コラボ第三弾については、すべて澪に一任されることとなった。 本当に自分でいいのだろうか。 そう思うのと同時に、これは、いつか自分のブランドを持つために与えられたチャンスだとも思う。 澪はバッグを肩にかけ、持ち手をぎゅっと握った。これから、ダーマコードでコラボ第三弾の打ち合わせがある。仁と正式に恋人になり、世間に公表してから、仕事で会うのは初めてだった。 きっと今までと変わらないはずなのに、やけに緊張して手先が冷たくなっていた。 オフィスを出ようとしたそのとき、スマホに仁から連絡が入った。《この前渡した鍵、持ってきてくれ》「鍵なんて、なんで……」 澪は首をかしげて、バッグの中のキーケースを出した。 そこにはマンションの鍵とは別の鍵が下がっている。 それを確認して、澪はオフィスを後にした。 ダーマコードに到着すると、次々にお祝いの言葉をかけられた。「おめでとうございます!」「社長を幸せにしてあげてください!」「やっとか……って感じで安心しました!」 眼鏡をかけた社員が、廊下の向こうから深々と頭を下げてくる。受付の女性は、なぜか目元をうるませていた。 声をかけられるたび、「はあ……」とか「ありがとうございます……」と言うことしかできなかった。 会議室に到着したときには、すでにぐったりしていた。「朝倉さん、かなりお疲れのようですね」 真壁が声をかけてきた。澪は小さくため息をついた。「ありがたいことに、ダーマコードの皆さんにお声がけいただきまして……」「ははは! そりゃそうだ。うちの社長の恋がようやく成就したんだから」「はあ……まあ、そうですね……。っていうか、真壁さんもなんか楽しんでません?」
Dernière mise à jour : 2026-10-10 Read More