その日、嵩は定時より少し早く会社を出た。早く着きたいわけじゃない。遅れたくなかった。(待たせる側には、なりたくない)駅前の喫茶店。昨日と同じ場所、同じ窓際。店員に案内され、席に着く。コーヒーを頼み、スマホを伏せる。朱里に連絡はしなかった。(急かすことになる)待つ、と決めたのは自分だ。時計を見る。まだ、十分以上ある。(……落ち着け)背もたれに体を預け、深く息を吸う。転勤。答え。選択。朱里の顔が浮かぶたび、その全部が一つに結びついて、胸が詰まる。(正直に言えばいい) (でも、正直って何だ)行く。行かない。それだけの話じゃない。(俺は、どうしたい?)しばらく考えて、苦笑する。(……まだ、決めきれてない)それでも、今日話すことは決まっている。隠さない。濁さない。逃げない。美鈴の言葉が、ふいに浮かぶ。“待つなら、ち
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-10-02 อ่านเพิ่มเติม