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33話

last update Fecha de publicación: 2026-08-25 06:34:04

 腹が減ったという東条とノエル意見によって、適当な店に入ることになった。

 二人共例の服は脱ぎ捨て、元の白黒に戻っている。

「こんな風にちゃんと店で食べるの、久しぶりです。あ、私は光明院 新と申します」

「姫野 胡桃です」

「春谷 嶺二っす」

 ソワソワした三人が自己紹介を始める。

「ノエル」

「歩き回っている身としては、色んな店で勝手に飯食えるの楽しいんですよ。

 私はまさです。呼び方はカオナシでもまさでも、どっちでもいいですよ」

「動画ではモザイクかけてますけど、いいんですか?」

「一応ってだけなんで、構いませんよ」

 席の土埃を払い、厨房を確認する。

「とりあえずあるもの温めてきますわ」

「俺も手伝います」

「私も」

「じゃあ俺も」

「早めによろ」

 さも当然かのようにパソコンを弄るノエルを置いて、彼等は各々食べれえそうな物を物色し始めた。

 用意した食事を囲み、今までのお互いの経緯や雑談を交わしていく。

「まさか新さんが次の目的地の代表だったとは、驚きました」

「ではやはり、明海大学に向かっている途中だったのですね!」

「え、えぇ」

 嬉しそうに笑顔を作る彼に、東条は引き
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  • Real   65話

      ――閑散とした住宅街を歩きながら、四方八方から向けられる視線を鬱陶し気に振り払う。 半端者の巣窟は、大学から二十分程のそう遠くない場所に作られていた。 人数はざっと八十くらいだろうか。 描き殴られたペイントや、乱雑に荒らされた民家から、この住宅街の一部だけ別の世界の様に感じる。 東条とノエルが歩きながらその風景を眺めていると、突然スキンヘッドの男+モブが屋根から飛び降りてきた。「おいテメェ、誰の許可えガァッ⁉」「アぐっ⁉」「イギぃっ⁉」 そしてノエルの蔦鞭で膝を折られ早々に退場する。 グループの中でも相当腕の立つ三人が一瞬で無力化された事に、覗いていた下っ端も息を呑む。 そして引き摺られている中に自分達のボスがいることに気付き、驚愕が恐怖に変わった。「……あ、あいつら、ノエルとカオナシじゃねぇか?」 覗いていた一人の男が声を漏らす。「誰だそれ?」「この前動画見せたろ!特区内を歩き回ってる化物だよっ。クソッ、俺達の事潰しに来たのか⁉こんなことなら俺も大学側に付けばよかった‼」「何ボソボソ言ってんだ?さっさとボス助けねぇと」「――っ俺は抜ける!」 立ち上がった男の腕をもう一人が掴む。「は?何を、お前ボスに殺されんぞ⁉」「知るか‼」「あっ、おい!」 掴まれた腕を強引に振り解き、男は一目散で裏口から逃走を図った。 取り残された方は呆気にとられ、開け放たれたドアを只見つめる。 彼はまだ知らない。 男のその怯えが、如何に大切なものであったかを。 東条は呻くスキンヘッドの上に座り、澄み渡る空を見上げる。「……なぁ、お前等のグループ、男しかいねぇな?」「ぐぅう、どきやがれっ、クソがぁッ」 見える範囲の半端者の中には、女性が一人としていない。 想像などしたくもないが、脳裏にちらつくのは先の泣きじゃくる女学生だ。「攫った女性、どうしてんだ?」「テメェに関係ねぇだろッ‼」 スキンヘッドが空いた拳に渾身の炎を纏わせ、東条の脇腹に一撃をぶち込んだ。 ゼロ距離で爆発する炎の威力は、人一人殺すのには充分すぎる。 腹は焼け爛れ、風穴が開いているに違いない。 ニヤリと笑うスキンヘッドはしかし、「……まぁ、関係ないんだけどさ」「なっ、ガッ⁉」 焦げどころか、目新しい傷が一切ついていない素肌に驚愕。と同時に頭部を掴まれ、その

