All Chapters of 愛人を孕ませた婚約者に捨てられましたが、初恋の寡夫公爵に溺愛され始めたら元婚約者が狂いました: Chapter 41 - Chapter 50

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第40話 魔女の証と使い魔

 馬車の中ですぐに衣服を整え、ドミニク様の手に自分の手を重ねて馬車から降りると、私の姿を確認した両親が駆け寄ってくる姿が目に入ってくる。 「「ティナ!」」 「お父様、お母様!ご心配をおかけして申し訳ございません」 「急に泊める事になってすまない」 「いや、ティナを保護してくれてありがとう、ドミニク。君がいてくれて助かったよ」 保護? ドミニク様の方をチラリと見てみると、いつもの柔らかい笑みではなく、含みのある笑みを浮かべているのが私にも分かった。 私の知らないところで両親にどんな事を伝えていたんだろう……もう少し様子を窺っていると、お母様から驚きの言葉が出てきたのだった。 「ティナったら、閣下にご迷惑をおかけしてはいけませんよ。お酒が飲めないのに無理をするから……閣下がいなければどうなっていたか。夜会ではアルコールは禁止です」 「はい……」 私はどうやらお酒を飲み過ぎて酔いつぶれてしまい、ドミニク様が介抱する事になった、という設定になっているらしい。 (ドミニク様、どういう事ですの?) (ごめん、君を邸に泊める為に少し捏造した。結婚前に何の理由もなしに泊めるわけにはいかないから) (だからって……) 私たちはひそひそ話で確認し合う。 確かに何の理由もなしにドミニク様のお邸にお泊りなんて、お母様はともかくお父様は許してくれないでしょうけど……でもそのおかげでドミニク様の気持ちを知る事が出来たし、結ばれる事が出来たのよね。 怒りたいけど、怒れない。 私が頬を膨らませていると、ドミニク様が私の耳元で大好きな低い声で囁いてくる。 (怒らないで、可愛いティナ)  「と、とにかく邸に入りましょう!」  
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第41話 ~ドミニクSide~ 新たな疑惑と恋敵(ライバル)登場? <第1部・完>

 「それで、何か私の耳に入れなければならない事でもあったのか?」 ティナと夫人の後ろ姿を見送り、扉が閉まるのを確認してチェザーレに確認する。 夫人の様子から私に伝えなければならない話があるのを感じ、淹れてもらったお茶を飲みながらチェザーレに目線を移す。 特に急ぎの用件という感じでもなさそうだが……昨夜、ティナを迎えに行った時は何事もなさそうな雰囲気だったはずだ。  「……王太后陛下の容態が思わしくない」 「母上が?」 「最近は小康状態で少し回復気味の状況でいらしたのに、昨夜……といっても明け方に発作を起こしてからあまり良くないようだ」 「明け方……」 そうか、私のもとへも知らせは来ているのだろうが、ティナと邸を出たから行き違いになっているのかもしれない。 今頃執事のグラースが受け取り、私に知らせなければと慌てている事だろう。 チェザーレの夫人は薬草の知識があるので、時々王宮に出向いて母上の為に薬湯を作ってくれていた。  これが侍医も認めるほど大層効くという。 今思えば夫人も白の魔女だったので、母君から薬草の知識を受け継いでいたのだろう。 この薬湯が効いていたのか母上の病の状態は本当に少しずつではあるが、良くなってきていた。 その事に安心している自分がどこかにいて、見舞いに行く頻度が減ってしまっていたのを今さらながらに後悔する。  「父上も原因不明の病とされていたが、母上の病の原因も未だ分かっていない。このような病が王国に蔓延する事は想像したくはないが……」 「お2人とも、少しずつ長い時間をかけて病に侵されていったので、何が原因かを突き止めるのが困難だと陛下が嘆いておられた。しかし、私たちは本当に病なのか疑っているんだ」 「どういう事だ?」 チェザーレの言葉に私は
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第42話 <第2部>王宮へ出発

