「かなりお怒り、というのは……」 美月は恐る恐る尋ねた。 藤崎は落ち着いた口調で答える。「『家族の問題に弁護士が口を出すな』というお話でした」 美月は思わず言葉を失う。 お義母さんらしい。 そう思ってしまった自分がいた。「ですが、ご安心ください」 藤崎は穏やかに続ける。「朝倉さんから正式にご依頼をいただいておりますので、今後も窓口は私どもが務めます」「朝倉さんご本人へ直接連絡するよう、お勧めすることもありません」 その言葉に、美月はほっと胸をなで下ろした。「ありがとうございます」「それと、もう一点ございます」 藤崎が続ける。「離婚協議書の案がまとまりました」 美月は思わず姿勢を正した。「これから最終確認を行い、問題がなければ、ご主人側へ送付いたします」 ついに。 離婚手続きが、本当に動き始める。「朝倉さんは、内容をご確認いただくだけで結構です」「相手方とのやり取りは、すべて私どもで対応いたします」「……はい」 美月は静かに頷いた。 自分一人では、とてもここまで来られなかった。「本当にありがとうございます」「お気になさらないでください」 藤崎は穏やかな口調のまま答える。「朝倉さんが安心して生活できるよう、お力になります」 その言葉に、美月の目には再び涙が浮かんだ。「よろしくお願いいたします」「それでは、失礼いたします」 通話が終わる。 美月はスマートフォンを胸に抱き、小さく息を吐いた。「大丈夫でしたか」 蒼真が静かに尋ねる。「はい」 美月は頷く。「離婚協議書が、もうすぐ拓也さんのところへ届くそうです」
Última actualización : 2026-08-01 Leer más