Tous les chapitres de : Chapitre 41 - Chapitre 50

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41・初めて見る城

「子どもが出来たら王妃になれる。それは嘘じゃない。だが、王妃になるには流石にそこそこの地位にまで押し上げられそうな奴でないとな。全く後ろ盾の無い奴ではすぐに王妃の座など引きずり降ろされる」「なるほど……確かにお飾りとは言え王妃なんて大変そうだもんね……そりゃ慰み者上がりは落とされるか」 感心したように頷くと、オズワルドは真顔で首を振った。「と言うのは建前で、俺の側室は要は俺の相手が務まるかどうかなんだよ」「……え」「元々俺は任期中は誰とも子どもを作る気などないし、王妃を立てるつもりもない。俺に子どもが出来なくても王位継承権は従兄弟やらに移るだけだし、どのみち俺はそんなに長い間王で居るつもりも無い。むしろそれが今後の筋書きだ」「そうなの!?」「ああ。お前も街での俺への皆の態度を見ただろう? 今のように戦争に明け暮れているような時代は俺のような冷酷王の方が良いだろうが、これが終わって平和な時代が来たら、今度は安寧を守れる王になった方が良い」「そうだったんだ……側室って言うのはつまり、オズの性処理係って事なの?」「そういう事だ。そんな所に自分達の大事な娘を引っ切り無しに送ってくるんだぞ、貴族は。正気の沙汰じゃないだろ」「それは内情を知らないからでしょ? 皆、子どもさえ出来れば王妃になれるって喜んでると思うよ」 少なくともあっちの馬車の二人と、戦争を見学に来た子は相当に喜んでいたのだが、今のオズワルドの発言でその線は完全に潰えた。「そっか、それで謎が全部解けたよ。あれだけ一晩中出せる人がどうして今まで子どもが出来なかったのか不思議だったんだよね」 むしろ種無しなのかと思っていたぐらいだ。そんな私の考えを読んだのか、オズワルドは冷たい眼差しを向けてくる。「言っておくが、その気になればいつでも子どもを作れるぞ、俺は。試してみるか?」「嫌よ。これから楽しい高級サロンライフが待ってるって言うのに!」「&hellip
last updateDernière mise à jour : 2026-07-21
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42・悪魔の化身

 馬車はスルスルと吸い込まれるように次々お城に入っていく。兵士たちの馬車が全て城に入り、私達が乗った馬車が城に入った途端、城の門扉は慰み者達が乗った馬車の前で容赦なく閉じられる。「もういいぞ」「駄目。どこから誰が見てるか分かんないから、もうサロンに着くまで隠れてる」「そこまで徹底するのか」「うん。面倒事に自ら首突っ込みたくないもんね」「なるほど。賢明だな。後で昼食を持ってこさせる。馬車は城の裏に停めるからそこまで警戒しなくて良いようにしておこう。最悪寝てろ」「分かった。ありがと」 やがて馬車は止まり、オズワルドが出て行った。そっと聞き耳を立てると外からオズワルドの冷たい話し声が聞こえてくる。「馬車は裏に止めておけ」「はい!」「あと、中のやつは戦場でも噂になっていた悪魔の化身だ。絶対に覗くなよ」「は、はい!」「……」 一体どんな噂になっていたのか。どうやら私は本気で、完全にサキュバスだと思われているようだ。 ※ 重苦しいマントを翻して城に入った俺は整列する騎士の中からグレイを探し出して言う。「グレイ、裏の馬車にダリアが居る。何か軽食を持っていってやってくれ」 それを聞いてグレイが引き攣ったような戸惑ったような顔をする。「あの娘を連れて来られたのですか?」「ああ。あいつの望みはサロンに就職することだそうだ」「……えぇ?」 今までの慰み者達はその役目を終えると決まって要求する報酬は家や土地と言ったものだったが、そこはダリアだ。何せサキュバスなのだ。いついかなる時でも求めるのは快楽一択なのだろう。 何とも言えない顔をしたグレイを見てこの反応こそが正しいのだと思いつつグレイの肩を叩くと、途端にグレイはハッとして騎士達の列の中から抜けていく。 残った騎士達を見て俺は静かに言った、「俺への挨拶は良い。このまま大聖堂に
last updateDernière mise à jour : 2026-07-22
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43・おやすみのキス

