【物流・海運分野で提携先を探しています】司はその投稿をひと目見ただけで、若葉が誰のために書いたものなのか察した。彼の知る限り、安藤グループも海運事業を手がけており、深津市ではかなりのシェアを占めている。ただ、なぜ若葉にこんなことまでさせているのか、それだけが理解できなかった。司は心の中で、あの男を軽蔑した。妻に自ら取引先を探させるなんて、なんとも情けない男だ。自分なら、若葉にそんなことは絶対にさせない。だが今の司には、何もできなかった。司は眼鏡を外し、疲れたように眉間を揉んだ。これ以上考えても仕方がないと、自分に言い聞かせる。月曜日、いつもどおりプロジェクトの定例会が開かれ、司も出席した。進捗はすべて順調で、若葉の会議運営にも非の打ちどころがなかった。それでも司は、彼女の表情に疲れと心労の色を見て取った。やはり、あの件が相当こたえているのだろう。会議が終わると、司は若葉に執務室へ来るよう告げた。若葉は一瞬、自分の耳を疑った。驚いたのは彼女だけではない。その場にいた全員が、司のやり方をよく知っていた。彼が誰かを執務室へ呼び出すことはめったになく、呼ばれるとすれば、重大なミスを犯して厳しく責任を問われるときくらいだった。軽ければ叱責、重ければ即刻解雇。皆、よほどのことがない限り、司の執務室には呼ばれたくないと思っている。そのため、周囲は一斉に同情の目を若葉へ向けた。中には面白がっている者もいて、とりわけ修司はそれを隠そうともしなかった。司に続いて執務室へ入った若葉も、どこか落ち着かなかった。なぜ呼ばれたのか、まるで見当がつかない。しかも部屋に入ってからも、司は何も言わず、黙々と茶を淹れている。不安は募る一方だった。地位の高い上司ほど感情を表に出さず、部下とのやり取りでは心理戦にも長けている。以前、そんな話を聞いたことがある。何も言わずに茶を淹れたり、植物の手入れをしたりするのも、何気ない仕草で相手を焦らせ、平常心を乱すためなのだという。そう考えれば考えるほど緊張は増し、若葉は何度も司の様子をうかがった。だが、若葉がそこまで考え込んでいるとは、司は夢にも思わなかった。彼女が疲れて見えたから、茶でも飲めば少しは気が休まるだろうと思っただけだった。茶を淹れ終え、司が差し出すと、若葉は不
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