All Chapters of 大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。: Chapter 51 - Chapter 60

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第51話  休日のお誘い

土曜の朝。カーテンの隙間から射し込む光に目を細めながら、朱里はスマホを握りしめていた。 昨日の夜から何度も打っては消してきたメッセージ。頭の中でシミュレーションしても、どうしても「勇気」が足りない。(だって、休日に誘うなんて……迷惑かな? 勉強の邪魔になるかな?) それでも美鈴の「仕掛けなきゃ変わらない」という言葉が、背中を押してくる。 画面に映る「平田嵩」の名前を見つめ、朱里は深呼吸をした。 ──送信。 指先が、ついに「送信ボタン」を押していた。 文章は短い。『平田さん、もし日曜空いてたら、ちょっと気分転換に出かけませんか?』 送った瞬間、心臓がばくばくと暴れ出す。「や、やっちゃったぁ……!」 布団に顔を埋めて足をばたつかせる朱里。恥ずかしさで顔が真っ赤になる。 返信が来るまでの数分が、永遠にも感じられた。 やっとスマホが震え、朱里は勢いよく飛び起きる。『いいですね。ちょうど息抜きしたかったところです。どこに行きましょうか?』 その言葉に、朱里の胸がふわりと熱くなる。(……よかった。断られなかった……!) 指が震えながらも、朱里は急いで返事を打った。『じゃあ、駅前の新しい雑貨屋さんとか、どうですか?』 すぐに「了解です!」と返ってくる。 朱里はベッドにごろんと転がり、枕を抱きしめて小さく叫んだ。「もー……大嫌いっ!」 それはいつもの口癖。だけど今日は、心の中でしっかり続きがあった。(……本当は、大好きなのに!) こうして、朱里にとっ
last updateLast Updated : 2026-07-28
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第52話  デート当日の朝

日曜の朝。 朱里は目覚ましのアラームより早く目を覚ました。普段なら二度寝する時間なのに、今日は妙に胸が高鳴って眠れなかったのだ。「……ど、どうしよう。服、決めてなかった!」 クローゼットを開け、スカートやワンピース、パンツスタイルを次々と引っ張り出しては、鏡の前で合わせる。 どれも「普通」に見えてしまって、納得がいかない。(これじゃ仕事帰りの延長みたいだし……かといって気合い入れすぎも不自然だし……!) 試行錯誤の末、落ち着いた色のワンピースにカーディガンを羽織り、シンプルだけど柔らかい雰囲気を選んだ。 しかし次はメイクで悩む。「チーク濃すぎ? いや、ナチュラルがいい? でも地味すぎる?」 鏡の前で眉をしかめ、リップを塗っては拭き取り、また塗り直す。まるで就職面接前の学生のような真剣さだった。 気づけば時計の針は、もう待ち合わせ30分前。「えっ!? やばっ、やばいやばいやばい!」 慌ててバッグをつかみ、玄関へ飛び出す。 エレベーターを待つ間、朱里は心臓を押さえて深呼吸した。(落ち着け、私……。ただの買い物。ただの気分転換。そ、そう、デートなんかじゃない……!) 自分に言い聞かせるものの、頬は火照りっぱなし。 スマホの画面に表示された「平田嵩」という名前を見るたびに、胸が跳ねた。 ──今日、どんな顔して会えばいいんだろう。 そんな不安と期待を抱えたまま、朱里は駅へと急いだ。
last updateLast Updated : 2026-07-29
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第53話  待ち合わせと、意外な一言