 やることも無いので馬車の中でヨガをしていると、突然馬車のドアが開き、誰かが馬車を覗き込んできた。「あなた!」 サンドイッチ片手に馬車を覗き込んできたのはあの兵士だ。「よぉ! はは! 本気であのサロンで勤めるんだな! 最初聞いた時は耳を疑ったけど、少なくとも村に帰るよりは稼げるんじゃないか?」「ありがと! それよりもさ、そのサロンってどんな人が来るの?」「あのサロンか? 会員制で誰が今のメンバーかは俺も詳しくはないけど、宰相だろ? 騎士団長だろ? あとは賢者、それから城に勤めてるほとんどの高官だろうな」「会員制なんだ。そりゃそっか」「身分がはっきりしていて、なおかつ多額の年会費を払えるような者でないとな。あと独身の者っていうのも重要なんだ」「そうなの?」「ああ。この国では既婚者の浮気、不倫は許されない。それこそ見つかったら刑罰を食らう。これもオズワルド王が定めた法律だ。その代わり、離婚は出来るから浮気大国の隣国よりはマシだよ。お前も既婚者とはしなかっただろ?」「言われてみれば……」 なるほど、だからオズワルドは結婚したら相手しか抱かないと言い切ったのか。 この目の前の兵士もそうだ。決して私に手を出してきたりしなかった。そこで端と気づく。「もしかして、慰み者の中に居た男子たちって……」「そう。既婚者の為の相手だよ。ああでもしないと高ぶって同僚に手を出す奴がいるからな。男の場合は浮気や不倫には含まれないんだ」「なるほど……これが噂に聞く衆道というやつか……」 どこの世界でも人間のやることは同じのようだ。「まぁでも彼らは大抵慰み者同士でくっつくんだけどな」「そうなの?」「ああ。慰み者達のカップルになる率は凄いんだぞ。報奨金もたんまり貰えるし、嫁さんも見つける事が出来るから男の方からの志願者の方が多いぐらいだ。慰み者に白羽の矢が立つ奴は男女共にその街での精鋭だ
last updateDernière mise à jour : 2026-07-23
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44・快楽を貪るダリア

 それから馬車は華やかな王都を抜け、閑静な住宅街も抜けてどんどん城から遠ざかった。 一体どこまで行くのかと窓の外を凝視していると、はるか前方の方に脇道に向かって淡いランプが灯っているのが見えた。 馬車は脇道までやってくると、何の躊躇もなくその脇道に進んでいく。ランプに導かれるように進むと、正面に白亜で出来た豪華な小さめの城のような建物が見えた。その前には高級そうな馬車が2台ほど止まっている。 私は思わず眠っているオズワルドの肩を揺すると、興奮しながら言った。「ねぇねぇオズワルド! もしかしてあの建物がそう!?」「ん……もう着いたのか?」 私に起こされたオズワルドは髪をかきあげながら起き上がると、窓の外を見て頷く。「そうだ。ああ、あいつらも抜け出して来たのか。一体いつの間に……」「知り合いの馬車?」「ああ。宰相と騎士団長だ。ここは表向きには会員制のサロンなんだ。だからここで酒を飲んだり大事な話をしたりする事もある」「なるほど。で、お酒とか飲んで話し合いした後に誰かと寝るの?」 目を輝かせた私を見てオズワルドは白い目を向けてくる。「……まぁそうなんだが、お前は本当にそういう事にしか興味ないんだな」「他にもあるけど、今はそれで頭一杯だよ!」「……そうか」 やがて馬車が止まり、御者がドアを開けてくれた。先に下りたオズワルドがまるで私を高貴な家の娘でも扱うかのように手を差し伸べてくる。「ちなみにここは連れ込む事も出来るんだぞ」「そうなの?」「ああ。それぞれ結婚前の相性を調べたい時とかにな、連れ込むそうだ」「連れ込むそうだって、オズワルドは連れ込んだことないの?」「ああ。結婚したいなどと思える奴にまだ会った事がなかったからな。ついて来い」「うん。そう言えば私、騎士団長さん見たことないんだけどあの戦場に居た?」 ふと思
last updateDernière mise à jour : 2026-07-24
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45・働き者