  • Real   64話

      ――「おまたー」「ん」 数分もかからず返ってきた東条を確認し、ノエルは立ち上がる。 二人が向かって来るのを確認し、縛られている者達も再び呻き始めた。 しかし、「ちょっと寒いからこいつらの上着借りたいんだけど」「……あげたの?」「いや、ちゃんと後で返してもらうよ」「……ならいい」 彼等のことなど当然の様に無視し、東条は寒い寒いと肌を摩る。 一度としてまともに取り合おうとしない二人に対して、仮面達も怒りよりも疲れが勝ってしまっていた。「なんだなんだ。せっかく一緒に選んだのに、って悲しくなったか?お前も可愛いとこあんじゃおいっ⁉」 ピエロのコートを引き千切って投げ渡すノエルに、苦言の眼差しを向ける。 彼女はふんすと鼻を鳴らし、ようやく簀巻き達に目を向けた。「アジトまで案内して」 唐突にカメラを向けられたピエロは一瞬唖然とするが、猿轡を外されたと同時に溜まりに溜まった怒りを爆発させた。「テメェ等只じゃ済まさねぇ‼殺すッ、ゼッテェ殺してやンゴっ⁉――」「うるさ」 騒々しさに耐え切れず、仮面をぶち抜いて木片を口に突っ込んだノエルは、次いで下っ端にカメラを向ける。「教えてくれたら、生きたままモンスターに食わせるのはやめたげる。早い者勝ち」 その言葉に、下っ端達は自分に待っている未来を察す。 怒りなど霧散し、恐怖と懇願に俺が俺がと身を捩る。「はい君」 一際激しくアピールした一人が猿轡を外され、歓喜の表情を浮かべた。選ばれなかった他は絶望している。「お、教えます!教えますからっ、命だけは助けて下さい!」「んー」「――ッ‼(こいつッ)」 部下の醜態に激怒するピエロだが、今の彼には威厳も何もない。部下が言うことを聞くはずもないのだ。「まさこれ持って」「結局俺が運ぶのかよ……」 簀巻きから伸ばした蔦を、一本に纏めた物を渡された。歩けば全員が引き摺られてついてくる。 運び方が雑にも程があるが、こいつらに同情することなど何もない。 下っ端の言う道を進もうと彼等に背を向けた、直後、(舐めてんじゃ、ねぇッ‼) バレないよう静かに形成され、打ち出されたた二本の水の槍が、東条の背中を捉えた。(ッ死にやが……は?) ピエロが幻視したのは、貫かれ、血を吹き出す東条の姿。 しかし実際に目に映ったのは、背中に衝突すると同時に弾け