 ドミニク様が帰り、お母様やお父様に王太后陛下の容態を詳しく聞くと、良くなっていたけれどまた振り出しに戻った状態らしく、王宮には緊張が走っているらしい。 そしてお母様が魔女の力について語ってくださった。 この世に2人いる魔女――――白の魔女は回復系、黒の魔女は呪術系を得意とする。 私は力が覚醒した時、2人の記憶も引継ぎ、お祖母様の薬草の知識も得る事が出来た。 きっとお母様もお祖母様の知識を受け継いで薬湯を作っているのね。  「今度は私が王太后陛下に効く薬を作ってさしあげた方が良いのでしょうか?」 「いいえ、それは私でも出来るから大丈夫。あなたにしてもらいたいのは王太后陛下の体がどういう状態なのかを診てもらいたいの」 私はお母様の仰ってる意味が分からず目を白黒させるばかりで、何も答える事が出来ない。  「どういう状態かというのは、私が診て分かるものなのでしょうか?」  薬草などの知識は得られたけど、病の知識があるわけではないから……戸惑う私にお母様は話を続けていく。 「魔女の眼を使うのよ」 「魔女の眼?」 「魔女の眼には色々なものが映っているはず。まだ力が戻ったばかりだから分からないのでしょうけど。例えば体内に入っている毒物も見分ける事が出来るはずよ」 「そんなモノまで?!」 『もちろん出来きますとも!私も一緒に行きますのでお手伝いしますね』 「ラディ、ありがとう」 お母様に言われて驚きを隠せずに声を上げてしまったけれど、力が戻るという事はただ魔法のような力が使えるだけじゃないのね。 魔女というとおとぎ話の中の人物というイメージが強くて、まだ全然実感が湧かないわ。 力を使いこなせるようになれば、もう少し実感するものなのかしら……ラディと話す事が出来ている時点で普通の事ではないのだけど。 でも待って&he
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第43話 ※やっと2人きり

 「彼には刺激が強かったかな」 「……そうみたいですわね」 私たちは顔を見合わせて笑い合う。 ラディにもいつか愛する伴侶が出来て、私の使い魔が出来なくなる時がくるのかもしれない。 そう考えると少し寂しいけれど、愛する者と結ばれて家族が出来るのは素晴らしい事だもの、彼にもそういう相手が見つかりますように。 私がそんな事を考えていると、ドミニク様がおもむろに馬車の窓を閉め、カーテンもサッと閉めてしまい、馬車の中は甘い雰囲気に変わっていく。 「やっと2人きりになれた」 「ドミニク様……」 「ドムだよ」 「ドム…………んんっ……あっ」 すぐに私は馬車のソファに寝かされ、性急に求められていく。 口内はすぐに彼の舌でいっぱいになり、待ちわびていたかのようにお互いの舌を絡ませ、唾液の音が馬車の中に響き渡ると私を興奮させていった。 彼のお邸から帰ってから、2人で落ち着く間もなく王宮に行く事になって、私も2人の時間に飢えていたのかもしれない。 ここが馬車の中にも関わらず、彼を求める事が止められなくなっていた。 「ん…………ここが馬車なのが悔やまれるな。君の可愛い声があまり聞けない」 「んんっ…………だって、声聞かれちゃ、う……んっ」 「君の甘い声を聞いていいのは私だけだから、仕方ないんだけどね」 ドミニク様は慣れた手つきでスカートを捲り上げ、下着を片足だけ外されてしまい、自身の指を蜜口へと滑り込ませていく。 「まだ弄っていないのに、もう濡れてる……期待してた?」 「あ、言わない、で&hellip
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第44話 婚約者として紹介されたけれど…?