駅前の噴水広場。 休日の午前ということもあって、人通りは多く、家族連れやカップルが行き交っていた。 朱里は早めに着いたつもりだったが、すでに平田嵩はベンチに座っていた。 「……早っ」 思わず口の中でつぶやく。 彼はいつも通りの落ち着いた雰囲気で、白シャツにジャケットを軽く羽織り、膝の上でスマホをいじっている。 その姿はどこか大人びていて、朱里の胸の鼓動が早まった。 「おはようございます」 「お、来たね。……あれ、なんかいつもと違う?」 「え、ちょ、な、なにがですか?」 動揺して声が裏返る。 「いや、髪かな。少し巻いてる?」 「そ、そんなのいつも通りですよ!」 早口で否定したが、鏡の前で三十分格闘したことを思い出し、顔が熱くなる。 嵩はそんな朱里の反応を面白そうに見つめ、柔らかく笑った。 「……ふふ、なんかいいね。今日、楽しみにしてた?」 「た、楽しみにしてたとかじゃなくて!」 「“じゃなくて”?」 「気分転換です! ここんとこ忙しかったですし!」 完全に動揺している朱里を見て、嵩は軽く肩をすくめる。 「はいはい。じゃあ、今日は気分転換のために、俺が付き合うってことで」 そう言って歩き出した彼の横顔が、いつもより少し優しく見えて、朱里は思わず見惚れてしまう。 そして自分でも気づかぬうちに、小さくつ
last updateLast Updated : 2026-07-29
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第54話  ショッピングモールの誘惑

駅から徒歩五分。休日のショッピングモールは、思っていた以上に人で溢れていた。 朱里は人混みの中、隣を歩く平田嵩の横顔をちらちらと見ながら、落ち着かない様子で歩いていた。「すごい人ですね……」「うん。みんな同じこと考えてるんだろうね。外暑いし、屋内が一番」 嵩は笑いながらエスカレーターに乗る。 朱里も慌ててその隣に並ぶが、距離が近すぎて心臓が痛いほどドキドキした。 斜め上から見える彼の顎のライン、シャツの襟元からのぞく首筋。 ──落ち着け、中谷朱里。これはただの休日。仕事仲間との外出。そう、気分転換。「中谷さん、雑貨とか好きでしたよね?」「えっ? あ、まあ……」「ちょっと寄ってみません?」 そう言って嵩は雑貨屋に足を踏み入れた。 店内は、淡い香りとBGMで満たされていた。 ハーバリウム、香水瓶、マグカップ……女子が喜びそうなものばかり並ぶ棚の前で、嵩が立ち止まる。「これ、中谷さんっぽいかも」 手に取ったのは、青と白のマーブル模様のマグカップ。「えっ……なんで私っぽいんですか?」「なんとなく。冷静そうに見えて、ちゃんと温かい感じがするから」「なっ……!」 朱里の頬が一気に赤くなった。心臓の鼓動が耳の奥でうるさいほど響く。 嵩は気づいているのかいないのか、いつもの調子で棚に視線を戻している。 ──もう、やめて。そんなこと言われたら、勘違いするじゃない。「こ、これ買うんですか?」「うん。会社用のマグ、割っちゃって。これくらいの落ち着いた色ならいいでしょ」「……そうですね」
last updateLast Updated : 2026-07-30
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第55話  すれ違いモールデート

「今日は、わざわざ付き合ってもらってすみません」 そう言いながら朱里は、紙袋を両手に抱えて小さく笑った。 「いや、こっちも久しぶりにゆっくりできてよかったよ」 嵩は柔らかな声で答え、自然と朱里の歩調に合わせて歩いていた。 モールの天井から降り注ぐ光が、二人の影を並べる。 それだけで朱里の胸は、少し高鳴った。 「……でも意外ですね。平田先輩、こういう場所来るタイプじゃないかと」 「たまには来るよ。資格の参考書とかも買えるし」 「また勉強ですか?ほんと、真面目すぎます」 軽口を叩いたあと、朱里はすぐに後悔した。 (しまった、“大嫌い”って言う代わりに茶化すの、ほんと悪い癖……) 嵩は苦笑しながら本屋の方向を指した。 「ちょっと見てっていい?」 「もちろん。私も雑誌でも見ます」 二人は別れて店内を回る。 朱里は雑誌コーナーに立ちながら、 (こうして一緒にいる時間、悪くないな……) と心の中でつぶやいた。 ──だがその時。 ふと視線の先に見慣れた人物が入ってきた。 (……え?) 望月瑠奈。 休日らしく淡いブルーのワンピースに身を包み、 笑顔で手を振りながら、誰かと一緒に入ってくる。 しかも、その隣にいたのは── 朱里の心臓が止まりそうに
last updateLast Updated : 2026-07-30
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第56話  恋の戦略会議

