月曜日の朝から、帝人さんの予定表はひどいことになっていた。 九時から役員会議。 十時半から海外事業部との打ち合わせ。 午後には来客が二件。 その合間に承認書類と決裁案件が積み上がり、さらに朝一番から「至急」の文字がついた連絡が三件届いている。 私はタブレットを見ながら、一つずつ内容を確認した。「小春」 執務室から呼ばれて顔を上げる。「はい」「十時の会議を追加しろ」「入れません」 即答すると、帝人さんがこちらを見る。「なぜだ」「今日の十時からは役員会議が続いています」「途中で抜ければいい」「抜けません」「十五分で終わる」「帝人さんが十五分と言って十五分で終わった会議、最近ありました?」 一瞬、黙った。「内容による」「つまり保証できないんですよね」 私は届いた資料を持って執務室へ入った。「追加したいのは、営業本部から来ている案件ですよね?」「ああ。取引条件の変更だ。俺が見た方が早い」「資料は確認しました」 机の前へ立ち、必要なページだけを開く。「今の段階では帝人さんが決めることはありません」「ある。変更案を見れば――」「その変更案がまだ一案しかありません」 帝人さんの言葉を止めた。「営業本部は、取引先から提示された条件をそのまま持ってきています。代替案も、利益への影響も、断った場合の想定もありません」「だから俺が聞く」「今聞いたら、帝人さんが代わりに考えることになります」 帝人さんが眉を寄せる。「俺が考えた方が早い」「早いです。でも、それを毎回やるから帝人さんに仕事が集まるんです」 私は資料を机へ置いた。「営業本部には、変更を受ける場合、条件を修正する場合、断る場合の三案を出しても
Last Updated : 2026-09-11 Read more