All Chapters of 愛人を孕ませた婚約者に捨てられましたが、初恋の寡夫公爵に溺愛され始めたら元婚約者が狂いました: Chapter 11 - Chapter 20

110 Chapters

第10話 ※甘い空気に包まれる個室

 私は一瞬何が起こったのか分からずにドミニク様の服を握りしめたまま、硬直していた。 ここには沢山の人々が行き来していて、私たちの他にも様々な人がいるのに――――でもドミニク様は背が高く、そのうえ手も腕も大きいので私の顔がすっぽりと隠れていた。 その為、周りの人間はあまり見えていないようでざわついてはいない感じだった。 ただヤヌシュにだけは見せつけるようにキスをされているのだけは分かる。  「んんっ…………ん…………っ」  だんだんと激しさが増してきて、声がもれてしまう。 私は必死にドミニク様の服にしがみついてキスが終わるのをただ待つしかなく、恥ずかしいやら嬉しいやらで思考がうまくまとまらない。 まるで自分のものだとマーキングされているかのような口づけ――――。 ようやくドミニク様の唇が離れた頃には足の力が抜けそうになっていて、それを察したドミニク様が私の腰を支えてくれていた。  「今もこれからもティナは私のものだよ。彼女のこの美しい唇も全部、ね」  ヤヌシュに向かってそう言いながらドミニク様の指が私の唇をなぞり、体中に熱が集まってくる。 きっと肩まで真っ赤になっていそうだと自分でも分かるくらい体が熱い。 ヤヌシュの方を見ると、ドミニク様の言葉や行動にさっきチラリと見た時以上に顔を歪めていて、ナタリア嬢の事などまったく忘れているかのようだった。 かつては真実の愛を見つけたと言っていたくらいの相手なのに……ううん、もう私には関係ないのだから気にかけるべきではないわね。  「行こうか」 「は、はい!」  ドミニク様がヤヌシュから視線を外し、私の方を見ると、その瞳はさっきまで厳しいものだったのにいつもの優しい瞳に戻っていた。 後ろからはもの凄い視線を感じ、一瞬名前を呼ばれた気がするけど、それに気付かないフリをして観劇を観るべくドミニク様と歩き始めたのだった。  ~・~・~・~・~  私たちが観る席は普段は王族が利用する席とあって、入口には衛兵が立っていて、まさに特別席への入口といった感じだった。 この辺はもうまったく人の気配はない。 それはそうよね、王族の方が座る席なんだもの。 王族が座る場合は裏口から入ってくるのでしょうけど、私たちは今回は正面の入口から入ってここまで来た。 それもあって怪しまれないか心配だった
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第11話 彼のほしいもの

 「もうすぐ始まるから、何か飲み物を頼んでおこうか」 「はい!」 ドミニク様が私の分のドリンクも頼んでくれて、アルコールがあまり飲めない私は、度数の低いシャンパンを渡された。ドミニク様はワイン。 ワインを飲んでいる姿も大人で素敵―――― 「少し飲んでみるかい?」 「あ、はい。うーん……あまり美味しいとは言い難いかもしれません」 少し飲んで私が渋い顔をしたのを見ると、ドミニク様がふき出して大笑いするのだった。 「もう!そんなに大笑いしなくても……」 「ごめんごめん、あんまり素直だから」 「どうせ子供ですわよー」 ああ、こういうところがお子ちゃまなのよね……ヤヌシュに女性として扱ってもらえないのも納得してしまう自分がいる。 自分でも分かってはいるのに、ドミニク様の前ですらなかなか淑女として振舞う事が出来ないでいる。 ドミニク様は元王族だし、現公爵なのだからきっと、もっと大人な女性を沢山見てきたわよね。 前の奥様はヤヌシュの年の離れたお姉様というお話も聞いた事があるし、しっかりした方なのだろうな……。   奥様が亡くなられてから王位継承権を放棄し、公爵位を賜ったのだという話は両親から聞いていた……公爵というのは出世などで簡単にはなれない爵位で、だいたいは王家からの分家が公爵位を賜る事が多い。 フェンデルバーグ公爵は王家の血を引いているのかは分からないけれど、ヤヌシュのお姉様をまだ王族だった時のドミニク様と結婚させたり、私とヤヌシュを婚約させたり……もの凄く野心家な方なのよね。 今となってはそういったものから解放されたのだし、婚約破棄が出来て良かったと心から思っている。 さっきのヤヌシュを見ていたら尚更そう感じるわね。
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第12話 ※独占欲

