農園の視察を終えると、敷地内に併設された真新しい調理スペースへと案内された。 清潔な白木のカウンターと、使い勝手の良い最新の調理器具、プロ仕様の強力なガスコンロが揃っている。 大きな窓からは、広大な農園の秋景色が一望できた。「ここで採れたての野菜を調理してみないか? 簡単なものでいいから、君の腕前を見せてほしい」 悠斗の提案に、春菜はうなずいた。「ぜひ、やらせてください。これだけ素晴らしい食材を前にしたら、料理人として腕が鳴ります」 春菜はカウンターの内側に入り、丁寧に手を洗う。(さて。何を作ろうかしら) 先ほど収穫したばかりの原木シイタケとバターナッツカボチャをまな板の上に置いた。 レシピを考えるのはわずかな時間。 すぐにこの新鮮な食材が料理に変わるイメージが立ち上がった。 包丁の刃先を入れると、硬いカボチャの皮がサクッと音を立てて割れ、鮮やかなオレンジ色の果肉が顔を出す。 シイタケは手で適度な大きさに裂き、カボチャは火が通りやすいよう薄切りにする。フライパンにバターを熱し、ニンニクの香りを移してから食材を投入した。 ジュワッという音とともに、バターの乳脂肪とキノコの旨味が混ざり合った香ばしい匂いが立ち上る。 火加減を細かく調整し、素材の水分を逃がさないように手早くソテーする。仕上げに少量の岩塩と黒胡椒だけで味を調えた。「お待たせしました。採れたてキノコとカボチャのシンプルソテーです」 レシピとしては極めてシンプルな内容だが、素材の良さを活かすにはこれが一番だと思ったのだ。 春菜が温めた真っ白な皿をカウンターに置くと、悠斗は目を輝かせた。「素晴らしい香りだ。さっそくいただこう」 2人はスツールに腰掛けて、料理を味わう。 シイタケを一口食べると、噛むごとに溢れ出す濃厚な旨味と香りが口いっぱいに広がった。「美味しい……。野菜そのものの味が驚くほど濃いから、余計な味付けがいりませんね」 春菜が自身の作ったソテ
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