全身ずぶ濡れになりながらも一生懸命に走る背中を追いかけるべく、井上さんに食らい付くように走っていたのだけれど。(ん? 疲れてきたのかな、スピードが落ちてるような? でもここは急がなきゃなんねぇし)「あのっ、もう少しスピード上げてもいいっすよ!」 「済まない。つい考え事をしてしまって、スピードが落ちてしまったね」 「考え事って、さっきの康弘くんだっけ? 大丈夫っす! タケシ先生がぜってー、助けてくれますから」 俺の病気を一発で見つけてくれたりと、腕はばっちり保障済み。名医なんだ。 タケシ先生の顔を思い出し、微笑みながら告げると、井上さんは意味深な笑みを浮かべて、俺の顔を横目で見つつ、自分の首にちょいちょいと指を差す。「そのチョーカー、すごくステキだね。彼からの贈り物なのかい?」 井上さんの言葉が、頭の中で何故だかリフレインした。 この人の色っぽい流し目や眩しい微笑みは、タケシ先生が見習えというくらいに魅惑的なもので、ドキドキさせられてしまい――それだけじゃなく、『彼からの贈り物』というセリフが、更にドキドキを加速させた結果、足の回転速度が勝手に高まり、井上さんを追い越した挙句、ずしゃっと絡まってこけてしまった。(――俺ってば、超バカ!) ((((o ̄. ̄)o ・・・・・・・・ミ(ノ;_ _)ノ =3 ドテッ「おい、大丈夫か!?」 井上さんが慌てて駆け寄り、ずいっと手を差し伸べてくれたんだけど、思わず退いてしまう。 タケシ先生とは違った感じのイケメンな上に、声色や仕草が妙に色っぽくて、無駄にドキドキするんですけど! さすがは元ホスト。只者じゃねぇ……「みっ、水に滴るいい男にそんなことを言われても、俺的には無理って言うか、えっと……そのぅ」 あれ、何か変な感じがするのは俺の気のせい? (正しくは、水も滴るいい男w) 結局、井上さんの差し出してくれた手を借りずに、さっさと自分で立ち上がり、転んで汚れてしまったズボンを、ばしばし叩きまくった。「……誘ったとか、そんな深い意味はないよ。ただチョーカーがとても似合っていたから、指摘しただけなんだが」 「すみませんっ、普段滅多に褒められたりしないから、いきなりワケわかんねぇことを、つい口走っちゃって」 「こっちこそ急いでる足を止めて済まない。目の前にある白い建物がそうだから」 指を差
Última actualización : 2026-10-01 Leer más