All Chapters of その番犬、狂暴につきまして。: Chapter 11 - Chapter 20

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episode11

幸い、事件がおきたのが金曜だったお陰で、土日とゆっくり休む事が出来た。その間、叶弥はずっとオレの部屋に居るし、若衆の連中もちょいちょい様子を見に来るようになった。まだ、叶弥以外の男に触れられる事に対する恐怖感は拭えていない。それでも、若衆の連中はイヤな顔をせず接してくれる。「若!京司さん!昼飯持ってきました!」 「おう。今開ける」普段大広間で食事をとっていたが、流石に大勢の男に囲まれるのは...との配慮で、自室で叶弥と二人で食事をとるようになった。叶弥が部屋のドアを開けると、二人分の食事を持った若衆二人が姿を現した。「京司さん、今日の昼飯は京司さんの好きなオムライスッス!」 「ありがとう......嬉しいよ」 「いえ!オレが腕をかけて作った自信作なんで!」 「お前が作ったのか?」 「はいっ!」 「美味そうだ。味わって食べるよ」 「お口に合うと嬉しいッス!」そう言って彼らは「また食器回収にきますね!」と言い残し部屋を後にした。「なんだ気ぃ遣わせて悪いな......」 「お前はなんも悪くねぇんだから気にすんな。」そう言うと、オレと叶弥はオムライスを口に運ぶ。「京、付いてる」 「んっ......」叶弥がオレの頬に付いた米粒をそっととり、自分の口に入れた。オレはなんだか気恥しくなり食事の手を止めてしまった。「京?どうした?」 「い、いや。なんでもない......」オレは何かが心に芽生え始めたのに気づかないフリをしていた。...オレなんかが叶弥に対して抱いてはいけない感情だからだ。その代わり、しっかりとした"若頭補佐"として相応しい人間になろうと心に誓った。「さっ、早く食べねぇとアイツら来ちまう」 「そうだな」オレは叶弥を急かすように声をかけ、食事を再開させた。そうしてオレ達はオムライスを完食した。「美味かったな」 「あぁ。アイツ、料理の腕だけじゃなくてケンカの腕も磨いてくれねぇと困るんだが......」叶弥はすっかり組のトップの様な顔つきになった。「良いじゃねぇか。料理してくれるヤツも必要だぞ?」 「......オレの分は京が作ってくれりゃあ良い」そう、実を言うと五十嵐組に来てから何か力になりたくて、子供の頃から料理の手伝いをしていたのだ。「オレの料理なんてまだまだだぞ?」笑いながらそう問うと、「そんな事ねぇ!」
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episode12

二日間ゆっくり休んだり、若衆の連中と少しずつ接したお陰でオレは月曜の朝、大広間に顔を出す事が出来た。もちろん隣には叶弥がいたが。「おはよう皆」オレがそう声をかけると、大広間は一瞬"シーン"と静寂に包まれたが、ホント一瞬だったので、次の瞬間には「「京司さんっ!!」」と呼ぶ声で溢れかえった。「京司さん、もう出てきて大丈夫なんスか?!」 「あんまり無茶しない方が......」......若衆の連中は一気にオレに対して過保護になっていた様だ。「大丈夫だから。皆のお陰で大分良くなったんだぞ?だから心配しないで、安心してくれ」オレは少し困った様に笑いかけた。その時だった。後ろから「京司?」と声をかけられた。......凛太朗さんだ。「お前、もう大丈夫なんか?......何なら当分休める様に学校に話しつけるぞ?」 「ありがとうございます。凛太朗さん。でも大丈夫です。皆のお陰もあって少し良くなったし、それに......オレだってそんなにヤワじゃ無いですよ?」オレはそう不敵な笑みを作りながら、凛太朗さんに話しかけた。そんなオレの様子を見て「確かにお前なら大丈夫そうだな」と凛太朗さんは安堵した顔でそうオレに告げた。「オヤジ。京もこう言ってっし、オレもついてるから大丈夫だ」今まで口をつむんでいた叶弥かまそう言うと、凛太朗さんも「それもそうだな」と言ってオレの頭をガシガシと撫でた。「......若居たんすか?」 「気づかなかったッス(笑)」 「オメェら......!!」若衆がふざけてそう言うと、叶弥はキレてそいつらに向かって怒鳴り声を上げる。そんないつも通りの光景にオレは思わず「ハハッ」と声を上げて笑った。 それをかわきりに、大広間は笑い声や「もっとやれー!」という声で溢れかえった。「お前ぇら、いい加減にしねぇか。朝飯にすんぞ」凛太朗さんがそう声をかけると、バカ騒ぎが落ち着き、皆席へと着いていく。「京司。今日は車で送っていくからな」......凛太朗さんにそう言われては拒否することが出来ない。オレはそう思いながら叶弥の隣に座り、朝飯を食べ始めるのであった。それから自室に戻り、学校へ向かう支度を済ませる。 その時、丁度叶弥がオレを迎えに来た。「京、準備出来たか?」 「あぁ。大丈夫だ。......それじゃ、行くか」そう言いながら玄関へ向かうと
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episode13

