若葉は心配になり、獣医に電話をかけた。獣医によると、今のコロは強いストレスを感じているか、以前のつらい記憶を突然思い出した可能性があるという。どうしても落ち着かないようなら、鎮静作用のある薬を少し飲ませてみてもいいと言われた。その薬なら、以前ペットショップで買ったものがあった。そこで若葉は獣医の指示に従い、コロに少量飲ませた。薬が効くと、コロはようやく落ち着きを取り戻し、ほどなくして深い眠りについた。コロが眠ったあと、若葉は佳奈にビデオ通話をかけた。佳奈が出張へ行ってから、二人は数日おきにビデオ通話をしていた。佳奈はまだ残業中らしく、目は充血し、髪もペン一本で無造作にまとめていた。若葉が今日ジムへ行ったことを話すと、佳奈はどうだったかと尋ねた。「すごくよかった。設備も整ってたし、雰囲気もよかったわ」「気に入ったなら、時間があるときにもっと通ってみたら?ダイエットのためじゃなくても、身体を動かすのはいいことだし」「うん、そうする」若葉は、これからも必ずジムへ通い続けるつもりだった。若葉はそういう性格だった。気が進まないことには手をつけないが、ひとたび目標を定め、やると決めたら、そのために全力を注いだ。佳奈は若葉が運動に興味を持ったのだと思い、さらに提案した。「そうだ。人からもらった、土曜日に使えるスキー場のチケットがあるの。私はどう考えても戻れそうにないから、あとで電子チケットを送るね。気分転換だと思って、遊びに行ってきたら?」「でも、私、スキーできないわ」「大丈夫よ。見に行くだけでもいいし、少しずつ覚えればいいんだから」土曜日、若葉は車でスキー場へ向かった。来る前に少し調べたところ、そこは深津市の老舗スキー場として知られていた。設備が充実し、コースも多いため、毎年多くの人が訪れるという。混雑しているとは思っていたものの、実際に着いてみると、目の前を埋め尽くすほどの人出に圧倒された。しかも、誰もが頭に飾りをつけたり、顔に小さな模様を描いたりしていた。尋ねてみると、今日はここでフリースタイルスキーの大会が開かれ、彼らは選手の応援に来たファンだという。若葉が何も知らないと気づいた一人の女性が、親切にいろいろと教えてくれた。今日は憧れの選手を応援するためだけに来たこと、その選手は仕事
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