Tous les chapitres de : Chapitre 31 - Chapitre 40

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31・毒

 それを見て私はすかさず起き上がると、まだ大きな屹立を口に咥え、ゆっくりと舌を這わせる。「こ、こら! 止めろ!」「これからご飯なんでしょ? このままじゃ下履き履けないだろうから綺麗にしてあげる」「いいから! また勃つだろうが!」「もう十分勃ってるよ」 むしろ普通の人のMAXぐらい勃っている。私がそんな言葉を飲み込みオズワルドの屹立を舐めていると、とうとうオズワルドに頭を両手でグッと押さえつけられてしまった。「先に、飯だ」「……ちぇ」 駄目か。どさくさに紛れてもう一回お願いしようとしたが、どうやら失敗したようだ。 私は仕方なくドレスを着てしょんぼりと寝室を出ると、そんな私の後ろからオズワルドの呆れたような笑い声が聞こえてくる。「他の女もよくそうやって落ち込んでここを出て行ったが、お前の理由とは真逆なのだろうな」「どういう意味?」「そのまんまだ。今までここから出て行った女は、もう二度と俺に抱かれたくないと思いながら出て行ったということだ」「なんで? 気持ち良いのに?」「そんな事を言うのはお前ぐらいだ。苦しい、痛い、止めてください、お許しください、もう無理です。こんな台詞を何度聞いたことか。その点お前はもっと抱けと迫ってくるからな。むしろ俺の方がもう勘弁してくれと言う側だ」 おかしそうに珍しく上機嫌でそんな事を言うオズワルドに私は心底皆の気持ちが分からなくて首を傾げたのだが、そんな反応にさらにオズワルドが笑う。 そこへちょうど夕食を持って兵士がやってきたようで、天幕の外から声がかけられた。「ほら、行くぞ」「うん。今日は何だろ~。イッたらお腹減っちゃった!」「……本当に欲望に忠実な奴だな」 お腹を抑えながらスキップしそうな勢いで寝室を出る私を見て、オズワルドはポツリと言う。 ところで私は誰かに命を狙われているという事をすっかり忘れていた。 食事はオズワルドと私の物では
last updateDernière mise à jour : 2026-07-11
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32・あなた限定

「毒!?」「ああ。カミラの花は毒性は弱いけどじわじわと死に至る神経毒なんだ。今回は大量のスープに混ぜられていた事で大分薄まっていたようだけど、これは……」 何か考え込むような兵士にオズワルドが静かに問いかけた。「今回はこいつだけではなくて慰み者全員が被害に遭ったという事か?」「はい、そのようです。他の者達も今は既に解毒され命に別状はないと」「分かった。下がれ。それから掃除を頼む」「畏まりました! どうしますか? 彼女を救護テントに運びましょうか?」「そうだな——いや、いい。中和剤をここへ持ってきてくれ。ここで休ませる」「分かりました。すぐに持ってまいります」 そう言って兵士は深々と一礼して天幕を出ていく。「ねぇ、何で私はここなの?」 てっきりこのまま救護テントに運ばれるのだろうと思っていた私がオズワルドを見ると、オズワルドは疑いの眼差しでじっと私を見つめてくる。「な、なに?」「うちの救護班は夜になると男に交代する。俺は、お前が信用出来ない」「どういう意味?」「そのまんまだ。中和剤で元気になったからと言って救護班の男を夜中に誘わないという自信はあるか?」 真顔で問い詰められて私は思わず首を振った。そんな私を見てオズワルドは大きなため息をついて私の肩を押して無理やりベッドに寝かせる。「そうだろうな。俺もそう思う。だからお前はここで休め。いいな」「……は~い」 つまり監視をされるという事か。本当に信用ないんだな。そんな事を考えながらふと思った。そう言えば今日はまだお風呂に入っていない。「ねぇオズワルド」「なんだ?」「お風呂入りたい。身体ベタベタして気持ち悪い」「……一日ぐらい我慢出来ないのか?」「無理だよ! だって私、汗とかでベタベタだもん。オズワルドもでしょ?」 何
last updateDernière mise à jour : 2026-07-12
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33・貴族御用達サロン