大丈夫とは言ったものの、学校へ向かう車内でオレは少し身体を強張らせていた。最初は外の風景を見ながら気を紛らわせていたが、学校に近づくにつれ、最悪な思い出が蘇ってきていた。そんなオレの様子に気がついた叶弥がオレの手を握ってきた。「......叶弥?」 「京。安心しろ。オレがずっと傍についていてやるから」 「......うん......」叶弥のその言葉と手の温かさで、オレの心は少しずつ落ち着きを取り戻していった。 そうこうしているうちに、ベンツは校門の前へとたどり着いた。「京、着いたぞ」 「あぁ。大丈夫だ。行こう」ベンツの扉が開かれ、叶弥に手を引かれながら校舎へと向かって歩いて行く。その間、周りの生徒から視線が送られてきたが、オレは気がつかないフリをした。 そうして教室へ入っていくと、騒いでいた生徒達は"シーン"と静まり返った。しかし、次の瞬間、思ってもみない展開に見舞わられた。......クラスメイト達がオレの方へと集まってきて、温かい言葉をかけてきたのだ。「田河君!大丈夫?!金曜の騒ぎ聞いたよ......怖かったよね......」 「アイツら即退学処分になったらしいから安心して大丈夫だよ!」 「......え?」 「困惑しちゃうのも無理ないよ......。でも、もう害になる様なヤツらはいないから、これからはオレらと一緒に楽しい学校生活送ろう?折角同じクラスになったんだし。ね?」 「......皆......ありがとう」クラスメイト達の言葉にオレは礼を言いながら、...気づいたら涙を流していた。「た、田河君?!大丈夫?!」 「ッ...ご、ごめん。......嬉しくて......」 「なんだよ京。まぁた、昔みてぇに泣き虫になっちまったか?」 「!ウルセェ!」叶弥の言葉にオレは折角温かい気持ちになったのに水を差され、オレは叶弥の腹部にこぶしを入れた。「イッテェ!!何すんだよ、京!」 「だ、大丈夫?五十嵐君......」 「京のヤツ、中学の頃から手癖が悪くてさ......て、京!悪かったって!こぶし振り翳すのヤメロ!」オレと叶弥のやり取りを見てクラスメイト達が笑い出した。オレはそれに気恥ずかしくなってしまって、顔を赤くし下を向いた。「京?良かったな。良いクラスで」叶弥はオレにそう笑いかけながら頭を撫でてきた。 オレは胸を
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episode14

