その後の手続きは滞りなく進み、1週間もたたないうちに正式な選定結果が発表された。安藤グループは、予定どおりサプライヤーに選ばれた。その日のうちに宗介は盛大な祝宴を用意し、聡たちを招いて、涼香の成功を祝うことにした。会場は、深津市でも指折りの高級会員制料亭、江月庵。利用客の多くは、財界関係者や富裕層だった。個室では涼香が上座に座り、笑顔で皆からの祝福を受けていた。最初に口を開いたのは悠人だった。プロジェクトが何なのかもよく分かっていなかったが、大人たちの真似をするように褒め言葉を並べた。「涼香さん、おめでとう!きれいだし、仕事もできるし、世界で一番すごいね!」そう言って、笑いながら涼香に抱きついた。人前では、いつも「涼香さん」と呼ぶことになっていた。家では「ママ」で構わないが、外ではそう呼ぶようにと、涼香から言い聞かされているのだ。涼香は悠人を抱き締め、頬にキスをした。「悠人は本当にいい子ね。でも今回のプロジェクトは、パパにもたくさん助けてもらったのよ。パパがいなかったら、うまくいかなかったかもしれないわ。ほら、パパにもお礼を言って」悠人は今度は宗介へ向き直り、愛嬌たっぷりに言った。「パパ、ありがとう!僕も大きくなったらパパみたいになって、一緒に涼香さんを守る!」人を喜ばせる言葉をよく心得ている。ほんの数言で、大人たちはすっかり笑顔になった。なかでも聡は大喜びで悠人を抱き上げ、何度もくるくると回した。「俺も期待してるぞ。大きくなったら、ちゃんと責任感のある男になって、パパと一緒に涼香を守るんだぞ」悠人を下ろすと、自然と話題は今回のプロジェクトへ移った。涼香から事前に聞かされていたため、明和バイオに新しい副社長が来たことは皆知っていた。真っ先に聡が鼻で笑った。「どれだけ筋の通った人間かと思ったら、結局、宗介の名前を聞いてひるんだだけか。こういう、実力もないくせに立場だけで偉そうにしてる奴が一番面倒なんだよ。最初から遠慮せず、宗介の名前を出しておけば早かったんじゃないか?」涼香は少し驚いたような顔をした。「そこまでじゃないと思うけど……私たちが考えすぎてるだけかもしれないし、向こうは普通に手順どおり判断しただけかもしれないでしょう?」いつもそうだった。疑いの種をまい
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