「あなた、ダリアさん。今後の活躍に期待しているわ。何かタブーな事とかある?」「特にありません! 縛られても逆さ吊りにされても平気です! お尻の方も使えます! もちろんやる方も得意です!」 SMには特化している私だ。そういう技術を聞かれているのだと思って胸を張ったが、オズワルドはとうとう突っ込まなくなったし、オリガは唖然としている。「王……」「何も言うな。何も聞きたくない。まぁそういう事だ。雇ってやってくれ」「は、はい……」 とんでもない奴連れてきやがったな、みたいな顔をしているオリガにオズワルドがそっと目をそらす。 しばらく二人は沈黙していたが、やがてオズワルドのお腹が小さく鳴った。「お食事をされますか?」「ああ、頼む。今夜はここへ泊まる。お前も食べるだろ?」 そう言ってオズワルドは私の方を振り向いた。「いいの?」「構わない。そういう訳だオリガ。2人分を部屋へ運んでくれ」「畏まりました」 そう言ってオリガはもう一度私を見て心配そうに立ち去っていく。「部屋って? 予約とかしてないよね?」「そんなものはいらない。ここは会員の数だけ部屋が割り当てられているんだ。まぁ、言わば別荘のようなものだな」「随分ふしだらな別荘だけど、それじゃあオズワルドの部屋もあるって言う事?」「もちろん。こっちだ」 オズワルドは軍服の裾を翻して長い廊下を歩き始めた。 オレンジ色の淡いランプに彩られた廊下は、それだけで何だか雰囲気がある。 やがて突き当りの部屋までやってくると、オズワルドはおもむろにポケットから鍵を取り出して部屋を開け始めた。「すっご……え? スイートルームじゃん!」「スイート、なんだ?」「ごめん、こっちの話。ここがオズの部屋?」「ああ。ほら、早く入れ」「あ、うん」 背中
last updateDernière mise à jour : 2026-07-25
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46・一緒にお風呂

 指先の繊細な動きに私が身体を捩ると、オズワルドはすかさず私の割れ目に手を入れてきた。「あっん!」「もう濡れてるぞ」「結構前から濡れてたよ」「そうなのか?」「うん。だって、この後オズワルドとするんだ~って思ったら勝手に濡れちゃうんだもん」 言いながら私はオズワルドの胸に指先を滑らせると、オズワルドは低く呻いて腰を引こうとする。そんなオズワルドを逃さないように私は彼の腰に腕を回して、熱い塊を扱き出した。 そんな私に反撃だとばかりにオズワルドは私の中に指を二本ねじ込み、それぞれバラバラに動かし始める。「やん! そこ、駄目だよ」「どうして? 随分気持ちよさそうだが——っ」 声を詰まらせたオズワルドの弱点は先端だ。ここに触れるとオズワルドの先走りが溢れてくる。「オズもね?」「……お前……」 まさかやり返されるとは思っていなかったのか、オズワルドは軽く私を睨みつけ、そのまま私を持ち上げた。「ここでは何の遠慮もいらない。好きなだけ喘げ」「うん」 天幕ではそこまで大声では喘げなかった。何故なら声が外に丸聞こえだったからだが、この部屋はどうやら防音がしっかりしているようだ。通ってきたどこの部屋からも声は聞こえなかった。 オズワルドは私の身体にゆっくりと熱い塊を沈めて行く。私は完全に持ち上げられているので、オズワルドのしたい放題だ。「はぁ……気持ち良い……溶けそう……」 静かに私の中に沈む熱い塊にうっとりしながら言うと、オズワルドも深い息を吐きながら言う。「ああ……俺もだ。挿れるだけで、どうにかなりそうだ」 いつもよりもずっとずっと静かでゆっくりなセックスは、それだけで私達を高ぶらせた。前戯もほとんどしなかったので、まるでこれが前戯だとでも言うように。 やがてオズワルドが私を持ち上げたり下ろしたりし始めた。その度に自分の重みで最奥に電気が走ったかのように痺れる。「あっ、あっ、あっ、っく、っう」「はぁ、
last updateDernière mise à jour : 2026-07-26
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47・王の貴重な休日

