All Chapters of ボスの密やかな秘密 ~冷酷なボスは私にだけ甘すぎる~: Chapter 81 - Chapter 90

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第081話

珠葉は、そそくさと頭を下げて去っていく男たちを見送り、それからようやく辺りを見回した。建築に詳しくない人が見ても、一目で立派だと分かる韓屋だった。「サランチェも見ていい?」「ご主人様が入れない場所はありませんよ。少なくとも、この家では」ただの学生にすぎない自分へ、道赫はあまりにも大きな権限を当たり前のように与えてくる。こんな人にさっきまで懲罰を与えていたのに、今さらそんなことを考えるのも遅い気はした。それでも、この広い韓屋をまるで自分の家のように歩き回れることが少し嬉しくて、珠葉はそんなことは気にしないことにした。「普段はどこで過ごしてるの?」「まずは本棟をご覧になりますか?」今日だけでは、とても全部は見切れないだろう。門まで来るだけでもかなり歩いたし、建物も多い。中まで隅々見ようと思えば、もっと時間がかかる。今日は見る場所を絞ったほうがいい。少し考えた末、珠葉はまずサランチェを見ることにした。本棟は、あとで自然と目にするだろうと思ったからだ。「サランチェって、今は何に使ってるの?」「今は会議室ですね。応接室もあります」門を一つくぐると、すぐサランチェが見えた。「ヌマルがあるんだ」「ええ。富の象徴だとか。祖父がよく言っていました」ほとんどの人員は外へ出していたが、サランチェは仕事場でもあるため、数人だけ残っていた。彼らは道赫と珠葉の姿を見た瞬間、その場で石のように固まり――道赫の視線を受けると、慌てて姿を消していく。――嘘だろ。ボスが女を連れてきた……!声にならない悲鳴が屋敷中に広がっていく。だが珠葉は韓屋に夢中で、そんなことにはまるで気づいていなかった。いつの間にかノートとペンを取り出し、さらさらと何かを書き留め始める。道赫はそんな珠葉の後ろをのんびり歩きながら、人払いを続けた。そして彼女が投げかける質問に
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第082話

「ああ、まあ……今度機会があったら呼んでよ」「必要でしたら、いつでも言ってください。一本電話をくだされば、今からでも来ると思います」あまりにも魅力的な提案だった。今すぐ電話して呼んでほしい――そう言いたくなるくらいに。権力というものが、これほど人を誘惑するものだとは思ってもみなかった。珠葉は慌てて視線をノートへ落とす。平然としていなければならない。「うん」自分はそこまで学問に熱心な人間ではないと思っていた。けれど実際に韓屋を目の当たりにし、自分の好みにぴったりな内装を見ていると、次から次へと知りたいことが湧いてくる。卒業論文を書いている最中だから、なおさらなのかもしれない。「お昼でも食べてから、続きを見ませんか?」「あ、ご飯食べなきゃね。外に行く?」「いえ。ビョルチェに食堂があります」食堂?珠葉は聞き返さず、おとなしく道赫の後について歩いた。その途中で、なぜアンチェを本棟と呼ぶのか、韓屋はいつ完成したのか――気になっていたことを次々と尋ねる。道赫は一度も言葉に詰まることなく答え、その様子が珠葉は少し気に入った。建物同士の距離がかなり離れていたため、ビョルチェまで歩くだけでも相当時間がかかったが、その道のりは少しも退屈ではなかった。「ここは?」三十人は軽く座れそうな長いテーブルと椅子が並ぶ空間だった。ちょっとしたレストランにも負けないほど立派だ。研究室の人たちを連れてきて、そのまま議論でも始められそうなほど、興味をそそられる場所ばかりだった。「韓国料理を用意しましたけど、大丈夫ですか?」食堂では二、三人が食事をしていたが、やはり道赫と一緒に現れた珠葉を見るや、挨拶もできないまま慌てて席を立ってしまった。「そのまま食べてていいのに」そう言う暇もなく、男たちは姿を消していく。珠葉は食器だけが残された食堂を眺め、それ
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第083話