 馬車から降りて辺りを見回すと、いつも来ている王宮の正面にある正門ではなく、全く反対に位置する裏門の方に停まっていた。 「王族の寝室は奥の方だから、裏から入った方が近いんだ」 「それでこちら側に停まったのですね」 「母上の寝室へは私が案内するよ。私がいればすぐに通してくれるだろうし」 「はい!」 そうよね、ドミニク様も今は公爵位を賜わって王宮から出ているけど、王族としてここで育ったのだもの、中の構造も全て把握しているわよね。 私はドミニク様の腕に手を置き、彼にピタリと付いていく。 さすがにラディはドミニク様の頭ではなく、私のうなじ辺りにひっそりととまり、髪の中に隠れるように姿を潜めていた。 王太后陛下の容体が思わしくないからか、王宮内が静まり返っているように感じる。 「いつもこのように静かなのですか?」 「いや、こんなに静かではないし、近衛兵も少ない。母上の方に人員が集まっているのかもしれない」 ドミニク様のお話を聞いていると、緊張感が増していく。 それほどお加減が良くないという事よね……もし私がお見舞いの最中に容体が急変したら、私はどういう決断をすればいいのだろう。 薬草を持ってきたけれど、容体が悪いならあまり出番はないかもしれないわね。 お母様に力を使わないようにと言われた時は、その方がいいしそうするべきだと思ってはいたけれど……もし命の危機に瀕しているならば、私は力を使って助けるべきではと思っていた。 ドミニク様にもお母様にも伝えてはいないけれど。 愛する人の家族を見殺しにするなんて、私には出来ない。 そうやって自分の身を守ったとしてもどうやってこの先生きていけばいいの?笑ってドミニク様と生きていける? 何度も自問自答したけど答えは否だった。 きっと今までみたいにドミニク様と笑い合う事は出来ない。 どちらにしても厳しいのなら自
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第45話 女の勘

 「さあ、あまりうるさくしていると、王太后陛下のお体に障ってしまいますわ。お2人とも、お見舞いに来てくださったのですわね?」 「ええ、母上が発作を起こしたと聞いたので」 王妃殿下が話題を変えてくださり、ドミニク様が王太后陛下の話をした途端、皆の表情が曇っていく。 やっぱり容体が思わしくないのね……国王陛下は少しやつれているようにも見えるわ。 実のお母様ですもの、心中穏やかではいられないわよね。 「あの……よろしければ少し王太后陛下を診てもよろしいでしょうか?母から薬草などを預かっておりまして、ご容体を診てきてほしいと頼まれたのです」 「まあ、そうなの。ウィズリンの作る薬湯は本当に効くの。王太后陛下も嬉しそうに飲んでいたわ。それなのに突然また悪化してしまうなんて……」 お母様の作る薬湯は王太后陛下にしっかりと効いていらっしゃった。 それなのにどうして突然発作が起きたのだろう。 きっとここにいる誰しもがその事に疑問を持っているに違いないわ。 いずれにしても王太后陛下を魔女の眼で視てみない事には、何が原因なのかも分からないので、さっそく王太后陛下を見舞う事にした。 すると後ろからシェリアン王女殿下の大きな声が聞こえてくる。 「そんな世間知らずの娘にお祖母様の何が分かるのかしら。ウィズリン様ならまだしも……悪いものを与えないといいのだけど」 「シェリー、失礼な事を言うのは止めなさい」 室内には王妃殿下がシェリアン王女を窘める声が響き渡る。 悪いもの……お母様は王太后陛下に関わってきたけれど、私はその娘とは言えシェリアン王女から見れば全く信用出来ないのは仕方がない事かもしれない。 大切なお祖母様に何をされるか、不安になる気持ちも分かる。 それに私の勘違いでなければ、ドミニク様の事が絡
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第46話 波乱の治療現場