 しばらくしてオズワルドが戻ってきて私の隣に入り込んできたので、私は毛布から顔を出してずっと気になっていた事を尋ねてみた。「おかえり。そう言えば聞いてもいい?」「ああ、なんだ?」「側室候補ってさ、つまり婚約者って事?」 ずっと不思議に思っていたのだ。普通、王様は婚約者が居てその人が正妻になって、その人に子どもが出来ない場合に設けるのが側室ではないのか?「いや、違う。側室は側室だ。今の俺には婚約者は居ないんだ」「そうなの? 私てっきり婚約者が正妻になって、子どもが出来なかった場合に側室作るんだと思ってた!」「昔はそうだったが、俺の代で変えた。前にも言ったが、王族の結婚に愛など必要ない。とりあえず次の代を作るのが一番の役目だ。だったら婚約者など取らずに予め側室を持ち、最初に子どもが出来た者を正妻にする方が良いだろ?」「ただの効率厨じゃん!」「その通りだな。どうせ王妃など飾り物だ。政にも関わらない。そういう場に俺は王妃を連れて行く気もないしな。ついでに言うと、今のところ俺の子どもを妊娠する確率が一番高いのはお前だぞ」「そりゃこんだけヤッてりゃね。でも大丈夫。それだけは無いから」 自信満々に言い切った私にオズワルドが怪訝な顔をして見下ろしてくる。いや、睨みつけてくると言ってもいい。「何故?」「だって、私生理の周期絶対ズレないんだもん」「そうなのか?」「うん。あと排卵痛って言うのかな。それが酷いの。あの避妊薬のおかげか今はあんまり無いんだけど、流石にその日だけはどんだけムラムラしても客は絶対に取らないようにしてるし、危険日は中には出させない。今までもそうだったでしょ?」 こんな仕事をしているばかりに、妊娠したら最後だ。また私のような子を増やしてしまう事になる。私は望んでこの仕事をしているが、こんな奴はこの世界でも稀だろう。 私の言葉にオズワルドは少しだけ眉を潜めた。「なるほど。それでお前は定期的に避妊していたのか。なぁ、もし俺がその時に避妊しないで抱きたいと言ったら?」「
last updateDernière mise à jour : 2026-07-13
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34・お金はいらない

「どうしてそんな所があるのに渋ったの?」「それは知り合いばかりが利用するからだが」「それが嫌なの?」「嫌だろ。宰相や騎士団長、その他の高官も利用するんだぞ? 嫌じゃないか?」「それはつまり、知り合いと穴兄弟になるのが嫌って事?」「というよりも、比べられるのが嫌だな。お前に」「私に?」「ああ、お前に。本当ならお前を空いてる側室候補にねじ込みたいが——」「それは嫌だよ。だって、どうせ順番だとか言って今みたいに毎晩抱いてもらえないでしょ?」「……そう言うと思った。それにそんな事になったらお前は暇を見つけては衛兵だろうが高官だろうがお構いなしに迫りそうだしな」「それはそう」「すぐに認めるのか」「それにさっきも言ったけど、愛の無いのは嫌だよ。側室になるって事は、子どもが出来たらそのまま正妻になるって事なんでしょ?」「そうだな」「それが嫌。愛してくれない人と結婚なんてしたら浮気するに決まってるもん」 前世の私の両親のように。その言葉を私はどうにか飲み込んだ。愛の無い家の為だけに結婚した両親は、無口で無表情で無感情だった。そして結局W不倫をして離婚したのだ。ああはなりたくない。 私の表情が曇ったのが分かったのか、ふとオズワルドが私を抱きしめてきた。「一応言っておくと、俺は妻が決まったら浮気はしない。妻しか抱かない。二度と」「そうなの?」「ああ。相手がどんな奴であれ、それは不義理だからな。そもそも法律違反だ。だから出来れば身体の相性と俺の性欲について来られるような奴が良い。それこそ、死ぬまでずっと抱かせてくれるような奴が」「いるといいね、そんな人」 何だかオズワルドが不憫になってそんな事を言うと、オズワルドは大きなため息を落としてさらに私を強く抱きしめてくる。「全くだ。仕方がないから当分はお前で我慢しよう」「我慢ってなに!? 失礼じゃない?」「失礼
last updateDernière mise à jour : 2026-07-14
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35・王都に向かう馬車の中にて

