幸い、事件がおきたのが金曜だったお陰で、土日とゆっくり休む事が出来た。その間、叶弥はずっとオレの部屋に居るし、若衆の連中もちょいちょい様子を見に来るようになった。まだ、叶弥以外の男に触れられる事に対する恐怖感は拭えていない。それでも、若衆の連中はイヤな顔をせず接してくれる。「若!京司さん!昼飯持ってきました!」 「おう。今開ける」普段大広間で食事をとっていたが、流石に大勢の男に囲まれるのは...との配慮で、自室で叶弥と二人で食事をとるようになった。叶弥が部屋のドアを開けると、二人分の食事を持った若衆二人が姿を現した。「京司さん、今日の昼飯は京司さんの好きなオムライスッス!」 「ありがとう......嬉しいよ」 「いえ!オレが腕をかけて作った自信作なんで!」 「お前が作ったのか?」 「はいっ!」 「美味そうだ。味わって食べるよ」 「お口に合うと嬉しいッス!」そう言って彼らは「また食器回収にきますね!」と言い残し部屋を後にした。「なんだ気ぃ遣わせて悪いな......」 「お前はなんも悪くねぇんだから気にすんな。」そう言うと、オレと叶弥はオムライスを口に運ぶ。「京、付いてる」 「んっ......」叶弥がオレの頬に付いた米粒をそっととり、自分の口に入れた。オレはなんだか気恥しくなり食事の手を止めてしまった。「京?どうした?」 「い、いや。なんでもない......」オレは何かが心に芽生え始めたのに気づかないフリをしていた。...オレなんかが叶弥に対して抱いてはいけない感情だからだ。その代わり、しっかりとした"若頭補佐"として相応しい人間になろうと心に誓った。「さっ、早く食べねぇとアイツら来ちまう」 「そうだな」オレは叶弥を急かすように声をかけ、食事を再開させた。そうしてオレ達はオムライスを完食した。「美味かったな」 「あぁ。アイツ、料理の腕だけじゃなくてケンカの腕も磨いてくれねぇと困るんだが......」叶弥はすっかり組のトップの様な顔つきになった。「良いじゃねぇか。料理してくれるヤツも必要だぞ?」 「......オレの分は京が作ってくれりゃあ良い」そう、実を言うと五十嵐組に来てから何か力になりたくて、子供の頃から料理の手伝いをしていたのだ。「オレの料理なんてまだまだだぞ?」笑いながらそう問うと、「そんな事ねぇ!」
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