 ただでさえ隣り同士に座っているだけでドキドキするのに、手を握られてしまうと心臓が飛び出してきそう……きっとこんなに動揺して心臓がうるさいのは私だけに違いない。 ドミニク様はドキドキしないのだろうかとほんの少し気になって、チラリと顔を覗き見てみる。 すると私の目に飛び込んできたのは、口に手を当てながら頬を赤らめ、熱のこもった瞳で私を見つめているドミニク様だった。  どうしよう、何か話をしなきゃと思うのに言葉が出てこない。   私と同じようにドキドキしてくれている? 期待する気持ちで見つめていると、自身の口に当てていた筋張った手が私の頬に優しく触れてきて、もう一方の腕で私の腰を引き寄せた。 そして彼の熱情を帯びた瞳と共に美しい顔がゆっくりと近づいてくる。 互いの唇と唇が触れる刹那、彼が小さな声でひと言呟いた。  「ティナ、ごめんね」 「?」  直後にすぐさま口を塞がれ、舌を絡める熱いキスを注がれてしまう。  「んっ……ふ、ぁっ……」   さっきのごめんね、はどういう意味? 訳も分からず彼の口付けを受け入れながら必死で彼の服にしがみついた。 厚みのある舌で唾液を絡め取られると、すっかり私の顔は蕩けてしまう。   「ごめんね、観劇に夢中な君が可愛いくて我慢出来なかった」  私の頬を両手で包み込みながら、そんな嬉しい事を囁いてくるのだ。 その表情は申し訳なさそうなのに、それでいて甘く、瞳には憂いと熱が揺れ動いているように見えて、ドミニク様から目が離せない。 さっきのごめんねは、そういう意味――別れを切り出されるのかと思い、不安だった心が安堵していく。   「もう、突然すぎます!」 「ふふっ……じゃあ、突然じゃなければいいみたいだから、これからティナに触れる事を宣言しよう」 「?!……でも……あの、劇を観ている方達が沢山いらっしゃるのに」    「大丈夫、個室だし皆劇に夢中だから、私達が何をしていても遠いから見えないよ。それに見られたくない時はそこの幕を下ろす事も出来るんだ」  前方には幕が両端で留められているのを指差し、その留め具を外せば幕が閉まり、周りから全く見えなくなるのだと教えてくれた。 でもそれって、幕を下ろさなくてはいけないような事をするという事で……。   「そ、そんな事をし
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第13話 世にも不思議な出来事

 「あ……そろそろ終わりが近いのかも」 大歓声を聞き、体を起こそうとすると、下のドレスがあられもない状態だったので、ドミニク様が手伝ってくれて綺麗に整えてくれた。 今日触れ合えた事で、また私を女性として意識してくれたら嬉しい。 そんな事を思いながらお礼を返し、演劇の方に目線を移すと、もう中盤から終盤にかけての一番盛り上がる場面に差し掛かっていたのだった。 せっかく観に来たのだからしっかり観ないと。  劇の内容はいつも観ている通りの内容で、離れ離れだった王女様と隣国の王子様は再会する事ができ、ハッピーエンドを迎えて大円団で終わりを迎えた。 でも1つだけ付け加えられていた要素として、魔女が王子様の事を慕っていたというストーリーだ。 この部分は王宮図書館の貴族だけが読める書物の中にしか書かれていない内容で、一般の絵本などには書かれる事はない。 それだけに、この演劇を観にきていた聴衆は大歓声だった。 私は書物を読んでいたので、読んだ当時はとても釈然としなかったのを覚えている。 王女様と王子様は確かにハッピーエンドだけれど、魔女は?その後どうなったの?とお母様に沢山質問をしたのを覚えているわ。 お母様は知る由もないから苦笑いして話を濁していたけれど……大好きな人の幸せを祈り、結ばれる事がない魔女の運命をドミニク様と自分に重ね、とても悲しい気持ちになったのよね。 あの時はまさかドミニク様と婚約出来るとは思っていなかったもの。 これは本当の物語なんだろうか……魔女にも新たに愛する人が出来て幸せになっているといいな―――― フィナーレを迎えたのでドミニク様と2人で立ち上がり、演者の皆様に盛大な拍手を送る。 劇の途中であんな事をしていたのを思い出し、ちょっと恥ずかしくなってしまったけれど。 素晴らしい演技力だったわ。 こんな風に誰かに
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第14話 語り継がれるおとぎ話と真実

