同じ夜会へ向かっているのに、今夜の私は、もう何も知らずに破滅へ歩く令嬢ではなかった。 ロザリー・モンフォール伯爵夫人の春の慈善夜会を迎えるまでに、私たちはできる限りの準備を整えた。もっとも、そのほとんどは誰にも気づかれてはならない支度だった。毒の名を口にすれば、リディアは警戒する。夫人が急に身支度の手順を変えても、同じことだった。 だから私は、夫人が普段使っている香油に似せた替えを用意した。白薔薇の甘さに、ごく薄く薬草めいた青さが混じる、あの香油とほとんど同じ匂い。瓶も、栓も、首に結ぶ細いリボンも変えない。違うのは、中身に眠り実の油が含まれていないことだけだった。 本来なら、香油は身支度のたびに肌へ薄く重ねられ、夜会が始まる頃には夫人の身体を静かに蝕んでいるはずだった。首筋、手首、髪の内側。香りをまとうための所作が、そのまま毒を入れる手順になる。前の私は、それに気づけなかった。 夫人には、いつもと同じ瓶を、いつもと同じ手順で使ってもらうよう頼んである。侍女の前では何も知らないふりをし、髪を梳かせ、首筋へ香油を落とされても、決して表情を変えないように。医師は隣室に控えさせてある。名目は年配の来客への配慮。モンフォール家の執事には、夫人の具合が悪くなった時、客を遠ざける手順だけを伝えてある。 アウルはそれらを、驚くほど静かに、しかも早く整えた。私は前の夜の記憶を頼りに、夫人が倒れる場所、杯が置かれる卓、リディアが動きやすい位置を何度も頭の中でなぞった。 同じことが起きる。ただし、結末だけは変える。 そう心に刻んで、私は鏡の前に立っていた。 今夜のドレスは、仮面夜会でまとった濃紫とはまるで違っていた。淡い藤色の絹が幾重にも重なり、裾へ向かうほど白くほどけていく。胸元は大きく開きすぎない形で美しく整えられ、鎖骨の下には真珠を連ねた飾りが静かに光っていた。透ける薄布の袖には小花を思わせる刺繍が散り、腰から流れる生地には金糸の飾りが細く揺れる。男の目を引くための装いではない。けれど、春の夜会にふさわしい華やかさと、顔を上げて広間へ入っていくための凛とした強さが、その一着には確かにあった。 鏡の中で、銀の髪はゆるやかな波を残したま
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