  • Real   63話

     「ん。見るに堪えない。人の皮を被った汚物」「これも人間だよ」 ぶらぶらと散歩している途中、叫び声が微かに聞こえたと思い来てみれば、泣きながら取っ組み合う男女と、それを囲み笑い声を上げる明らかに悪い人間達。 無理矢理やらされているという事など一目で分かる。「まさ」「はいはい。見てて気持ち良いもんじゃないし、なっ」 漆黒のデカい球体と洗濯機をトレントの根元に置き、跳躍。 ピエロの真後ろに盛大に着地した。「……っあ?なんだおま――ッ⁉」 無言でローキックを喰らったピエロの膝は、バキブチッという人体破壊の音と共に立つ意思を文字通りへし折られた。「いッでぇぇぇッ!、クソがァ、ってぇぇ――」 気付いた時にはもう遅い。 真横から蹴り抜かれた彼の膝は、二本纏めて本来曲がってはいけない方向に折れ曲がっている。 静寂に響く、ピエロの苦痛。 突如現れた第三者に、その場にいる全員の視線が釘付けになった。「あ、あいつ」 マスクの内の誰かが呟いた。と同時に東条は地を蹴る。「ひっ――ッ」「やめろ――ッ」「クソが――ッ」「あが――ッ」 逃げる暇など与えようはずがない。 ただ黙々と、膝の靭帯の悉くを破壊していった。 最後の一人を放り投げ、顔が腫れ上がった男子の肩に手を置く。「もう大丈夫だから」「あ、ぅ」 彼は驚きと安堵と謝罪が綯い交ぜになった感情で、自分が跨っているものから飛びずさった。「大丈夫、ではないか……最悪に至らなかっただけ良かった」「ひぐっ、うぅ、うぅうぅぅっ――」 ジャンパーを脱ぎ、服がボロボロになってしまった彼女に羽織る。 耐え続けた恐怖を洗い流す様に泣き続ける彼女を、東条はそっと胸で受け止めた。「テメェッ、只じゃ済まさねぇッ!」「殺すッ」「ぶっ殺してやるッ‼」 後ろではノエルが、もう一人の女子を狼狽えながら慰めている。 大泣きしている為、こちらよりも大変そうだ。「なんか言えやクソがッ‼」「おいゴラァッ‼」 そのまま数分が経ち、彼女達の涙も、彼等の罵声も少なくなってきた頃。「……落ち着いた?」「……はい。……あの、ありがとうございます」「いいよ。立てる?」「はい」 手を貸し彼女を立たせ、次にずっと座り込んでいる男子に目を移す。「君は?大丈夫?」「……はい」 大丈夫そうには見えないが、今はそっとしておく

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      § 大学の外壁から少し離れた場所、戦闘員の四人組が報告を受け見回りをしていた。「誰もいねぇじゃんか」「あのおっさんパチこいたんじゃね?」「有り得るね。あの人いちいちウザイってよく聞くもん」「んね。いい噂聞かない」 最近よく話題に挙がる、高年の面々。 先程校舎にて外を見ていたという彼等から、西側の外壁にガラの悪い連中がいたとの報告を受けたのだ。 そういう場合、新には危険だから自分に報告してくれと言われていたが、正直日常茶飯事。 加えて慣れと魔法を使えるという自信から、報告を受けた男子二人は気分転換がてら自分達で見回りに行くと決めたのだ。「ねぇ、いないしもう帰ろ?私こっち側嫌いなのよ」「あたしもー。あいつら下品だからヤダ」「はっ。あんな人にちょっかいかけるしか能がない奴等、恐るるに足りないぜ」「俺の土魔法で埋めてやるよ」 男子二人の過剰な自信に、女子二人は溜息を吐く。休んでいるところを誘われたので何となくついてきたが、そろそろアピールがうざい。「いーよなー魔法」「お前も使えんだろ」「水滴しか出ねぇよ」「ドンマイ」 会話をしながらも彼は辺りを警戒する。(……モンスター一匹出てこねぇな。 チっ、せっかく女連れてきたのに、いいとこ無しじゃねぇかよ) 彼は心の内で愚痴を吐くも、しょうがない、と三人をつれて丘を渡り林に背を向ける。 ……その時、「言いたい放題言ってくれるねぇ」「「「「っ」」」」 トレントの影から五人の男が現れた。全員マスクをしており、素顔が分からない。「……あんた等か、ここいらうろちょろしてるって奴は」「ちょっと、五人もいるじゃないっ。本当に大丈夫なの?(ボソッ)」「任せろ」 不安気に鉄パイプを構える女子に、彼は余裕だと言ってのける。「ヒュ~カッコイイね」「ギャハハハハっ、任せろ、だってよ」「女の前だからってカッコつけてんじゃねぇよグぇっ」 嘲笑するマスクの一人が、突如盛り上がった土に腹を殴られ水に落ちた。「テメェっ!」「喚くな、油断してたそいつが悪い」「う、うす」 仲間がやられ叫ぶマスク連中を、ピエロマスクが黙らせる。(あれがリーダーか) 此方が魔法を使ってもビビらないところを見るに、向こうも魔法を使える可能性が高い。 少々心配だが、自分は今までこの力を鍛えてきた。負けるは

