「まさか……」 その一言が、静かな部屋に落ちた。 美月は積み上げられた段ボールを見つめる。 一箱ずつ確認していけば見つかるかもしれない。 そう思おうとしても、不安は消えなかった。「結婚した時、母の形見だけを一つの箱へまとめたんです」 蒼真は静かに耳を傾ける。「写真立てや手紙、それから母が使っていた小物も……全部その箱へ入れていました」 引っ越しの時、自分で詰めた。 だから間違えるはずがない。「他の箱に分けてしまった可能性はありませんか」 美月はゆっくりと首を横へ振った。「ありません」 あれだけは特別だった。 失くしたくなかったから、一か所へまとめて保管していた。 蒼真は少し考え込むように視線を落とした。「でしたら、まだ送られていない可能性もありますね」「送られて……いない」「昨日の今日です。一度にすべて発送できなかった可能性もあります」 その言葉に、美月は少しだけ表情を緩めた。 そうかもしれない。 十二箱という荷物だ。 まだ家に残っている物があっても不思議ではない。「焦って結論を出さない方がよさそうです」「……はい」 美月は小さくうなずいた。 そう自分に言い聞かせても、胸の奥のざわめきは消えない。 もし、送られていないのではなく――。 拓也が、わざと残したのだとしたら。 その考えが頭をよぎり、美月はぎゅっと唇を結んだ。 その時だった。 スマートフォンが震える。 画面には、拓也の名前。 美月はためらいながらメッセージを開く。『荷物は気に入ったか?』 その一文に続けて、もう一通届く。『探し
Última actualización : 2026-07-17 Leer más