月曜の昼休み。オフィスのカフェスペースで、朱里はカフェラテを前にため息をついていた。その様子を見つけた田中美鈴が、トレーを片手にやってくる。「また、わかりやすく落ち込んでるね。どうしたの?」「……別に、なんでもない」「“別に”って言葉、あんたが使うとだいたい“恋絡み”なんだよね」図星を突かれて、朱里は小さく肩をすくめた。週末のショッピングモールでの出来事──嵩と歩いていた時、偶然カフェで瑠奈と彼が話している姿を見かけた。一瞬で胸が締めつけられた。せっかく勇気を出して誘ったデートなのに、笑顔でいられなくなった自分が情けない。「……美鈴、私って、やっぱり素直じゃないよね」「いまさら?」美鈴はあっけらかんと言い、ストローをくわえながらニヤリと笑った。「で、今回はどう素直になれなかったの?」「別に、なれなかったわけじゃ……」「ほら出た、“別に”」朱里は観念したように、モールでの出来事を話した。嵩の笑顔、瑠奈の楽しそうな表情、そして自分の胸のざわめき。黙って聞いていた美鈴は、話が終わると真顔で言った。「それさ、完全に“恋の敗北フラグ”だよ」「えっ」「何も行動しないで拗ねてるだけじゃ、勝ち目ないって意味」「……そんな簡単に言われても」「簡単でいいの。やるのは“戦略”なんだから」美鈴はノートを取り出し、いたずらっぽくページを開いた。そこには大きく書かれたタイトル──『恋
last updateLast Updated : 2026-07-31
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第57話  心まで溶けるラテ

日曜日の午後。ショッピングモールの中は、休日らしく家族連れやカップルで賑わっていた。朱里と嵩もその人波の中にいた。手には映画の半券、さっき観た恋愛映画の余韻がまだ少し残っている。「……ねえ、あの結末、どう思った?」カフェに入ると、朱里は注文を済ませ、トレイを持って席へ向かいながら嵩に尋ねた。「うーん、正直、最後にああなるとは思わなかったな。俺ならあそこで黙って帰らない」嵩はコーヒーを受け取りながら笑う。「中谷さんなら、どうする?」「え? 私? ……たぶん、追いかけるかな。気持ち、伝えないと後悔するから」言いながら、自分で言った言葉が胸の奥に突き刺さる。──まるで今の自分みたいじゃない。二人は窓際の席に腰を下ろした。外では子どもたちが噴水のまわりを走り回り、午後の日差しが店内に柔らかく差し込んでいる。「中谷さん、ほら」嵩がカップを差し出す。カフェラテの泡の上には、ハートのラテアート。「店員さんが描いてくれたみたい」「かわいい……」思わず笑みがこぼれる。ふと隣を見ると、嵩がカップを片手にこちらを見つめていた。視線がぶつかり、朱里の心臓が一瞬止まる。「なに?」「いや……その笑顔、久しぶりに見たなって」嵩は少し照れたように視線を逸らした。朱里はストローをくるくると回しながら、どうしても聞きたいことが頭を離れなかった。「ねえ、平田先輩……最近、望月さんとはどうなの?」その瞬間、嵩の表情がわずかに固まる。「どう、って?」「この前、一緒にいたの見たから。仲良さそうだったし」
last updateLast Updated : 2026-07-31
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第58話  すれ違う手のぬくもり