「ボスより怖ぇんだ」「は?」「何言ってんだよ」「そんな奴、この世にいるわけねぇだろ」萬植は「人間じゃない」と付け加えかけて、やめた。何気ない一言が、どこで誰の耳に入るか分からない。軽々しく口を滑らせて痛い目を見るのは、ごめんだった。そう考えると、今まで誰も口にしなかった理由も理解できた。この世界じゃ、舌一つで人生が終わることもあるのだから。「とにかく逆らうな。目が合ったらすぐ目を伏せろ。何か言われたら『はい、分かりました』。それだけだ。いいな?」「からかってんだろ」「あっ、そういうことっすか。危うく信じるところでしたよ」萬植は頭を抱えたくなったが、それ以上説得するのはやめた。自分だって、実際に味わったことのない話を信じろと言われても難しいだろう。「命が惜しかったら、骨の髄まで――」「絶対、朴基燦のやつ何か知ってるって」「ボスに女ができたかもって最初に言い出したのも、あいつだったしな」噂をすれば何とやら。そんな話をしているところへ、基燦が息を切らしながら飛び込んできた。萬植は嫌な予感に、全身の毛が逆立つ。「ボスが……三分以内に……っ、はぁっ……屋敷から全員出ろって……!」基燦が言い終えるより早く、萬植は正門へ向かって駆け出していた。今の道赫は珠葉と一緒にいる。つまり、その命令がボスの命令なのか、それとも珠葉の命令なのか分からないということだ。道赫にとって「三分」は、ただ「急げ」という意味かもしれない。だが珠葉が言った時間なら――絶対に守らなければならない。だから萬植は「できるだけ急ぐ」のではなく、「何が何でも三分以内に屋敷を出る」と決めた。「えっ?」事情が分からず戸惑う組員たちも、萬植が本気で走り出したのを見ると
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第084話

「客の迎え方があれだったのに、何のご褒美があるの?」とっさに口から出た言い訳だった。通用するかどうかも分からない、苦しい言い訳。今日はどうしても、その先へ進む勇気が出なかった。これで二度目の逃げだ。それを分かっていながら、珠葉はまた逃げることを選んでしまった。「あ……」珠葉が苦し紛れに言ったことなど、道赫には知る由もない。彼にとって大事なのは、ご褒美がなくなるかもしれないという事実だけだった。どう言えば取り消してもらえるのか。それしか頭になかった。「それは……俺が悪かったですけど……」未練がましすぎるだろうか。道赫は途中まで口にして、そこで言葉を飲み込んだ。あの件なら、もう罰は受けた。だからご褒美とは別じゃないですか――そう言えばよかったのかもしれない。けれど、口は動かなかった。珠葉が一度決めたことを覆す人ではないと、もう知っていたから。だったら今まで通り、素直に従っていたほうがいい。そうすれば、また次の機会が来る気がした。「……分かりました」道赫があっさり引き下がると、珠葉は気づかれないよう小さく息をついた。こんなふうに素直にされると、最後までしてあげてもいいような気もする。それでも、今日は無理だった。まだ心の準備ができていない。さっき門前払いを食らったことだって、まったく影響がないわけではない。あれだけ緊張して来たのに、腹を立てたまま引き返すことになって、そんな気分はすっかり吹き飛んでしまっていた。沈黙が部屋を包む。道赫は、自分のベッドに腰掛ける珠葉を静かに見つめた。ご褒美をくれるわけでもないのに。期待させるだけ期待させて、人のベッドに平然と座っている。今日一
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第085話

はぁ。珠葉は深いため息をついた。最悪。いったい、どこから間違えたんだろう。そう考えてみても、いつからだったのかなんて分かるはずもなかった。顔にほだされている自覚ならあった。けれど、心まで許すつもりは絶対になかった。だって、自分みたいな大学生なんて、あの男にとってはただの遊びに決まっているから。傷つくのは自分だけだと、珠葉はそう思っていた。今になって考えてみれば、道赫とセックスするのが怖い理由も、彼を好きになってしまったからなのかもしれない。一度寝てしまったら、あんなに従順な男が別人になってしまうんじゃないか。そして何事もなかったように、この関係が終わってしまうんじゃないか。もう好きになってしまったものを、いったいどうすればいいんだろう。珠葉は机にゴンッと額をぶつけ、そのまま突っ伏した。とりあえず、この気持ちを悟られないことが大事だった。いつも軽薄そうに振る舞って(少なくとも初めて会ったときは、あんな感じじゃなかった。)本心を隠している男に、こんな気持ちを知られるわけにはいかない。絶対に弄ばれる。よく分からないことは多くても、珠葉とセックスしたくてたまらないことだけは確かだった。だったら、それをどうにか利用してみるほうがいいんだろうか。「……」珠葉は目を閉じた。逃げるつもりはなかった。かといって、彼を落としてみようなんて考えているわけでもない。今は考えなければならないことが多すぎた。バレないように、このまま維持しよう。それが珠葉の出した結論だった。課題と論文のために、あの家にはあと何度か行くことになっている。口実としては十分だった。写真もまだ足りないし、全体の構造も把握しきれていない。それにヌマルもまだ気になっている。しかも指導教授からも、もう一度現地を見てくるように言わ
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第086話

