翌朝。 美月は朝食を終え、ソファで温かいお茶を飲んでいた。 ふと、テーブルの上のスマートフォンへ目を向ける。 画面には通知が表示されていた。『留守番電話 1件』「あ……」 昨日は外出していたこともあり、気付かなかったのだ。 美月は慌てて留守番電話を再生する。『美月。父さんだ』 父の声が流れた。『拓也さんのお母さんから電話があった』 美月の肩が小さく震える。『心配している。何があったのか、父さんたちにはちゃんと話してほしい』 穏やかな声だった。『落ち着いたらでいい。必ず連絡をくれ』 メッセージが終わる。「お父さん……」 美月はスマートフォンを握り締めた。 離婚することだけは伝えた。 でも、浮気のことも、お腹の子のことも、お義母さんとのことも、何一つ話していない。 心配を掛けたくなかった。 自分で何とかしようと思っていたから。 けれど、お義母さんは両親に電話を掛けた。 きっと、自分に都合のいい話だけをしたのだろう。「ちゃんと話さないと……」 美月は意を決して父へ電話を掛けた。 数回の呼び出し音のあと、すぐに電話が繋がる。「美月!」 父の声には安堵が滲んでいた。「お父さん……」「無事なんだな?」「うん……」 その一言だけで、誠一は大きく息を吐いた。「よかった。本当によかった」 電話の向こうから、美紀の声も聞こえてくる。「美月なの?」「ああ、美月だ」 誠一は静かな声で続けた。「昨日、お母さんと一緒にマンションへ行ってきた」
Última actualización : 2026-07-29 Leer más