ショッピングモールを出ると、夕暮れの光が駐車場のアスファルトを淡く染めていた。映画を観て、カフェで過ごして、朱里の心は久しぶりに穏やかだった。──こんな時間がずっと続けばいいのに。「夕飯、どうする?」嵩が歩きながら聞いた。「うーん、もうお腹いっぱいかも。ラテとケーキで満たされた感じ」「甘いものしか食べてないじゃん」「いいの、今日はそういう日!」朱里が笑うと、嵩もつられて口元を緩めた。二人の距離は近いのに、どこか微妙な空気が漂っている。まるで、言葉にできない思いが二人の間に透明な膜を作っているようだった。「なあ、中谷さん」嵩が立ち止まり、ポケットに手を突っ込んだまま言った。「今日、誘ってよかった」「……うん、私も」朱里はそう返したけれど、心の奥では別の言葉が浮かんでいた。──“私のこと、どう思ってるの?”でも、その一言が喉の奥で凍りついて、どうしても出てこなかった。モールの出口に差しかかると、人混みの向こうに見覚えのある姿が見えた。──瑠奈。彼女はスマートフォンを耳に当て、楽しそうに笑っていた。その隣には、見慣れた背中。……会社の同僚だ。何度か飲み会で見た顔。朱里の足が止まる。「中谷さん?」嵩が気づいて振り返る。「どうした?」「……なんでもない。ちょっと、靴のかかと踏んじゃって」ごまかすように笑ってみせた。でも、胸の中はざわついていた。瑠奈とその同僚の姿が、どうしても気になってしまう。
last updateLast Updated : 2026-08-01
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第59話  心がほどける夜に

モールからの帰り道、朱里はまっすぐ帰る気になれず、駅前のロータリーを歩き回っていた。 手にはまだ、嵩とおそろいで買ったマグカップの袋がぶら下がっている。 ──“これ、職場でも使えるね” そう言って笑った嵩の顔が、頭から離れなかった。 けれど、胸の奥にはずっと小さな棘が刺さっている。 さっき見た瑠奈の笑顔。 あの、何でもないような笑顔が──どうしてこんなに刺さるんだろう。 ポケットの中でスマホが震えた。 画面を見ると、美鈴からのメッセージだった。 > 「デートどうだった?」 朱里は少し迷ってから、短く返した。 > 「楽しかったよ。たぶん」 数秒もしないうちに、美鈴から電話がかかってきた。 「たぶんって何? なんかあったでしょ?」 「……ううん。何もない。ただ、私が勝手に考えすぎてるだけ」 「朱里。あんたさ、また“嫌い”って言って逃げようとしてるでしょ」 図星だった。 朱里は思わず、街灯の下で立ち止まった。 「だって……怖いんだもん。もし、私の気持ちが重かったらどうしようって」 「重いとか軽いとか、そんなの相手が決めることじゃないよ」 電話の向こうで、美鈴の声が少し柔らかくなった。 「ちゃんと気持ち、伝えなよ。言わないと、伝わらないよ?」 朱
last updateLast Updated : 2026-08-01
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第60話  答えを探す朝

翌朝、朱里はいつもより早く目が覚めた。眠れなかったわけじゃない。ただ、嵩からの返信が──まだ来ていないことが、胸の奥でずっと引っかかっていた。枕元のスマホを手に取る。通知の光は消えたまま。昨日の「また会いたいな」というメッセージが、ぽつんと画面の中に残っている。「……そりゃ、引かれるよね」小さくつぶやいて、髪をまとめる。鏡の中の自分は、どこか浮かない顔をしていた。オフィスに着くと、すでに嵩がデスクにいた。白いシャツの袖をまくって、真剣に資料を見つめる横顔。いつもと同じ朝なのに、朱里には違って見えた。「お、おはようございます」「おはよう、中谷さん」それだけ。ほんの数秒の会話で、彼はまたパソコン画面に目を戻した。まるで、昨夜のことなんてなかったかのように。朱里は心の中でため息をつき、自分の席に戻った。資料を開いても、文字が頭に入ってこない。どうして返事をくれなかったのか、考えるほど胸がざわつく。(もしかして……迷惑だった?)(それとも、瑠奈のこと……?)そんな考えが渦を巻く。すると、隣の席から声がした。「中谷先輩、昨日の資料チェックありがとうございました!」笑顔で立っているのは──望月瑠奈。「あ、ううん。こちらこそ。頑張ってたね」「はいっ! 平田先輩にもアドバイスいただけて、すごく勉強になりました」その名前が出た瞬間、朱里の心がピクリと反応した。
last updateLast Updated : 2026-08-02
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