昼休み、京司と叶弥は大森に呼ばれ生徒指導室へと来ていた。「田河、お前もう大丈夫なんか?」 「はい。クラスの皆のお陰もあってなんとか。それに叶弥もいてくれるので......」そう言うと大森はホッと息を漏らし、頭を下げてきた。「今回はオレ達教師の監督不行届でもある。......本当にすまなかった」 「いえ......元はと言えばオレが殴り飛ばしたのが原因なので......」 「アイツらもそう言ってたが......絡んできたのは向こうなんだろ?」 「......それは......」 「そもそも、目をつけられたのは京だけじゃなくてオレもなんスよ。だから京に目が向けられるようにしちまったオレも悪かったッス」大森は叶弥の言葉に驚いていた。「......五十嵐、お前も悪いと思う事あるんだな......」 「ちょ、先生ヒデェ(笑)」叶弥はケラケラと笑い出した。そのお陰で、その場の空気が少し柔らかくなったのを感じた。「まぁ......なんだ。田河も五十嵐もクラスに馴染んだようで良かったよ」 「先生......ありがとうございます」 「でも、これからは何かあったらオレ達教師を頼れよ?......できるだけ暴力で解決しないようにな。オレの仕事が増える」 「先生、それはちょーっと約束出来ねぇッスわ。こう見えて京は"五十嵐組の番犬"って呼ばれてるんスよ?それに沸点低いから、スグ手と足がでる」叶弥はそう言ってクツクツ笑う。オレはそれを見て叶弥を睨むのだった。「ケンカっ早さだったらお前の方が......」 「それは、どっこいどっこいじゃね?」 「お前ら......まるで夫婦漫才だな......」 「?!先生!!」オレは思わず抗議の声を上げる。すると大森は教師らしい優しい笑みを向け、どこかぎこちなくオレの頭を撫でた。「そんだけの元気があれば、オレは安心だ」 「......先生......」 「......おっと悪いな。昼飯食う時間無くなるな。ま、そう言う事だ。オレ達も目を光らせておくから、安心して学校生活送ってくれ」 「......ありがとうございます」 「んじゃ、オレからは以上だ。教室戻っていいぞ」 「はい。失礼します」そう言いオレと叶弥は生徒指導室を後にした。「ハラ減ったな」 「まぁな。......購買行くか?」 「朝騒いでたから
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episode15

昼休みが終わると、午後の授業はホームルームだった。なんでも再来月にある体育祭についてらしい。身体を動かすことが好きなオレと叶弥は、体育祭が少し楽しみであった。すると、中学が一緒であったクラスメイトがオレと叶弥を体育祭のメイン競技である"組対抗リレー"に推薦してきたのであった。そのクラスメイトいわく、「中学の頃の体育祭で五十嵐君と田河君は注目の的だったんだよね!二人とも凄く足速いし!」 「そうなんだ。なら二人で決定でいいんじゃね?」 「......いやいや、他に適任がいるんじゃねぇか?」オレがそう言うとクラスメイト達は、「田河君、普段の体育の授業でも運動神経の良さが見えてるよ(笑)」と言うのであった。「......ハァ......目立ちたくねぇ......」 「京。諦めろ」 「だって、リレーなんかに出るなんて言ったら、組のヤツら全員で観に来る気だろ......?」 「それはまぁ......そーだな......」これには叶弥も同意見だったようで、どこか遠い目をしていた。「えー、てことはこのクラスから組対抗リレーの代表として出るのは、五十嵐君と田河君ってコトで良いかな?」教壇に立っていたクラス委員長がそう言うと、クラス中から「異議なーし!」と声が上がるのであった。放課後になると、叶弥はオレの席までやって来た。「京ー。いい加減機嫌治せよ。決まっちまったもんは仕方ねーじゃん」 「それについては諦めてる。なんだけど、この表見てくれよ......」 「?......コレ......」この表は組対抗リレーの各クラス代表の名前が記載されている名簿だ。そこに書かれている一つの名前に叶弥は顔をしかめた。「......"湊 友樹"......」そう。この2年の"湊 友樹"という生徒は、オレ達と同じ中学の出身で、...中学時代、オレにつきまとっていた生徒であった。「コレ、大森に言っといた方がいいんじゃね?」 「......でも向こうが卒業してから接触してねぇし......」 「でもこの前みたいな事が起きてからじゃ遅せぇし、大森も何かあれば言えって言ってたし......話しとくだけ話しといた方がいいって」 「......そーだな......」叶弥に説得され、オレは折れる事にした。そして、そのまま二人で教務室へ行き、大森の姿を探した。「五十嵐?田河
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episode16

