健診当日。 美月は朝から少し緊張していた。 鏡の前で身支度を整え、バッグの中をもう一度確認する。「母子手帳……」 バッグから取り出し、開いてみる。 診察券も予約票も入っている。 昨日買ったばかりの母子手帳ケースへしまい直すと、自然と笑みがこぼれた。「忘れ物はありませんか」 リビングから蒼真が声を掛ける。「はい、大丈夫です」 美月はバッグを肩へ掛け、玄関へ向かった。「それじゃあ、お願いします」「行きましょう」 二人はサービスアパートメントをあとにした。 車内では穏やかな音楽が流れている。 美月は窓の外を眺めながら、小さく息を吐いた。「緊張していますか」 蒼真が前を向いたまま尋ねる。「少しだけ」 美月は照れ笑いを浮かべる。「ちゃんと育ってくれているかなって」「きっと大丈夫ですよ」 短い言葉だった。 それだけで、美月の肩から少し力が抜ける。「ありがとうございます」 病院へ到着すると、蒼真は車を駐車場へ入れた。「終わりましたらご連絡ください」「ロビーで待っています」「はい」 美月はゆっくりと車を降りる。 受付を済ませると、待合室には何人もの妊婦が座っていた。 皆、それぞれ付き添いの家族と話したり、本を読んだりしながら順番を待っている。 美月も静かに椅子へ腰掛けた。 診察室から名前を呼ばれ、ゆっくり立ち上がる。「朝倉さん、どうぞ」「はい」 診察室へ入り、医師の前へ座る。「体調はいかがですか」「つわりは少し落ち着いてきました」「それは良かったですね」 医師はカルテを確認しながら微笑む。「では、赤ちゃ
Última actualización : 2026-08-11 Leer más