「あ、人。わぷっ」「はい俺の勝ちっ。あ?ほんとだ」 空中でノエルを袋に詰めた東条は、吹き抜けを飛び越え、そのまま三階の手すりにへばりつく。 眼下には、目を丸くして此方を見上げる三人の男女がいた。(んー。……あれ?身体強化してないのかあいつら) 身体強化を使う者に対しては、全身を覆う様な凝縮した魔力の気配を感じ取れる。 今まで会って会話してきた人は皆鎧を着ていたが、彼等のそれは例えるならTシャツだ。 魔力を帯びていないゴブリの一撃ですら危うい。(魔力量は多いのに、勿体ない) バットと女もそれなりに多いが、何より先頭のクソったれイケメンが突出している。 キュクロプスや紅には届かないまでも、快人よりあるのではなかろうか? しかしまあ、そもそも身体強化自体常識というわけではない。 ヤクザ三人組の様に勘で出来る者もいれば、自分や快人の様にロマンから到達する者もいる。 彼等にはその両方が無かったというだけだ。 そんなことを考えながら三人を見定めていると、「一度下りてきてくれないかっ?話がしたい!」 クソったれイケメンが声を張り上げた。 別に断る理由はないし、とジャンプして彼等の前に降り立つ。 目を丸くして驚愕する三人に、ちょっぴり優越感が湧き上がってしまう。「初めまして。まさと言います」「これは丁寧に、俺は新と言います。 単刀直入に言いますが、その袋に入った少女を開放していただきたい」「……?」 よく見れば、クソったれイケメンの新の顔は怒りと警戒に尖っている。 後ろの二人も似たようなもの。 東条は何故かと考えるも、すぐに思い至った。 あの一部始終を見ていれば、女児誘拐犯と間違われても仕方ない。「ああ大丈夫ですよ。こいつ俺の相棒なんで」「……信じられるわけがないだろう」「えぇ……」 説得を試みるも、返ってきたのは不審者への拒絶。 もしや面倒臭いタイプの人間か?と眉間に皺が寄るも、「そんな格好で女子を追いかける奴が、まともなはずがないっ!」「……忘れてた」 次の言葉で全てを理解した。 前言撤回、この男は正常だ。まともな価値観を持っている。「返す言葉も無いわ。おいノエル、お前もそろそろ出てこい。このままじゃ逮捕されちまう」 自分での説明を諦めた東条は、袋の中で今の状況を楽しんでいる彼女に助けを求める。
Last Updated : 2026-08-25 Read more