 愛する人の腕の中で落ち着きを取り戻した私は、ゆっくりと顔を上げてドミニク様を見上げる。 私の大好きなブルーグレーのサラサラした髪が少し乱れ、頬に張り付いていた。 そして当然の事ながら顔がすぐ近くにあるので、今度は違う意味で心臓がドクドクしてしまう。名残惜しいけど、いつまでもこのままでいるわけにはいかないわね。 「ドミニク様、驚かせてしまってごめんなさい。もう大丈夫ですので帰りましょうか」 私が何とか笑顔を取り繕って語りかけると、ドミニク様は目を細め、私の頭にポンっと手を置いて「そうだね」と一言呟いた。 そして私より先に立ち上がり、手を差し伸べてくれたのでその手に自分の手を重ねると、ほどよい力加減で私を立ち上がらせてくれたのだった。 きっと色々と思う事はあるわよね……ドミニク様だって驚いているに違いない。  私ですら信じられない気持ちなのだから。 咄嗟の事だったけれど、あれは確かに私自身の力で止めたような感じがする。 何がどういうわけでそう思うのかは上手く説明出来ないけれど、自分の中に得体の知れない何かの力があるのを感じるのだ。 今までまったく感じる事はなかったのに、どうして? 両親からも何も言われた事はないけれど、お父様とお母様は何か知っているのかしら……私は誰がどう見ても母親似だった。 髪の色から顔立ちまで全てお母様にそっくり。 お父様に似ているのは辛うじて唇が似てるかなという程度で、その話をするとお父様が酷く落ち込むのでヴァッセル家では誰もする事はなくなったけれど、それくらいお母様と私は瓜二つなのだ。 まるで分身のように――――そこまで考えて私はハッと思い至った。  もしかしたらお母様が何か知ってるかも? もしお母様が知らなかったら自分で調べるしかないけど、とにかく可能性のある事は藁にも縋りたい気持ちだったので、すぐに我が
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第15話 人の心を狂わせる魔女の力

 「お母様、続きを聞かせてください」 私が覚悟を決めた表情でお母様を見据えると、彼女の大きな目が嬉しそうに細くなり、微笑みながら話の続きを話し始めた。  「成長したわね、クリスティーナ。もうあなたに全て話しても大丈夫ね……この話はおとぎ話のような素敵な話ではないの」 お母様は慎重に言葉を選びながら、お祖母様とお母様の身に起きた事を淡々と話していく。 お祖母様は初代白の魔女として神によって生を受け、王子様と結ばれる事はなかったけれどその何百年後、一人の青年との間に子供をもうけた。それがお母様だった。 そしてお母様を生んだお祖母様は魔女としての力を失い、普通の人間の女性となって魔女の力はお母様に受け継がれる事となる。 お母様はまだ小さかったから魔女の力を制御する事が出来ず、それが原因で村人に魔女だとバレてしまい、お祖母様の旦那様(私にとってはお祖父様にあたるお方)とお祖母様とお母様は村を追われてしまう。 しかし逃げ切れず……お祖父様は村人に殺され、お母様を逃がそうとしたお祖母様も村人に…………まだ5歳くらいで小さかったお母様は力の限り逃げ続け、倒れていたところを少年時代のお父様に発見され、ヴァッセル家で保護する事になったのだと言う。 当時のヴァッセル家当主であるお祖父様はとても優しい方だったから、そのままお母様を養子にし、大きくなるまでヴァッセル家で育ててくれたのだとか。 「魔女だという事も分かって養子にしてくれたお義父様には本当に感謝してもし切れないわ。私はお父様と小さな頃から一緒に育ってそのまま結ばれる事が出来たの。それもお義父様が色々と手を回してくれて……あなたを授かる事も出来て本当に運が良かったと思ってる」 「お母様……」 お母様にそんな過去があったなんて、全く思いいたらなかった。 いつも穏やかで素晴らしい淑
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第16話 ※ピクニックデート

