月曜日の午後。「小春。金曜の夜を空けろ」 執務室からいきなり言われて、私は予定表を開いた。「何か入りました?」「入った」「どちらの会社ですか?」「会社じゃない」「会食?」「違う」「財界関係ですか?」「違う」「では何です?」 帝人さんが私を見る。「食事に行く」「誰と?」「小春と」 指が止まった。「……私?」「ああ」「仕事ですか?」「違う」「じゃあ、どうして予定表に――」「まだ入れていない」 私は画面を確認した。 本当に空白だった。「金曜の夜は空いているだろう」「今のところは」「なら俺と食事に行く」「決定なんですか?」「誘っている」「今の言い方のどこがですか?」「小春が嫌なら断れる」「そこだけ聞くと誘ってるんですけどね」 帝人さんは少し考える。「小春。金曜の夜、俺と食事に行かないか」「急に普通になりましたね」「これならいいのか」「最初からそう言ってください」「時間がかかる」「数秒ですよ」 私は予定表を閉じた。「でも、どうしたんですか?」「何がだ」「この前もホテルで一緒に食事しましたし」「あれは仕事だった」「半分くらい途中から仕事じゃなかった気もしますけど」「今回は最初から仕事じゃない」 きっぱり言われる。「何かお祝いとか?」「ない」「相談?」「ない」「では、ただ食事に?」「ああ」 帝人さんは当然の顔をしている。
Last Updated : 2026-09-15 Read more