 翌日、王都へ向かう慰み者達の馬車に乗り込んだ私は、肌に突き刺さるアウェー感に打ちひしがれていた。 そりゃそうだ。ずっとオズワルドの相手をしていたのだ。こんな塩対応をされても仕方ない。 その時、正面からこんな声が聞こえてきた。「え! じゃあ、あなたも王の側室候補に?」「ええ、そうなの。あなたもなの?」「そうなの! お手つきになったって事で打診があったのよ」「同じね。私もそう。それにまだ月のものも来ていないし、もしかしたら……」 そう言って顔を赤らめたのは、私よりも少し年上の美人なお姉さんだ。大してそれを聞いて眉をひくりと動かしたのは、私と同じ年ぐらいの少女である。 二人は互いに腹の探り合いでもしているのか、雰囲気が怖い。やっぱり側室候補は断って良かった。 そんな二人が突然、黙って外を見ていた私に声をかけてきた。「あなたはどうなの? ずっと王の天幕に入り浸っていたみたいだけど」「そうよ。この中で誰よりも王と一緒に居たんでしょ? 一体どんな手を使ったのか知らないけど、清楚そうな見かけによらないわね」 小馬鹿にしたような顔をして笑う二人に周りはドン引きだ。「私はそんなとこ行かないよ」 下手な事は言わないほうが良さそうだ。私はそう判断してそれだけ答えてまた馬車の外を眺める。 そんな私の答えを聞いてあからさまに二人は喜んだ。「あら、そうなの? 残念。せっかく友人が出来ると思ったのに」「本当ね。慰み者から王の側室だなんて、物凄い出世なのに! お誘いを断ったの?」「誘われてなんて無いよ。私は報奨金とお仕事紹介してもらえたらそれで十分だから」 これは本当の事だ。オズワルドは私を側室係にねじ込もうとしたようが、それを聞く前に私は断った。むしろオズワルドも本気で誘うつもりなど無かったはずだ。私の性欲モンスターっぷりを嫌と言うほど知っているのだから。「そうなの? それはきっと飽きてしまったのね。可哀想」「この仕事をしてたらよ
last updateDernière mise à jour : 2026-07-15
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36・冷酷王と呼ばれる所以

※ 俺は皆が馬車に乗り込んだのを確認して1人で小型の馬車に乗り込んだ。 警護の為にグレイが斜向かいに座っているが、グレイはさっきから真剣な顔をして今回の戦況をまとめている。 俺は足を組んで窓枠に肘をついて窓の外にどこまでも広がるのどかな風景を眺めていた。「王」 どれぐらい時間が経ったのだろうか。景色を眺める俺にグレイが話しかけてきたので視線だけをグレイに移す。「なんだ?」「今回の休憩に使う街ですが、変更などはありませんか?」「ああ、いつも通り——いや、待て。お前が前に言っていたもつ煮込みが美味い街はどこだ?」 俺の言葉にグレイは一瞬首を傾げたかと思うと、すぐに何かに気づいたように手をポンと打つ。「砂漠の手前の街です」「そうか。では今回の休憩はそこに変更だ」「え!?」 俺の言葉にグレイは驚いたように目を丸くした。グレイは知っているのだ。俺は滅多な事では予定を変えないということを。「何か問題があるか? どのみち砂漠は夜にしか超えられない」「い、いえ、問題はありません。ただその、珍しいなと……そんなにもつ煮込みが気になっていたのですか?」「ダリアがな」 短く答えた俺はまた視線を窓の外に移した。グレイはそれ以降黙り込み、二度と口を開くことは無かった。 やがてもつ煮込みの街についた頃にはすっかり日は高くなっていた。昼食にもつ煮込みは少々重い気もするが、まぁいい。こんな機会でもなければもつ煮込みなど食べる事もない。 俺は馬車から下りると辺りを見渡して慰み者の馬車が街に入ってきたのを見つけた。しばらくして中からぞろぞろと慰み者達が降りてきてすぐさま散っていくが、その中にダリアの姿はない。 また何かあったのかと思い慰み者達の馬車に向かい中を覗くと、いつかのようにダリアは馬車の壁に凭れて眠りこけている。 俺は馬車に乗り込むとダリアの正面に座って少しの間ダリアの寝顔を見つめていた。 
last updateDernière mise à jour : 2026-07-16
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37・一人になりたい理由