  • Real   61話

      翌日昼頃に目を覚ました東条とノエルは、現在、目についた食品売り場を片っ端から漁りながら大学への道を戻っていた。「ほい、ほい、ほい」「詰めろ詰めろ」 手に取った物を殆ど確認せず、後ろに放り投げる。 そんな彼等の背後には、半径二m程に膨らんだ漆黒の球体が浮かんでいた。 中を見れば、食料から日用品まで、使えそうな物が種類問わず詰め込まれている。 頭部以外の武装を捨て、残った漆黒を全て運搬用に回す本気ぶり。 彼等、主に東条は、今回の報酬に過去一番のやる気を見せていた。 ――最終的に半径七m程のデカさになった球体を頭部に繋げ、見えてきた大学にニヤニヤと笑みを漏らす。 そんな汚い顔を晒す東条に、ノエルが一つ提案をした。「西側、ヤンチャしてる人いっぱいいるっぽいよ」「……手が疼いてしゃあないんだが」 ワキワキと卑猥な動きをする右手を必死に沈める。「メインはいつ食べる派?」「……最後に食べる派」「行こ。汚い人間見たい。紅達は撮れなかったし」 藜組の彼等は、汚いというよりかは最早洗練された闇であった。 下っ端すらも末端まで統率されており、隙が無い。 会った人間にしか分からない、動画映えしない悪意。 ノエルとしては、そんな物見ても面白くないのだ。「臭い物ほど嗅ぎたくなるってやつ?」「ちょっと違う」 背中の上で行く気満々のノエルに溜息を吐く。「……はぁ、いくか」「いえーい」(……ちょっと寄り道します。もう少し待ってて下さい、馬場さん) 東条は胸に手を当て、自分を待っているだろう彼女に謝罪した。

  • Real   60話

             §――「あの、すみません」「はい?」『なんだ?』       『JKだ』『JKだ』――「私達と写真を撮っていただけませんか‼」『⁉』           『ファンだ‼』『羨ましいぃぃい‼』           『カオナシ露骨に喜んでるな』『バレバレだな』――「す、すみません。でもやっぱり、ちょっと怖くて」『そりゃそうだ』           『こんなのそこら辺歩いてたら即通報だもんな』『よく声かけたよ』           『凄い子だ』――「カオナシっち筋肉凄いよね。身体触らせてー」「存分に触るがいい」『ちょっとくっつきすぎだと思うんですよ』                     『不純異性交遊だと思うんですよ』『性の乱れなんですよ』              『羨ましいだけだろ』『ああそうさ!』          『俺だってシックスパック触りたいのにっ』『そっちかよ』――「ノエルちゃんのもち肌の方がヤバいし!」『ぺたぺた』        『ぺたぺた』『ぺたぺた』            『……よし、こいつ等つれてけ』『悪鬼滅殺、悪鬼滅殺』              『人の肌をそんなに触るもんじゃない』『お、解析班。その通りだな』              『それもJKが、こんなにっ』『ん?』              『私のお腹もぷにぷにだぞ!』『なんだ、只の変態か』              『触ってくれ!私を触ってくグフぅっ』――「カオナシさーん。ノエルちゃーん。一緒に食べよー」『朝飯豪華じゃね?』                 『破格だな。大災害の現地でこれは考えられない』『あの三人、めっちゃ頑張ってんだな』                  『三人だけじゃないだろ』『ここの戦闘員は優秀だな』                『イケメンだけど認めるしかないな』『だな』「ノエルちゃんとカオナシさんってどういう関係なの?」『それは気になる』             『親子じゃないんだ』『親子っぽさはないだろ』「まさだって勝手に荷物の中にエロ本詰めるのやめてほしい。捨てるの面倒」「それここで言う⁉あと毎度毎度そっと捨てんのやめろよ!親に見つか

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