 王太后陛下の隣りの部屋は客間となっていて、さすが王宮内の一室と言うくらい家具類なども一級品のものばかりが揃えられているのが一目でわかる。  ここを簡単に使っていいものかと動揺してしまうわ。 ドミニク様にとっては普通の光景なのでしょうけど…… そんな私の気持ちなどお構いなしに、ドミニク様が私を抱きかかえたままソファへ座り込んだ。 『あの王女殿下、何かにつけてティナ様に暴言を吐かれる。どうにかならないのですか、ドミニク殿』  ここには私とドミニク様とラディしかいないので、ラディは思い切り声を上げて彼に抗議していた。 「すまない、ここまで酷いとは思っていなかった。私の考えが甘かったようだ……ティナにも嫌な思いをさせてしまったね」 「いえ、気にしないでください。ドミニク様のせいではありませんわ。それに、何となくお気持ちが分かってしまうから」 「シェリアンの気持ちが?」 『ティナ様は優し過ぎるのです。たとえ気持ちが分かるとしても、やっていい事と悪い事の区別くらいはつくのが大人です』 ラディが理路整然と言ってのけ、私は苦笑するしかなかった。 ラディの言っている事は正論で正しいと思うし、私もそういう大人でありたいと思う……でもきっとシェリアン王女は今でもドミニク様の事を慕っているのよね。 恐らく小さい頃からなのではと思う。 王女殿下が幼い頃に婚約を結ばれているのは国中が知っているし、それも東の帝国からの要望で、帝国領にある王国へと嫁ぐ事が決まっていた。 西と東でそれぞれ大きな帝国によって分断されつつあるこの世界は、東のイースナビア帝国と西のウェインドル帝国がそれぞれの属国を支配下にしている。 そしてツェットリーニ王国は西の端にあり、ウェンインドル帝国と同盟を結んでいる状況下ではあるけれど、当然力関係の差はある。 ウェインドル帝国の歴代の皇帝陛下が好戦的ではないお方なの
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第47話 ドミニク様のお母様

 弱々しくも威厳のある声の主に目線を移す。 そこにはベッドで横たわっていた王太后陛下が目覚めていて、こちらを窺っていた。 「ここは……私の寝室……騒いでいる者はここに来なさい」 「「王太后陛下!!」」 皆が驚き、そして喜びながら王太后陛下のもとへ駆けつけた。 私は王族の方々の邪魔にならないように丸椅子から避けたけれど、体に力が入らずにヘタリ込んでしまったので、ドミニク様が駆けてきて私を支えてくださり、何とか立ち上がる事が出来たのだった。 皆の後ろから王太后陛下の様子を見ていると、顔色も随分良くなっているし、ちゃんと毒物を体から追い出す事が出来たのだなとホッと胸を撫でおろす。  国王陛下も王妃殿下も皆、王太后陛下が目覚められて、とっても嬉しそうだわ。 それほど皆から慕われているのね……毒が体から抜ければ、あとは体力を付けていくだけだもの。 これからどんどん回復していくと思う。 「ティナ、大丈夫かい?」 「はい、支えてくださってありがとうございます。力の加減が分からず、使い過ぎてしまったようで力が入らなかったのですわ」 「すぐに隣の部屋へ連れて行くよ。少し休んだ方がいい」 私の体を気遣って休ませようとしてくださるドミニク様は、私を支えながら扉へ向かおうとする。 でも私はドミニク様が皆の輪の中に入ろうとしないので、このままでいいのかと思い、彼に声をかけた。 「ドミニク様、王太后陛下が目覚められたのですから、皆様とご一緒に顔を見せて差し上げた方がよろしいのでは?」 「……私は後でいいんだ。今は邪魔をしないでおこう」  「待ちなさい」   どこか寂し気なドミニク様の様子が気になってなかなか休もうという気持ちになれずにいると、突然王太后陛下からお声がかけられ、私たちは立
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第48話 ※彼の労い

