いや、もとはといえば私が悪いんだ。君にあんな話を聞かせてしまうなんて……深酒し、その事に気付かないとは情けない。グラースにも窘められていたのに。ノエルやリジーにも散々怒られてしまったよ……」 「そうなのですか?私もダンの庵に行って、彼女に怒りを吐き出してしまいましたけど……うふふっ」 私が笑うと、ドミニク様はいよいよ弱ったような表情をして、「オブシダン様にも怒られそうだな」と呟いた。 「ダンはドミニク様の気持ちを慮っていましたわ。何もなしにそのような事を言うとは思えないと……そのおかげで私も少し冷静になる事が出来たのです」 「そうか。では感謝しなくては」 「ドミニク様、私がダンのところに数日滞在したのは一人になりたいのもありましたが、エデンに行ってみたいのもありましたの。その事も含めて、ドミニク様と沢山お話したい事があるのです」 「私も、君に話をしなくてはならない事があるんだ。寝室に行こうか」 「ええ」 私は愛する人に抱えられたまま寝室へと移動した。 その道すがらノエルや邸の者たちが私が帰って来た事に気付き、皆が嬉しそうに声をかけてきてくれたのだった。 なかなか寝室にたどり着けず、ドミニク様が「ちょっと急いでるから」と言うと皆が何かを察し、私たちは寝室へと急いだ。 絶対変な方向に誤解されてしまったような気がする……恥ずかしいけれど、今はそれどころじゃないので煩悩を振り払った。 寝室に着き、ゆっくりとベッドにおろされ、私の隣にドミニク様が腰をかけた。 「ふふっ。こうしていると、ドミニク様が実家で私にプロポーズをしてくれた時を思い出します」 「あの時は必死だったからね。今も必死だけど」 「そうなのですか?」 「そうだよ。いつでも必死だ……君を私のもとにつなぎとめておくのに。どうすれば私のティナでいてくれるだろうかって」 「? 私はいつでもドミニク様のものですけど……」 私の言葉にドミニク様が心底苦笑しているように見える。
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