だが、今はもう違う。すでに退職を申し出ている以上、これらのプロジェクトはいずれ誰かに引き継がなければならない。早く手放せば、それだけ早く肩の荷が下りるだけだった。名残惜しくはあったが、遅かれ早かれ手放さなければならないのだから、受け入れるしかない。その頃、宗介のオフィスでは、涼香が彼の膝に座っていた。「こんなことをして、本当に若葉さんは焦ると思う?」「もちろんだ」宗介は自信たっぷりに答えた。「このプロジェクトは、あいつにとって自分の子どもも同然だ。この数年、心血を注いで一から築き上げてきたものだから、手放せるはずがない。じきに俺のところへ来て、返してくれと頭を下げる。そのとき、お前の要求を突きつけて、今までの鬱憤を晴らせばいい」「もし来なかったら?」「それなら好都合だ。この機会に完全に実権を奪えばいい。もともと、あいつの仕事はそれほど難しいものじゃないし、能力だって大したことはない。お前なら十分引き継げる。いずれ再就職先も見つからず、行くところがなくなれば、結局は俺に泣きついてくるさ。要するに、安藤グループを離れた若葉には何の価値もない。一人では生きていけないんだ」「そこまで考えてくれてたのね」涼香は宗介の胸に寄り添った。「じゃあ、あなたの言うとおりにする」そのメールに注目していたのは、二人だけではなかった。盛沢支社の同僚たちも同じだった。若葉は拓海に電話をかけ、事情を説明しようとした。だが、その前に向こうから電話がかかってきた。「リーダー、あんまりじゃないですか!」拓海はひどく腹を立てていた。「盛沢のプロジェクトは、リーダーが一から立ち上げたものですよ。そのためにどれだけ苦労して、どれだけ尽くしてきたか、俺たちはずっと見てきました。それを今になって、メール一通で勝手に取り上げるなんて。リーダーはともかく、俺たちが納得できません!」「ひとまず落ち着いて」若葉は拓海をなだめた。安藤グループを退職することは、皆の士気に影響しないよう、もう少しあとで伝えるつもりだった。だが、こうなっては隠しておけそうにない。「私、あと2週間で安藤グループを辞めるの」「何かひどいことをされたんですか?」退職すると聞いても、拓海は仕事のことも、自分たちの今後についても尋ねなかった。真っ先に若葉
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