直哉は、目の前の澪から目を離せずにいた。 澪は、付き合っていたころとは見違えるほど輝いている。 肌艶はよく健康的で、以前は澪が気にしていた肌の赤みや乾燥も、ほとんど見られない。 新しいヘアスタイルも驚くほど似合っていた。毛先は緩いカーブを描き、まるで風に揺れているかのようにふわりとしている。以前は長い髪で隠れていた顔も、髪型の効果でひと回り小さく見えた。 これまで直哉だけが知っていた澪の美しさが、今は前面に出ている。誰が澪をこんなふうにしたんだ。 直哉は奥歯をぎりっと噛み締めた。 ――澪のことを知り尽くしているのは、この、俺なのに……。 睨みつけるように澪を見ていると、澪はふいと視線を逸らした。そして、ドレスショップの店内へ消えていった。「チッ!」 直哉は舌打ちした。すると、花音が訝しげに直哉を見上げてきた。直哉は花音を睨みつける。 ――お前さえ、妊娠しなければな! 直哉は心の中で花音に悪態をついた。 花音は頭が悪く、胸が大きいくらいしか魅力がない。それに比べて澪は容姿端麗で、スタイルもよく、頭も切れて仕事もできる。 なんでこうなってしまったのだろうか。 直哉は髪の毛をぐしゃっとかきむしって、ため息をついた。 そのとき、澪の隣にいた女が口を開いた。確か職場の先輩で、奈央という名前だったはずだ。「澪ちゃんのドレスを横取りしたけど、ウエストがきつくてサイズ直しが必要なんでしょう? まあ、見たところ澪ちゃんより太めみたいだし」 くくく、と肩を揺らしながら、奈央は花音を上から下まで舐めるように見て嘲笑っている。 奈央の言葉を聞いて花音はみるみるうちに顔を真っ赤にした。「なによ! お腹に赤ちゃんがいるんだからふっくらしてるの当たり前じゃん!」 その言葉を聞いて、奈央は呆れた顔をした。「ま、そういうことにしといてあげる」 そう言い残すと、澪を追いかけて店内に向かった。 花音は怒りが
Last Updated : 2026-07-12 Read more