 ベッドに腰をかけながら、魔女についての話を頭の中で何度も繰り返しながら、悶々とする日々を送っていた。 お母様は私を生む事で力がなくなったとおっしゃっていたから、寿命も普通の人と同じくらいという事かしら。 そもそもお祖母様以外は何百年も生きた事がないのだから、魔女=不老不死というのが成立するかは分からないのよね。 私も血を受け継いではいるけど、生きてる年数は18年だし、人と同じように成長しているから自分の寿命については今の段階で結論は出せない。 お祖母様が生きていらっしゃったら聞く事も出来たのでしょうけど……もし話を聞ける存在がいるとしたら、東に住んでいると言われる黒の魔女くらいかしら。 お母様の話では、お祖母様ですら一切接触していなかったくらいなので、お母様が黒の魔女の近況なんて知るはずがないわよね。 生きているのかも――――いえ、きっと生きているに違いないわ。 お祖母様は何百年も生きていたのだから、恐らく初代の魔女は寿命というものがないのではと思う。 誰かに殺されていなければ、だけど……魔女の力があれば簡単に殺されるとも思えないし。  だからこそ魔女の生き血には不老不死の効果が、というような変な噂が広まってしまったのかもしれない。 黒の魔女に会ってみたいな。 色々と聞きたい事がありすぎて……でも今の私は白の魔女として不完全な存在。  ”真に愛する者と結ばれた時、全ての力が目覚める” これはきっと、ドミニク様と最後までした時、という事よね。 私のドミニク様への気持ちは、まだ両親には打ち明けていない。でもお母様はなんとなく分かっているのかもしれない。 だからこそ、この婚約を許可したのかも―――― それに私の気持ちを一番先に伝えるべき相手は、ドミニク様だと決めている。
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第17話 ※青空の下で

 「ん、ん…………んんっ……」 それはいつもとは違う、激しいキスだった。 いつもは啄ばむようなキスだったり、優しく触れ合うようなキスから始まる。 でも今回は初めから貪るような口づけで、捕食されているような感覚に襲われてしまうほどの荒々しいキス。 いきなりねじり込まれたドミニク様の舌は、私の舌を絡め取るように動き回り、舌先で上顎を擦り合わせたり、舌を強く吸われて唾液までも吸い尽くされ……どんどん激しく迫ってくる。 気付けばドミニク様の方を向いて服にしがみついていた。 「はっ、んんっ……んぁっ…………っ」 「ティナ……ティナ…………」 私の名前を呼び続けながらキスの嵐を降らせてくる……まるで懇願するかのよう。  いつも大人で余裕があってスマートな、私よりも一歩も二歩も先をいく知的な男性というイメージのドミニク様。 その彼が、欲望のままに私を求めている感じがして、戸惑いよりも私の全身が喜んでいるのが分かる。  もっとあなたの気持ちをぶつけてほしい。 どんな彼でも受け止めたい――――そんな事を考えながらキスに夢中になっていると、やがてドミニク様の両手は私のお尻を鷲掴みにしながら揉みしだき始めた。  「んんっ」 まさかここで?という気持ちと、さっきの”続き”という言葉を思い出し、体が火照ってくる。   馬車からは離れているし周りには誰もいないけれど……考える間もなく流れに身を任せていたら、その手はスカート越しに私の秘所を探し当て、後ろから割れ目を刺激し始め
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第18話 スパルタな魔力の訓練

