美月からの連絡はない。 留守番電話も聞いたのかどうか分からない。 拓也はスマートフォンを握り締めたまま、大きく息を吐いた。「どうだった?」 和江が尋ねる。 拓也は首を横に振った。「何も」「折り返しもない」 和江は眉をひそめる。「そこまで頑なになるなんて、おかしいわね」「だよな」 拓也は力なく笑う。「前の美月なら、こんなことしなかった」 喧嘩をしても、最後は美月の方から歩み寄ってきた。 少し時間を置けば、「話そう」と言ってくれた。 それなのに今回は違う。 電話にも出ない。 留守番電話にも反応しない。 弁護士を通してほしいと言われる。「やっぱり……」 拓也はぽつりと呟いた。「九条のせいなのかな」 和江はすぐには答えなかった。 少し考えるようにしてから口を開く。「少なくとも、美月さん一人で急にここまで変わるとは思えないわ」 その言葉に、拓也は俯く。 美月は優しい。 人を疑うことも苦手だ。 そんな美月が、自分をここまで拒絶するなんて考えられなかった。「誰かが支えているから……」 拓也は無意識に呟く。 それが九条なのだとしたら。 もし、本当にそうだとしたら。「……俺から美月を奪うつもりなのか」 その一言に、和江は何も答えなかった。 否定もしない。 肯定もしない。 ただ黙っている。 その沈黙が、拓也の思い込みをさらに強くしていく。「会わないと」 拓也はゆっくり立ち上がった。「このままじゃ終われない」 その目には、焦りとも執着とも
Última actualización : 2026-08-05 Leer más