「有名なんだね、このお店」 というか、皆があの兵士に同じことを聞いたのかもしれない。「そのようだな」 オズワルドが列に並ぼうとすると、前に並んでいた兵士たちがギョッとした顔をして順番を譲ってくれる。それをオズワルドは律儀に断っていたが、それはそれで兵士たちが萎縮してしまって何だか不憫だ。「いいじゃん! 皆が先に行かせてくれるって言ってるんだし。それに王様と同じところでご飯食べるって、なかなか地獄でしょ?」 私の言葉に並んでいた兵士達がそっと視線を伏せた。そんな兵士たちを見てオズワルドは相変わらず無表情で頷くと、大人しく順番を抜かしまくる。 ようやく店に入ると今度は店主が萎縮していて、何だかどこへ行ってもオズワルドはこんな反応をされるのかと思うと可哀想でならない。 それから個室に案内された私達はようやく一息ついて出された水を飲んだ。「はぁ~お腹すいた!」「ああ。悪かったな、気を使わせて」「ん? ああ、いいっていいって! こういうのも仕事のうちだったからね」「そうなのか?」「うん、同伴って言って、出勤前にお客さんとご飯食べたりしてから一緒にお店に行くの。ま、それはSM嬢やる前のキャバクラでの事なんだけど」「よく分からんが、一体どういう事なんだ? 仕事を変えたのか?」「そう。早い話が、最初に勤めてた所じゃ思う存分ヤれないから本番ありのお店に転職したってだけの話だよ」「……なるほど。お前らしいな」 呆れ果てたような顔をするオズワルドだが、そのおかげで勃ったのだからそれはむしろ、良くやったと褒めてもらいたい。 しばらくして念願のもつ煮込みがやってきた。それはそれは美味しくて思わず私がうっとりと目を細めていると、正面でオズワルドも満足げな顔をして肉を頬張っている。「美味しいね!」「ああ。初めて食べたが、なかなかいけるな」「初めてなの?」「前にも言ったが、俺はこんな所であまり食事はしない。高官の中にはお忍びでこういう
last updateDernière mise à jour : 2026-07-17
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38・どうしても聞きたい

 右手で内ももを優しく撫でるとそれも刺激になったようで、唐突にオズワルドが私の口の中から熱い塊を引き抜いて盛大に吐精する。ふと視線を上げると、オズワルドは恍惚とした表情を浮かべていた。 私は壁に手をつき足を広げてお尻を突き出すと、振り返ってオズワルドを見て甘えるように言う。「思いっきり突いて」 私の中からは既に愛液が太ももを伝って流れ落ちていて、準備万端だ。 それを聞いてオズワルドは一歩私に近寄ってきたかと思うと、私の腰を持ってズンっと一番奥まで突いてくる。「ああんっ!」「これで喜ぶんだからな……変な女だよ、お前は」 オズワルドの呟くような声が何故かとても嬉しげで、妙に印象に残った。 そう言えばオズワルドは言っていた。大抵の女子はオズワルドのこの一突きで気を失ってしまうのだと。 けれど私はすっかり開発済みだ。これぐらいではまだまだ足りない。オズワルドの凶悪で凶暴な熱い塊は、まるで杭か何かのように固くて長くて太いが。 凶暴な熱い塊は私の中の中を知り尽くしているかのように入口をゆっくりと擦り、また最奥まで一気に貫いてくる。一番奥に先端が当たり振動が最奥に響く度に私は背中を仰け反らせた。 オズワルドはそんな私の反応に気づいたのか、お腹辺りを優しく円を描くように撫でると、そのまま胸を後ろから激しく揉んでくる。「あっ、やん!」 オズワルドはやがて胸の先端を指で弾きそのまま右手で敏感な場所を弄りだす。「ああっ! イッちゃう! ねぇ、イッちゃう!」 三点を一気に責められた私は、勢いよく潮を噴いてしまった。壁にサラサラした液体がかかるが、それでもオズワルドの腰は先程からやけにゆっくりとした動きだ。「あ、んっ、ねぇ、早く、動いて」「駄目だ。お前は先に三回ぐらいはイカせておかないと、また自分で弄り始めるからな」 意地悪なオズワルドの声に私の胸がときめいたのは言うまでもない。 イッたばかりの敏感な場所を責められ、オズワルドのゆっくりなストロークが私の敏感な
last updateDernière mise à jour : 2026-07-18
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39・馬車は汚したくない