 気がつくと私はオズワルドに抱きかかえられた状態でベッドに居た。そして相変わらずナイトドレスのボタンはきっちり一番上まで閉まっている。「あー……あのまま寝ちゃったのかぁ……」 眠い目を擦りながらぽつりと言うと、それまで固く目を閉じていたオズワルドがうっすらと目を開けた。「……お前、王を差し置いて風呂で寝るとは、良い度胸だな」「ごめんってば! ちゃんと服とか着せてくれたんだね」「仕方ないだろう? 素っ裸のまま風呂に放置など出来ないだろうが」「はは、確かに」「正しくは、身体も洗ったし頭も洗った。乾かして服を着せた、だ。感謝しろ」「えっ⁉」 まさかそこまでしてくれているとは思ってもいなくて思わずオズワルドを凝視すると、オズワルドは少しだけ怯んだように引きつる。「いや、冗談だぞ? 信じるなよ?」「なんだ、びっくりした……そんな献身的な人なのかって思っちゃった」「冷酷王と呼ばれている人間が、そんな事すると思うか?」「思わないけど、オズワルドは全然冷酷じゃないじゃん。皆の勝手なイメージだよ」 言いながら私はベッドから下りると、水差しに入っていた水をグラスに注いで一つをオズワルドに手渡した。「はい、どうぞ」「ああ、すまない」 水を受け取ったオズワルドはそれを一気に飲み干して自分もベッドから出てくる。「朝ご飯とかってどうしたらいいの?」「ん? ああ、あれを使え」 そう言ってオズワルドが指さした先に置いてあったのは、昔懐かしいダイヤル式の電話だ。しかも何だかお洒落である。「凄い! 懐かしい!」「懐かしい?」「うん。私の時代にもこれあったんだよ。まぁ、とは言えはるか昔の事だけどさ」 何だか意外な所でレトロな物に出会ってしまって思わず嬉しくなった私は、受話器を取ってオズワルドを見上げた。そんな私
last updateDernière mise à jour : 2026-07-27
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48・ダリアのもう一つの特技

 私はそんなオズワルドを横目にカウンターバーに行って色々とお酒を眺める。ここには本当に色んなお酒が揃っていて見ているだけでも楽しい。「ねぇオズワルド、ちょっと部屋出てもいい?」「構わないが、どこへ何しに行くつもりだ?」 本から顔も挙げずにそんな事を言うオズワルドに私は頬を膨らませて言い返す。「厨房だよ! ちょと果物貰ってこようと思って。駄目?」「厨房か。厨房はこの部屋を出て廊下の突き当りを右だ」「分かった! ありがとう」 私は意気揚々と部屋を出て長い廊下を歩く。昨夜見た時は何だか雰囲気のある廊下だと思ったが、明るい所で歩くと全然違って良い。 景色を見ながら廊下を進んでいると、昨日のロビーのような場所にたどり着いた。そこでは今日も美しいオリガが眼鏡をかけて書類をまとめている。「おはようございます」「ん? ああ、ダリアちゃん。おはよう。王は?」「今は読書中です」「そう。お休みの日をここで過ごされるのも三年ぶりねぇ」 そう言ってオリガは眼鏡を外して懐かしそうに目を細める。「それまでは王はここでしょっちゅうお休みされてたんですか?」「ええ。ここはサロンだからね。お休みの日は王は一人でここで過ごされていたわ。でもそれは王だけじゃないわね。他の方達も結構お休みに利用されるのよ」「そうなんですか」「そうなの。ところでダリアちゃん、今日のご予定は?」「今日は王がたまにはここで大人しく休めって脅してくるので、大人しくしてるつもりです。あ、でもお仕事あったら働きます!」「お仕事は大体夜だから安心して。それよりも王が自分の部屋で休めって?」「はい。多分私の行動を怪しんでるんだと思います!」「えっと、それはどういう事?」「野放しにしておくと、どこで男を襲うか分からないと思われてるんだと思います!」「……そうなの。なら今日はゆっくり王に監視されていなさいね」「はぁい!」
last updateDernière mise à jour : 2026-07-28
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49・待て