 「ティナ、母上の事、本当にありがとう。 きっと兄上達もホッとしていると思う」 「いえ、当たり前の事をしただけです。 むしろ陛下や王妃殿下が許可してくださったおかげですわ」 私が白の魔女である事を聞いて、信じてもらえなくても仕方ないと思っていたし、本来ならシェリアン王女のような反応が普通だと思う。 白の魔女なんて伝説上のものだと誰しもが思っているでしょうし、私自身も自分がそうであると納得するまで時間がかかったのだから。 それなのに力を使う事を許可してくださって、本当にありがたい気持ちでいっぱいだった。 ドミニク様のお母様だもの、何としても助けたかったから。 「兄上は母上の体に長年毒を盛られていた事にとてもショックを受けていた。私が父上の死因も調べ直すべきではないかという話してみたところ、覚悟を決めたようだった」 「王太后陛下の体を蝕んでいた毒物がなんなのか、いつ盛られたのかを調べなければ、また同じ事が起きてしまいます。陛下もお辛いでしょうけど」 「でも母上だけでも助かってくれて良かったと思うしかない。これ以上被害を出さない為にもしっかりと精査しなければ」 そう語るドミニク様の表情はいつにも増して厳しいもので、調べるのが容易ではない事を物語っていた。 私に出来る事はないかしら……今回助ける事は出来たけど、まだ犯人が見つかっていないという事は、また毒物を盛られる可能性が高いわ。 もし犯人が王太后陛下が回復したと知ったら、きっと―――― 「ドミニク様、私を明日一日、王太后陛下のお側に置いてもらえないでしょうか?」 「明日一日?それは、多分大丈夫だと思うけど……理由を聞いてもいいかい?」 「はい。 今回王太后陛下の容体が回復しましたが、もし犯人がこの事を知ったら、次は即効性のある毒物を使う気がするんです。 長年徐々に蝕まれていらっしゃったので、長い計画があったはずがそれが頓挫したわけですから、また長い時間をかけてというのは考えにくいか
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第49話 ~ドミニクSide~ ※欲望と理性のせめぎ合い

 ヴァッセル家で母上の発作の話を聞いた翌日、王宮に行く前に色々と考えてみた。 父上の死もあっという間だったし、母上に関しても全く何の病気か分からず、どれだけの名医を呼んでも治す事が出来ていない現状を思い返す。 それなのに父上と母上を蝕んだ病は民に広がる事はなくこの2人にだけ起こっているのだから、本当に病なのか、王家への呪いではないのかと噂されるようになったのだ。 私は呪いなどは信じないタイプの人間だ……しかし親友夫婦の話を聞き、調査し直した方がいいという結論に達した。 何者かに毒を盛られている、か。 チェザーレが言うように父上はとても健康で、病だと言われた時も全く信じられなかったのを覚えている。 そしてすぐに容体は悪化していき、あっという間に逝去されてしまわれた。 なぜあの時に原因が分からなかったのか、検死の結果なども気になるので、今日王宮に行った時に兄上と話をしなければと考えていた。 もしこの事を放置し、母上が亡くなれば次は兄上達の番では……と嫌な予感が頭を過ぎる。 自分の思考をひとまず振り払い、ティナを迎えに行ったのだった。 そうして私の目の前に現れた女神は、今日はほんの少し大人っぽい服装でゆったりとしたローブを身に纏っている。 そしていつもは美しいホワイトブロンドに髪飾りを着けるシンプルな髪型なのに、今日は左側に全て寄せていて、美しい髪飾りで留めていた。 私と対になるような髪型だな。  反対側は彼女の美しいうなじや顔のラインが露わになっていて、馬車に乗ると吸い込まれるように思わずそこへ口づける。 私を誘っているかのようだ。 この美しい婚約者の全ては私のものだと痕を付けたい衝動に駆られ、馬車に入るとすぐにキスマークを付ける。 ティナは恥ずかしいのか肩まで赤くしながら抗議していたが、そんな姿も煽られている気がするだけだった。 私の言葉で照れてしまったラディは外に出て行ったので、2人キリにな
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