 ドミニク様とピクニックデートをした翌日、魔女の力が徐々に戻ってきている事を実感してきた私は、自身の力を制御出来るように練習をしてみようとお母様にお願いしてみる事にした。 お母様はもう魔女として力を使う事は出来ないけれど、コツとか力の扱い方などを知っているはずだから。  「そうね、そろそろ練習をしてみるのもいいかもしれないわね。庭園が広いからそこで行う事にしましょう」 「お母様、ありがとうございます!」 2人で意気揚々と庭園に移動し、まずは自分の中に流れる魔力について教えてもらう事になった。 「魔力の流れが分からないと力を上手く使いこなす事は出来ないの。私も小さな頃はまるで分からなくて……たびたび暴走しそうになってしまう事もあって」 「暴走しそうになった時はどうしたのですか?」  「あなたのお父様……チェザーレが私を抱きしめてくれて落ち着かせてくれたわ」  お母様は私の素朴な疑問に照れながら顔を赤らめ、当時の事を話してくれた。 一瞬、自分のお母様だけど少女のように見えて、今でもお父様の事をとても愛していらっしゃるのねと微笑ましくなってしまう。 私もドミニク様に抱きしめられたら、すぐに落ち着きを取り戻せるに違いないもの。  「ふふっ、やっぱり私、お父様とお母様の娘として生まれて幸せです」 「ティナ、あなたが愛する人と結ばれようとしている事がとても嬉しいわ。でもその事でリスクを背負わせてしまう事になるのが心苦しいと思う事もあって……」 「お母様、私はドミニク様と婚約した事を微塵も後悔していません。たとえ私が魔女の血を引いていると分かっていても婚約したと思います。どう頑張っても諦める事は出来なかったから」 今までの日々を思い出しながら、ドミニク様を想い続けた記憶を辿り、小さな頃から魔女だと分かっていてもずっと好きだった自信がある。 「
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第19話 ~ドミニクSide~ 約束 

 ツェットリーニ王国第二王子として生を受けた私はドミニクと名付けられ、王族に生まれながらも自由気ままに育てられた。 王太子として期待を一身に背負っていた兄上とは違い、私には誰も期待していないのはよく分かっていたし、それならばと好き勝手過ごしていると、次第に王家の問題児となっていく。 物心ついた時には、時折私に擦り寄ってくる諸侯がいる事にも気付き始め、そういった事はよく分からないフリをしてやり過ごす。 期待されていないと思ったら期待してくる人間もいて、正直他人とは深く関わりたくはなかった。 常に道化を演じている、そんな可愛げのない子供だったように思う。    しかし周りも放置するようになった私に対して、フェンデルバーグ家当主のフェンデルバーグ公爵だけは何かと私に接触してきて、王位をチラつかせてきた。  「あなたがトップに立ち、この国のバカどもを粛清するのです」 「そんな事に興味はないので、ご自分でやったらよろしいのでは?私もあなたの仰るバカどもと大して変わりませんよ」      最初は適当にあしらっていたし、私が道化を演じていればその内遠ざかっていくだろうと考えていたが、子供の浅知恵などお見通しと言わんばかりに私が14歳になるまでずっとねっとりと纏わりついては王位をチラつかせるような言葉を投げかけてくる。  そして逃がさないと言わんばかりに、私が16歳の時に公爵の娘であり私の幼馴染でもあるテレージア・フェンデルバーグ公爵令嬢との縁談話が持ち上がった。  その時にはフェンデルバーグ公爵は国王である父上の右腕にまで昇りつめ、もはや王家としても無視出来ない存在となっていたので、私とテレージアは婚約し、やがて17歳になったと同時に結婚する事となる。  彼女と結婚した事によって兄上と私のどちらを次期国王にするかの争いが起こってしまうのは必然だった。 私にとっては一番恐れていた事態だ…………こうして政権争いに否が応でも巻き込まれていった私は、テレージアが流行病で病死するまで、この争いは続いていく事となるのだった。  ~・~・~・~・~・~   テレージアにとってこの結婚は望ましいものではないと思っていたのに、彼女にとっては都合が良かったようで、思いの外乗り気だった事に驚いてしまう。  「君はそれでいいの?」  王宮
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