「んー……オズ、オズワルド」「……んん?」「もう夕方だよ。お城に戻らなくていいの?」 明日からまた仕事だとオズワルドは言っていた。それなのにこんな時間まで惰眠を貪っていて良かったのだろうか? 珍しく寝起きの悪いオズワルドの寝巻きのボタンをゆっくりと外すと、オズワルドの首筋から胸にかけてそっと指を這わせる。 その途端、驚いたようにオズワルドはパチリと目を開け、私を軽く睨んできた。「この起こし方は止めろ。心臓に悪い」「えー、最高に良い目覚めじゃない?」「どこがだ。また縛られるんじゃないかとヒヤヒヤするから止めてくれ」 そう言ってオズワルドは私に覆いかぶさり、何を思ったのか首筋を甘く噛んでくる。「ちょ、お休みの日はそういう気分にならないんでしょ⁉」 私が問いかけると、オズワルドは少しだけ首を傾げてすぐにニヤリと笑った。「お前が相手だとそうでもないようだ」 そう言ってオズワルドは私のナイトドレスの中に手を差し入れてきて、胸をゆるゆると揉みだす。「んっ」 思わず漏れた声にオズワルドは意地悪に笑って噛みつくようなキスをしてきた。 それから私達は夕飯の時間までたっぷりと互いの性欲を発散させ、何だかスタミナがつきそうな夕食を食べて今度はソファでして、やがて——。「流石にタイムリミットだな」「月がもうあんな所まで昇ってるけど、大丈夫なの?」「大丈夫ではないな。御者がハラハラしていそうだ」 笑いを噛み殺しながらシャワーを浴びに行ったオズワルドは、そのまま軍服に着替える。 その間に私も適当なドレスを着てオズワルドの曲がった勲章を直すと、背伸びをしてオズワルドの頬にキスをした。「お疲れ様でした、王。今日はゆっくりお休みを堪能できましたか?」「お前がそんな態度を取ってくると寒気がするが、まぁなかなか充実した休みだったんじゃないか」
last updateDernière mise à jour : 2026-07-29
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50・王だってたまには

「ありがとうございました、王」「いや。ではな」「はい。またのご利用をお待ちしております」 今度は深々と頭を下げたオリガを見て、私達もサロンのドアをくぐる。 馬車に乗り込んだオズワルドがふと窓から顔を出して手招きしてきた。「なに?」「これをお前に預けておく。あの部屋は好きに使え。それから毎日夜の18時以降は空けておけ。来られない時は連絡する。これは城の俺の部屋の番号だ」「分かった。来られない時は他の人とヤッていい?」「……ああ」 そう言って手渡されたのは、あの部屋の鍵と数字が羅列されたメモだ。それを何の気無しに受け取った私は、元気よく手を振ってオズワルドを見送ったが、オズワルドは始終何とも言えない顔をしていた。 ※ ダリアに手渡したのはサロンの部屋の鍵だ。恐らくダリアの中の俺は本当にセックスで自分を満足させてくれる相手ぐらいにしか思われていない事も承知している。だからこそ余計に預けておきたかったのかもしれない。 少しでもダリアの首に首輪をつけておきたかったのだ。ついでに俺の部屋の電話番号も渡したが、こちらの思いなど何も知らないダリアはそれを雑にポケットに突っ込んで笑顔で手を振ってくる。 その顔が何だか憎らしくて、思わず顔を顰めてしまった。 帰りの馬車から外を眺めていると、街の灯りが一つ、また一つと消えていく。そんな明かりを見ていると、たまに、ふとした拍子に全てを投げ出してしまいたくなる。 王という役職は孤独だ。俺は割り当てられた役を演じていただけに過ぎないのに、いつの間にかそれがオズワルドという人間になってしまった。 ダリアは俺にデートが下手くそだと言ったが、あれは正しかったのだ。羊を見て可愛いと思う気持ちも、野花の名すら知らないのだから。 けれどそんな事は王には必要のない知識で感情だ。それも分かっている。分かっているが、そんな事すら知らない人間はどうなのだろう? 全ての感情が豊かなダリアこそ、実はとても人間らしいのではないだろうか。だ
last updateDernière mise à jour : 2026-07-30
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