帰宅をし、オレは制服から部屋着に着替え、ベッドに座りながら雑誌を読んでいた。すると部屋のドアがノックされたため、オレは「はい」と返事をした。次の瞬間「京ー」と言いながら叶弥が入ってきた。「叶弥か。どーした?」 「いや......何か大丈夫かなぁって」 「なんだそれ」どうやら叶弥は、湊 友樹の事でオレの事を心配しているのが見て伺えた。「あんま心配すんなよ」 「でも、中学の時のアイツの京に対する執着ヤバかったからさ......。もうオレはこの間みたいな目に京をあわせたくねぇんだよ......」叶弥はオレの隣に座り、オレの頬を撫でてきた。......そして叶弥はそのままオレにキスをしてきた。「きょう......んぅ......」 「......京......」「ハァッ」とオレが息を漏らすと、叶弥は口を離した。「......叶弥......」 「京......次は守るから。絶対に」そう言うと叶弥はオレを抱きしめた。オレはそれに対し、喜びで胸を踊らせてしまっていた。翌朝、オレは早く起きて自分と叶弥の分の弁当を作っていた。時たま若衆が入ってきてつまみ食いをしようとしたが、オレはその手をつまみ上げ阻止した。「痛いッス!京司さん!」 「お前らが食うと、オレと叶弥の昼飯が無くなるんだよ。...これ終わったら朝飯作ってやっからそれ待ってろ」 「......!!京司さん!!」 「流石、オレ達の女神......」朝飯ごときで......。女神って言うな、女神って。 そんなこんなで二人分の弁当を完成させ、朝飯の支度に取りかかる。量が多いため、つまみ食いをしようとしたヤツらに手伝いをさせる。そうして朝飯が出来上がろうとした時、廊下からドタバタと複数の足音が聞こえてきた。「京司さん!」 「スンマセン!今日の当番オレらなのに......」そう言いながら入ってきた若衆は、台所に広がる匂いにか、「ゴクッ」と喉を鳴らしていた。...目線はエプロン姿のオレに向けられていたので、オレに対してではないと思いたいと思うのであった。「......大丈夫だ。もう終わるし」 「はよーッス」 「叶弥。」 「はよー、京」叶弥はあいさつをしながら、オレの頬にキスを落としてきた。「若!ズルいっす!」 「オレ達の女神に何するんすか!」 「......お前らウルセェ.
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episode17

登校して下駄箱を開けた瞬間、オレの足元に大量の写真が広がった。そこに写っていたのは、中学三年間のオレの姿であった。オレは思わず「ヒッ」と声を漏らし、後退る。そんな様子を見た叶弥がオレに近づき、足元に広がった写真を見ると顔をしかめ、オレに「見るな!」と叫んだ。オレは立っていられなくなり、その場に倒れ込みそうになったが、叶弥に抱き支えられた。そんなオレ達の様子に気がついた登校してきたクラスメイトが「田河君?!五十嵐君もどうしたの?!」と駆け寄ってきた。叶弥はそのクラスメイトに「コレ、片しといてくれ!」と言ってオレを抱きかかえて保健室へと駆け込んだ。「先生!ベッド貸してくれ!」 「あら?......ど、どうしたの?!顔真っ青だし、震えてるじゃない!早くこっちに!」そう言われ叶弥はオレをベッドへと横たわせた。そして「大森のトコ行ってくる」と言ってオレから離れようとしたが、オレは叶弥の手を握りしめた。「京?」と声をかけられたため、オレは震える声で「行かないでくれ......」と告げた。叶弥は少し迷っていたが、叶弥が"大森"と言ったのを聞いた保健室の先生が、「大森先生を呼べばいいのね?」と言い内線をかけ始めた。少し経つと、大森が保健室へとやって来た。「五十嵐。一体何があった?」 「実は......」叶弥は大森に問われ、登校時の事を説明した。大森は叶弥の話しを聞くと、「それであの玄関騒ぎか......」と呟いた。叶弥が「玄関騒ぎ?」と大森に問うと、彼は「あぁ......」と言葉を続けた。「実は保健室に来る途中で玄関に人集りが出来ててな。ウチのクラスの連中が"見ないで"と言いながら、散らばった写真を集めてたんだよ」叶弥は「アイツら......」と言いながらホッと胸を撫で下ろしていた。「写真はお前らが言ってた2年の湊か?」 「......それは分からないっす」大森は「そうか......」と小さく呟いた。「現状だとまだヤツに注意も出来なくてな......」 「......そーなんすね...一体どうすりゃ......」 「まぁ、見回りを強化させるようにするわ」 「......お願いします」そう言うと、大森は「田河」と声をかけてきた。「は......はい......」 「今日は無理せずに帰れ。迎え呼んどくから。五十嵐も。緊急事態だから田河と一緒にいてやれ
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episode18

