冷たい朝の光が射し込むリビングのソファで、凜は一人、抜け殻のように座り込んでいた。 一睡もできず、頭の中は泥のように濁っている。 時計をちらと見ると、もう理玖が起きてくる時間だった。 大雅からのメッセージを見直す。もう何度目か分からない。 結局、一晩大雅のことを考えても、何一つ答えは見い出せなかった。 長い溜息を吐く。 結婚指輪は箱に仕舞ったままだが、指先には白金の指輪が朝陽を鈍く反射していた。 寝室の方から静かな足音が近付き、凜はびくりと肩を震わせた。 振り返ると、すでにシャツとスラックスに着替えた理玖が立っていた。しかし、凜の顔を見るなり、その端正な眉が鋭く顰められる。「……どうした、その顔色は」 低く、射抜くような声。 理玖が歩み寄り、凜の顔を覗き込むようにして見下ろした。「え……あ、ううん。なんでもないです」 凜は慌てて視線を逸らし、曖昧に言葉を濁した。「嘘を吐くな。真っ青じゃないか。この前のこともある。病院へ連れて行く」 理玖が強引に凜の腕を摑もうとする。「だ、大丈夫! 本当に、少し寝不足なだけで……。それに、今日も定食屋のバイトもあるし……」 凜は弾かれたように身を引き、小さく首を振った。「なんだと? そんな状態でバイトに行って、何ができる」 理玖の目が細められ、声の温度が更に数度下がった。「そんな顔した店員がいる店で、飯を食いたいと思う客がいるわけないだろ」 凜の胸中がずきりと痛む。――確かにその通りかもしれんけど……。でも……。「あの、お願いがあるんですけど……」 喉の奥から絞り出した声は、あまりにか細かった
Last Updated : 2026-08-10 Read more