「寧音、もう寝なさい。滉は書斎へ来い。話がある!」伯山は寧音の言い逃れを一目で見抜いた。少し不機嫌そうに顔をしかめたものの、その場では追及しなかった。書斎に入ると、滉はあくびをした。「もうすぐ夜が明けます。俺は一睡もしていないので、手短に話します。寧音は紗彩の後をつけて紅葉館へ行ったそうです。紗彩が密会している男、つまり自分の本当の父親を見つけようとしたらしいですが、見つかって警察署へ連れて行かれました。あいつはお前たちではなく俺の連絡先を残したので、警察から俺に連絡が来たんです。夜が明けたら、紗彩に母親として少しは責任を果たせと言ってください。話はそれだけです。ほかに用がないなら、俺は帰ります」「待て、滉。ひとつ聞きたい。あの鑑定書は本物なのか?」「紗彩は現実から目をそらしていますが、お前まで科学を疑うほどボケてしまったんですか?はっきり言っておきます。たとえ天と地がひっくり返っても、あの結果は揺るぎません。寧音は俺の実の娘じゃない。絶対にだ!俺にとって、あいつは紗彩が他の男と作った子にすぎない!」「他の男と作った子」という言葉を聞き、伯山は眉をひそめた。目には重苦しい色が浮かんでいた。自分と野村家の面目を潰すには、十分すぎる事態だった。滉はこめかみを揉み、頭をはっきりさせながら続けた。「お義父さんは紗彩の父親でしょう。娘のことなら何もかも知っているはずだ。紗彩が外で付き合っている男のことを、本当に知らないんですか?」「紗彩がそんなことをするはずがない」伯山は鼻を鳴らしたが、声にはそれほど自信がなかった。何しろ、目の前にはDNA鑑定の結果という動かぬ証拠がある。「父親なんだから、娘をかばうのは理解できますが、隠さずに言わせてもらいます。俺と紗彩が関係を持ったのは結婚してからです。だが、寧音は俺と結婚する前に紗彩が身ごもっていた子だ。俺はまんまと騙され、他人の子を自分の子として育てさせられたんです!お人よしの俺を狙って、野村家ぐるみで最初から仕組んでいたんじゃないですか?」「わしは何も知らんし、お前を騙す理由もない。お前を騙して何の得がある?この件は紗彩に問いただす。もし本当に男がいるなら、わしに隠すはずはない……」「はっ、外の男とのやましい関係を、誰が自分から白状するんですか?今になっても紗彩は、娘の
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