「来たんですか?」「あ。うん」参ったな。ただでさえ顔のいい男が、自分の気持ちを自覚してしまった途端、前よりずっと格好よく見えた。しかも目が合えば、いつもああやって笑いかけてくるのだから、心臓が言うことを聞かなくなるのも当然なのかもしれない。おまけにシャワーを浴びたばかりで、なんだかしっとりして見えるし。最悪。こいつのせいで目ばっかり肥えちゃって、これからどうすればいいんだろう。珠葉は実にくだらない心配をした。「覗いてたクソ……野郎どもは、みんな追い払いますね」「ほっといて。気になるんでしょ」悪口を言うなと言ったからと、わざわざ言い直すところまで感心に思えてしまう。人生というものは、こんなふうに駄目になっていくこともあるのだと、珠葉は身に染みて思い知っていた。「今日はどこを見るんですか?」「サランチェに行こうと思って」珠葉には、自分がいつも通りに振る舞えているのか分からなかった。勘のいい男なのだから、明らかにおかしな様子を見せていれば、きっと何か聞いてくるはずだ。そう考えるしかなかった。「あ。席、作っておきましたよ」「うん。聞いた」せっかく得意げに自慢しようと思ってたのに、パク・ギチャンの野郎、先に言いやがったな?道赫はそう思ったものの、珠葉と目が合うと、ただにっこり笑った。道赫は珠葉によく思われることで頭がいっぱいだったので、彼女が普段と違うことには気づかなかった。もともと珠葉は表情が豊かなほうではないし、ときどき『やっぱり顔はいいな』とでも言いたげな顔で道赫を見ることもあった。だから、その違和感に気づくのはなかなか難しかった。「ここです」「え……ありがとう」会議室の片隅どころか、ど真ん中に堂々と『彼女の席』として作られたスペースは、インテリアの雰囲気を壊さない範囲できれいに整えられていた。
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第087話

そのとき、珠葉のスマホがブブッと震えた。珠葉と道赫の視線が、同時にスマホへ向かった。登録されていない番号。なのに、どこかで一度くらい見たことがあるような気がした。珠葉はしばらく画面を見つめたあと、スマホを手に取って電話に出た。普段なら知らない番号からの電話なんて取らないところだったが、なんとなく妙な感じがしたからだ。「もしもし?」『オ・ジュハさん? 大家です』大家?そんな人がどうして電話を?珠葉は無意識に道赫を見上げた。道赫は何でもないように、その視線を受け止めた。なぜか今、この男にはここにいてもらわないほうがいい。そんな予感がした。珠葉はちらりと目で合図した。道赫は何も言わずに頷くと、会議室を出ていった。「はい。どうされました?」『エレベーターに貼ってあるお知らせ、見ましたよね?』エレベーター。お知らせ。珠葉は白い紙を一枚思い浮かべた。そこに何が書いてあったのか、記憶を辿ることも忘れなかった。毎日のように目にしている紙だったが、最初に読んで以来、ろくに目を向けてもいなかったせいで正確には覚えていない。何か工事をすると書いてあっただろうか。建物の取り壊し。そんな内容だったような気もする。それなりに重要な話なのに、はっきり覚えていないのには理由があった。工事の開始時期が一月になっていたからだ。卒業式はまだでも、その頃にはもう学期は終わっている。卒業を控えた珠葉にとって、それほど重要な話ではなかった。「はい、見ましたけど」『それがですね、ちょっと予定が早まりまして。退去していただかないといけなくなったんです』「……はい? いや、いくらなんでも急にそんなこと言われても……」まだ十月だ。
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第088話

「今日は少し遅かったですね?」荷造りをしている途中で倒れ込むように眠ってしまったせいで、寝坊した。食事もろくに取っていなかったから、体にも力が入らなかった。けれど、珠葉はそんな素振りを見せなかった。ただ少し忙しかったと誤魔化した。朝から何をすることがあって忙しかったのか、道赫は聞かなかった。珠葉も、聞き返してこない道赫を不思議には思わなかった。彼女はただ、いつものように自分の席に座った。会議室のど真ん中にある席に。いつの間にか、驚くほど馴染んでいた。「昼飯はあとでここで食べるんですよね?」「うん」本当は今だって腹が減っていたが、それも顔には出さなかった。朝食なんて食べないことくらい、道赫もよく知っている。ノートパソコンを開いてあれこれ打ち込み始めると、道赫は邪魔をしないように口を閉ざした。だからといって、離れていくわけではない。彼はいつも数歩離れたところから、彼女を見守っていたから。最初は気になって仕方なかったその視線も、今では会議室の自分の席と同じくらい馴染んでいた。何事もないように課題を続けられるのも、そのせいだった。課題に集中していると、いつの間にか机の上に何かが置かれ始める。コーヒーや果物、お菓子、パン。道赫が直接持ってくるわけではなく、誰かが用意してくれているようだった。珠葉は、それが全部彼の指示によるものだとは知らなかった。「ありがと」素っ気ない礼だった。視線すら向けない。珠葉は自分の作業に集中したまま、時折それを口に放り込んだ。けれど、それでよかった。とにかく彼女が食べてくれるのだから。ここでは、コーヒーがいくらするのかなんて問い詰めたりもしない。わざわざ高級な豆ばかり選んで使わせていた。今、自分の口に入れているロールケーキが一切れいくらするのか知ったら、彼女は食べなくなるだろうから、あえて何も言わなかった。下手に注意を引いて、余計な質問をさ
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第089話

