再協議から二日後。 各社で持ち帰った条件の確認が進み、共同事業はようやく次の段階へ移ろうとしていた。皇グループとしても、修正版の契約条件を法務と事業部門で確認している。 少なくとも、最初のように責任だけが大きく、権限が小さい状態ではなくなった。 だからといって、まだ参加を正式に決めたわけではない。「帝人さん、午後の法務確認なんですけど、先に共有された修正版だと拒否権の範囲が少し狭くなってます」「どこだ」「運営方針の変更全部じゃなくて、一定額以上の追加投資と事業目的の変更に限定されました」 帝人さんは資料へ目を通しながら、「その方がいい。通常運営まで皇の承認待ちにする必要はない」と答えた。「じゃあ、この条件なら参加ですか?」「まだ決めない。法務の確認も終わっていないのに決めるわけがないだろう」「ですよね。聞くだけ聞いてみました」 少し呆れた顔をされたけれど、私も本気で答えを期待していたわけではない。 だからこそ、その日の午後に届いた資料を見た時には、すぐに違和感を覚えた。 共同事業に参加している一社が、取引先向けに用意した事業説明資料だった。外部公開前の確認用として、皇側にも回ってきたらしい。 計画概要、参加予定企業、各社の役割と順番に読み進めていく。そこまでは特に問題なかった。 けれど、後半に入ったところで手が止まった。『皇グループ・皇社長の支持を得た本事業は――』「……支持?」 もう一度読み直した。 見間違いではない。 さらに先には、『皇社長も高く評価する事業計画』という表現まである。 帝人さんは、条件が改善されたことは認めた。検討余地があるとも言った。 でも、支持するとも、高く評価するとも言っていない。 似ているようで、まったく意味が違う。 私は資料全体をもう一度確認し、同じ意味の表現が使われている箇所に印をつけてから、そのまま帝人さんのところへ向かった。「帝人
Last Updated : 2026-10-20 Read more