 しばらく痙攣する互いの身体を感じていたが、ふと外を見ると日が傾き始めていた。「オズ」「なんだ」「外、暗くなってきてる」「なに!?」 オズワルドは慌てて私の中から熱い塊を引き抜いて勢いよく起き上がり、私を抱えてそのまま部屋に添えつけられている水浴び場へ向かった。そして急いでお互い身体を洗い、宿を飛び出す。 速歩きで馬車に向かっていると、不意にオズワルドが笑い声を漏らした。「なに?」「いや、こんな事は初めてだと思ってな」「そうなの?」「ああ。戦地から帰る時の休憩に誰かを連れ込んだ事などない。宿ではいつも本を読んで過ごしていたんだ」「一人で?」「ああ、一人で。それが今日はどうだ。まさかお前を抱いていて時間に遅れそうになるだなんて思いもしなかった。やはりお前は危険だな」「私を誘ったのはあなたでしょ! でも気持ちよかった。これで帰りもしっかり眠れそう」「あんな事しなくても眠れるだろう? お前は」「眠れるけど、精神的に悪い夢見そうよ、あの馬車」 慰み者達だけの馬車はマウント合戦が酷い。そこに無理やり私を巻き込んで来ようとするのだ。それをオズワルドに伝えると、オズワルドは何かに納得したように頷いた。「俺の馬車に乗るか? 俺は一人だから何の遠慮もいらないぞ」「いいの? いく! でさ、もし良かったら——」「馬車が汚れるからしないぞ」「……まだ何にも言ってないのに」 先に断られてしまってしょんぼりしていると、そんな私の頭をぽんぽんとオズワルドが撫でてくる。「お前の考えそうな事はもう大体分かる」「流石王様だね」「それは全然関係ないだろ」 それから私は乗ってきた馬車には戻らず、そのままオズワルドの馬車に乗り込んだ。  オズワルドの馬車は豪華なのかと思いきや、思いの外簡素だ。「あんまり広くないんだね」「俺一人だからな。
last updateDernière mise à jour : 2026-07-19
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40・あらぬ疑惑

「言われてみれば俺の手を縛った時の手早さは凄かったな。結び方も特殊な物だったが、まさかあれも仕事で培ったのか?」「うん。亀甲縛りとか痛くない鞭打ちとかね。いつか披露する日が来るかな?」 期待を込めてオズワルドを見上げて見たが、オズワルドは顔を顰めただけだ。「俺は遠慮しておく。俺にそんな趣味はない」「そっか、残念」「そう言えば俺もお前に聞きたい事があるんだが」「うん、なに?」「記憶喪失というのは、どこまでの記憶が無いんだ?」「どこまでも何も、目が覚めたら私は知らない小屋で小汚いおじさんに犯されてたのよ。二晩買ったんだって言われたから、そうなのかと思って相手したけど、どういう経緯で客を取ったかも分からなければ、最初は自分の名前も分からなかったんだよ」「それは全く何も覚えていなかったと、そういう事か?」「うん。名前も住所も何も。マリアが教えてくれた事が嘘じゃなければ、私はダリアという名前であの村の花街で産まれてそのままそこで育てられたって」「それでそのまま慰み者になったという事か。分かった」 それだけ言ってオズワルドは窓の外に視線を移す。オズワルドが一体何を聞きたかったのか気になって、オズワルドを覗き込んだ私は素直に聞いてみた。「何か気になる事でもあるの?」「いや、お前の素性を調べたと言ったろ? でもあの村にダリアという若い女がそもそも居なかったんだよ。この国ではたとえ孤児でも申請をしなければならないというのに」「どういう事?」「分からん。ただ言えるのは、お前はあの村の出身では無いかもしれないと言う事だ。だとすればお前の記憶の鍵を握っているのは、そのマリアとかいう女だな」「あ、あんの小娘……もしかして私、あの子に何かされたの!?」「さあな。何にしてもお前は厄介事に巻き込まれる習性があるようだから、気をつけた方がいいぞ」「分かった。変なところは前世を引き継いでくれなくて良かったのになぁ。これ以上変な事に巻き込まれたら夢の腹上死がまた出来なくなっちゃうじゃん」
last updateDernière mise à jour : 2026-07-20
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