ずらりと列を揃え、後ろ手を組んで立っている組員たちを見て、ジュハは少し居心地が悪そうに頭を掻いた。彼らはひどく緊張した様子で立ち、ただひたすらジュハだけを見ていた。その隣にはドヒョクが立っているというのに。一体この組織のボスが誰なのか、わからなくなりそうな光景だった。「その……まあ……しばらくお世話になります。オ・ジュハです」最近は頻繁に出入りしていたため、組員たちもジュハのことはかなり見慣れていた。とはいえ、たとえ一時的とはいえ正式にここで一緒に暮らすことになったのだから、挨拶くらいはしておいたほうがいい。そう言ったドヒョクのせいで、こんなことになってしまったのだった。「どうぞ気楽にお話しください!」「俺たちはなんとお呼びすればよろしいでしょうか!」「ご、ご主……人様……とお呼びするわけにもいかないでしょうし……」「ご主」まで口にしたところで、ドヒョクにぎろりと睨まれ、組員の一人がもごもごと声を小さくした。どの口でその呼び方をするつもりだ。そんな目だった。ジュハは隣でドヒョクが何をしているのか気づいていたが、放っておいた。これでも一応、カリスマ溢れるボスなのだろうし、わざわざ部下たちの前でこれ以上プライドを傷つけるつもりもなかった。それに今日は、本当に全員集まっているようだった。「別に気楽に話すつもりはないですし。まあ、好きに呼んでください。ご主人様って呼ぶのだけはやめてくださいね。坊やでもあるまいし、皆さんにそう呼ばれるのはちょっと……気持ち悪そうなので」噂でしか聞いたことのなかった「坊や」という呼び方が本当に彼女の口から飛び出し、組員たちは少しざわついた。だが、それもすぐに収まった。その横で、ご主人様という呼び方を許さなかったジュハに満足そうな顔をしているドヒョクはおまけだった。「よ、呼び方を決めていた
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第090話

「暇なの? 組織のボスともあろう人が」「まあ、仕事は下の連中がやることですし、俺はご主人様について回ってればいいんじゃないですか?」「まあ、好きにして。邪魔はしないでよ? 部下たちにもそう言ったでしょ」「でも、坊やとあいつらは違うでしょう? ご主人様は坊やのこと、可愛がってくださらないと」「そりゃあね。大人しくしてれば、ちゃんと可愛がってあげるよ」素っ気なく言っているつもりでも、結局こんなことを口にしてしまう。ペク・ドヒョクは手慣れすぎているのが問題だった。流されまいと頑張っているのに、気づけばいつもこんな会話になっている。それが少ししんどかった。普通に会話を終わらせる方法はないのだろうか。「自信ないですけど、ついていきます」「チンコ勃てないで、大人しくついてきて」ジュハは結局、短く釘を刺した。だが、この程度の警告が効くはずもない男は、相変わらず笑いながら言った。大人しく彼女の後ろをついてくる身体とは裏腹に、口だけが問題だった。「それは本当に難しいな。俺、ご主人様の口から『チンコ』の『チ』だけ聞いても勃つんで」「病気だよ、それ。本当に」ジュハは呆れたように言った。だが、誇張でも何でもなく、ペク・ドヒョクは本当にオ・ジュハのそばにいるだけで、さも当然のように勃たせていた。たった今イったばかりでも、彼女が少し刺激すればまた勃つ。つまり、まるで疲れないということだった。それが病気じゃなかったら何だというのか。ところがドヒョクが「ははは」と声を上げて笑った。ジュハは珍しいものでも見るような顔でドヒョクを見た。いつも平然と笑ってはいるくせに、声を出して笑うことはほとんどない男だったからだ。ただ微笑まれるだけでも心臓がもたないのに、なんで声まで出して笑うんだ。「何? 声まで出して笑って」「ご主人様って最高ですね。本当に」「今さら。私、もう本当に忙し
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