美月は思わず足を止めた。「店長……! 何かあったんですか?」『さっき、また来たのよ』 電話の向こうから店長がため息をつく。『今度は昨日みたいに怒鳴ったりはしなかったんだけどね』「え……?」『「美月はいつ戻ってきますか」って、そればっかり聞いてきて』 美月は思わずスマートフォンを握りしめる。『もちろん知らないって答えたわよ。そしたら、「連絡があったら必ず教えてください」って言って帰ったんだけど……』 店長の声が少し低くなる。『あの人、諦めてないわ』 美月の背筋に冷たいものが走った。 やっぱり。 昨日ホテルまで来たのは、一時の感情ではなかったのだ。『それでね』 店長は少し間を置いて続ける。『しばらくお店のことは気にしなくていいから』「でも……」『でもじゃないの』 ぴしゃりと言われ、美月は言葉を飲み込む。『今は自分と赤ちゃんを守ることだけ考えなさい』 その言葉に、美月の目頭が熱くなる。「……すみません」『だから、謝らない』 店長は少し笑った。『あんたが元気になって戻ってきてくれたら、それでいいんだから』 美月は小さく頷く。「ありがとうございます」『何かあったら、いつでも連絡しなさい。遠慮したら怒るわよ』「はい」 電話が切れる。 しばらく画面を見つめていると、隣から蒼真が静かに声を掛けた。「店長さんですか」「はい……」 美月は電話の内容を簡単に伝えた。 拓也がまた店へ来たこと。 居場所を聞いて帰ったこと。 蒼真は最後まで
Last Updated : 2026-07-22 Read more