ロビーのスタッフは司に気づくと、慌てて駆け寄ってきた。何か必要なものはないか、帰りの車を手配しようかと尋ねられたが、司はすぐに断り、そのまま地下駐車場へ向かった。車で地上に出たときには、入口に若葉の姿はもうなかった。司は眼鏡を外し、疲れたように眉間を押さえた。しばらくして昭夫に電話をかけ、若葉が残業していた理由を確認するよう命じた。翌日、出社した修司は、若葉が昨夜送ったメールを目にするなり激昂した。あの小娘は、自分の立場などまるで考えていないらしい。プロジェクトの関係者全員が目にするメールで、よくもあれだけ遠慮なく指摘できたものだ。確かに、選定フローをきちんと作らず、過去の資料を使い回したのは事実だった。だが、それだって若葉が無理に急かしたからではないか。問題があるなら、直接言えばいい。わざわざ全員をCCに入れて、自分に恥をかかせる必要などなかったはずだ。怒りが収まらない修司は、若葉に直接文句を言おうとした。だが、面会を申し込んでも断られてしまった。仕方なく、今度は昭夫のところへ向かった。宮本社長に直接会えるはずもない。ならば、その補佐を務める昭夫に話を通すのが一番早い。修司は、自分のほうが若葉より社歴も長く、会社の事情にも業界にも詳しいと思っていた。人脈も情報量も、自分のほうがはるかに上だ。事情を説明しさえすれば、昭夫も宮本社長もこちらの言い分を理解する。そう信じて疑わなかった。部屋へ入るなり、修司はまずこれまでの実績や、自分が会社にどれだけ貢献してきたかを延々と話し始めた。ところが、話の途中で昭夫に遮られた。「用件を簡潔にお願いします」修司は一瞬言葉に詰まった。こんな反応をされるとは思っていなかったのだ。それでもすぐに気を取り直すと、今度は遠回しに若葉への不満を並べ始めた。あくまで自分個人の意見ではなく、周囲も同じように感じているのだという形を取った。話しているうちに、若葉はいつの間にか、何をやらせても駄目な上司ということになっていた。会社のことも業界のことも分かっていない。考えも浅く、計画性もない。少し権限を持っただけで振り回し、人の使い方も仕事の割り振り方も分かっていない――そこまで聞いたところで、昭夫は内心あきれ果てた。以前から若葉の
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