オレと叶弥は授業に出る事なく、迎えに来た車に乗り帰路へとついた。叶弥は車内にいる間、ずっとオレの手を握って安心させようとしてくれた。車が組へと着くと、叶弥はオレの肩を抱きながら屋敷の中へと入っていった。連絡を入れたお陰か、若衆は離れたところから心配の視線を送り静かに見守ってくれていた。オレの部屋へと着くと、叶弥はオレをベッドに座らせ、叶弥はオレの隣に腰を下ろした。「京、大丈夫か?少しは落ち着いたか?」 「あ、あぁ......悪い。もう大丈夫だ」 「......ウソつけ。まだ顔色悪いぞ」そう言うと叶弥はオレの頬へと手を当てた。そしてオレの額に自身の額を当てジッと見つめてきた。「......叶弥......?」 「大丈夫だ京。お前はオレの隣にいればいい。オレがお前を守るから」そう言うと叶弥はオレに深く口づけてきた。「んぅ......ふっ......あっ、ハァ......」 「けい......京司......」オレは息苦しくなったのと気恥しさ、...何より叶弥の体温を感じたくて、腕を彼の背に回した。「ハァ......京司?」 「オ、オレも......オレも叶弥の隣にいたい。......これからずっと......」オレがそう言うと叶弥は顔を真っ赤にしオレを見つめてきた。「け、京司?」 「もし、許されるなら......オレはお前の隣から離れる事はしたくない。......ダメか......?」 「!だ、ダメじゃねぇ!ダメなわけあるか!」叶弥はそう言うと、オレを力いっぱい抱きしめた。 その温かさにオレは心が安心していくのを感じ、叶弥を抱きしめ返した。「叶弥、お前はオレだけを見て、オレだけを守ってくれ。......その代わりにオレの全てをお前にやるから」オレはそう言うと叶弥の手に口づけた。これはオレなりの誓いだ。叶弥はその様子を黙って見ていたかと思ったら、オレの口づけた手に笑みを浮かべながら口づけた。「......これはオレらなりの盃だな」そう言われると、オレは自分のした事が急に恥ずかしくなり、ベッドにうっつぶした。叶弥はそんな様子を見て、ケラケラ笑いながら手を握り、オレの頭に口づけを送ってきたのであった。
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episode19

