馬車の中ですぐに衣服を整え、ドミニク様の手に自分の手を重ねて馬車から降りると、私の姿を確認した両親が駆け寄ってくる姿が目に入ってくる。 「「ティナ!」」 「お父様、お母様!ご心配をおかけして申し訳ございません」 「急に泊める事になってすまない」 「いや、ティナを保護してくれてありがとう、ドミニク。君がいてくれて助かったよ」 保護? ドミニク様の方をチラリと見てみると、いつもの柔らかい笑みではなく、含みのある笑みを浮かべているのが私にも分かった。 私の知らないところで両親にどんな事を伝えていたんだろう……もう少し様子を窺っていると、お母様から驚きの言葉が出てきたのだった。 「ティナったら、閣下にご迷惑をおかけしてはいけませんよ。お酒が飲めないのに無理をするから……閣下がいなければどうなっていたか。夜会ではアルコールは禁止です」 「はい……」 私はどうやらお酒を飲み過ぎて酔いつぶれてしまい、ドミニク様が介抱する事になった、という設定になっているらしい。 (ドミニク様、どういう事ですの?) (ごめん、君を邸に泊める為に少し捏造した。結婚前に何の理由もなしに泊めるわけにはいかないから) (だからって……) 私たちはひそひそ話で確認し合う。 確かに何の理由もなしにドミニク様のお邸にお泊りなんて、お母様はともかくお父様は許してくれないでしょうけど……でもそのおかげでドミニク様の気持ちを知る事が出来たし、結ばれる事が出来たのよね。 怒りたいけど、怒れない。 私が頬を膨らませていると、ドミニク様が私の耳元で大好きな低い声で囁いてくる。 (怒らないで、可愛いティナ) 「と、とにかく邸に入りましょう!」
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