薄暗い部屋の中、一人の青年が壁に向かってぶつぶつと呟いていた。彼の視線の先には一人の青年が写った写真が壁一面に広がっていた。「ハァ、ハァ......京司君......また会えたね......もしかして僕に会いたくてこの学校に来てくれたのかな......?中学の頃は無理矢理引き裂かれてしまったけれど......まるで僕たちはロミオとジュリエットだね......。でも、もう君と離れる事はしないよ......」そう言いながら彼、"湊 友樹"は二枚の写真を手に取り口付けをする。そこに写るのは中学の頃と今現在の高校の制服に身を包む京司の姿であった。「昔は愛らしくて仕方なかったけれど、君はどんどんキレイになっていくね......。今じゃ大人の色気まで......ダメだよ京司君......僕以外にそんな姿を晒しちゃ...。それにしても、五十嵐 叶弥......未だに僕の京司君の傍にいるとは......憎らしい......!!」彼はそう言うと、写真に写る叶弥の顔に画鋲を突き刺した。「あぁ......早く君をこの部屋に囲ってしまいたいよ......この部屋は僕と君の為に作らせた愛の巣だよ?君も僕に攫ってほしいんだろう......?」彼はねっとりとした視線を壁一面の京司に向けた。「待っててね......僕のジュリエット......」 本当は叶弥を自室へ戻すべきなのだろうけれど、オレはなかなか叶弥に握られた手を振りほどく事が出来ずにいた。「京?どうした?」 「......叶弥は部屋に戻るのか......?」オレの言葉に叶弥はしばらく固まっていたが、フッと笑みを零し握っていたオレの手を離して頬へとあてがった。「京が傍にいろって言うなら、傍にいてやるよ。昔みたいに一緒に寝てやろーか?なーんて......」叶弥がケラケラと笑いながらふざけて言ったのだろうけど、オレは顔を赤くしながら頬に当てられた叶弥の手に自分の手を重ねた。「それでいい......それでいいから今日は一人にしなでくれ......」 「......昔みたいにくっついて寝ていいんか?」叶弥の問いかけに小さく頷いた。「しゃーねぇな。生殺しだが一緒に寝てやるよ。まだ昼間だし軽く昼寝でもするか」叶弥はそう言うとベッドに上がってきて、オレを抱きしめる形で横になった。同じような生活を送っていると言うのにガタ
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episode20

どのくらい眠っていただろうか。部屋が薄暗くなっていた。時間を見ようとしたが、ガッチリした腕に抱きしめられていて身体が思うように動かせない。首筋には叶弥の寝息が感じられてくすぐったい。夕食の支度をさなければならないので、オレは叶弥に声をかけた。「おい。叶弥起きろ。もう夕方だぞ」 「んー......京がチューしてくれたら起きられるかも」 「......何をふざけたことぬかしてるんだ。いい加減にしろ」オレは軽く叶弥の頭をこずく。すると力の込められていた腕が緩められたため、オレは上体を起こした。オレに続いて叶弥も起き上がりオレを力強く抱きしめたと思ったら首筋にキスをしてきた。「......オイ。そういうのは恋人作ってやれ」 「......ハ?なに。お前、オレが好きでもねぇヤツにキスするとでも思ってんの?誰彼構わずって?」 「叶弥......?何、怖えよ......。だってお前オレに好きだとかなんだとか言ったことねぇじゃねえか」オレは叶弥がキスしたり抱きついてきたりするのは、幼馴染みの延長線だったり、落ち着かせようとするためだと思っていた。それ以外の何物でもないと。いつも身近にいるせいで距離感がバグってるだけかと...「あんだけ熱い言葉投げつけといて、お前以外に目を向けろって?お前はそれで良いわけ?オレは絶対お前以外の人間はいらねぇよ。お前はオレので、オレはお前の物なんだよ。......好きなんだよ。出会った時からずっと......愛してんだ......。」熱烈な告白にオレは顔が熱くなり下を向いてしまう。しかし、叶弥はオレの顎を持ち上を向かせて自身と無理矢理目線を合わせさせる。叶弥の目は熱を帯びていて見つめられるとこちらが恥ずかしくなる。しかし、叶弥は目線をそらすことはさせずにいる。「......京司。お前は?お前は違うのか......?あとどれくらい示せばオレを見てくれる?」 「......オレは......よくわからない。......けど、お前が他のヤツといるのを見るのは嫌だ......」オレは叶弥のシャツを握りながら今のオレの気持ちを伝えた。「......お前、それが"好き"っていう感情じゃねーの?しかも独占欲もあるみたいじゃねぇか」先程まで怖い雰囲気を出していた叶弥だが、おれの言葉を聞き嬉しそうな笑みを浮かべた。「お前が不安なら何度だっ
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