Tous les chapitres de : Chapitre 21 - Chapitre 30

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21. 関わりたくない人

「うわぁ、あのお店可愛いー!」並ぶ店の中から一軒の可愛らしい店に興味を抱いたふりをして、その周辺の情報を目に焼き付ける。店と店の間には、薄暗い路地があるが、こちらから見ても特に荒れている様子はなく、清潔そうだ。あの道は暗いだけで治安は悪くない、つまり逃走にうってつけの場所だろう。「あのお店に寄りますか?」私の様子に、右隣を歩いていたメアリーが、にっこりと微笑む。「寄るならお申し付けください。まずは俺が安全確認をして参ります」そして左隣を歩いていたジャンが、お決まりのセリフを真顔で口にした。今日は以前ユリウスに外出を願った日だ。当然、ここには私の計画通りユリウスはいない。代わりに、メアリー、ジャン、そして4人の騎士たちが私を囲っていた。何と仰々しい集団なのだろう。しかし、作戦の為ならこれも仕方あるまい。私はあくまで自然に街を歩きながら、脱出計画に必要なものを一つ一つ得ていく予定なのだ。その必要なものとは、フランドル公爵邸周辺の詳しい情報だった。仮に私がフランドル公爵邸から脱出できた場合、まずは最短で隣町ユランに移動する必要がある。脱出に気がついた公爵邸の者たちから逃れる為に。「…いや、あのお店はいいかな」メアリーとジャンの申し出を断り、また街へと視線を向ける。次に目に入った花屋の裏には、どうやら奥行きがあり、知らない道がありそうで…「ステラ様、あそこの花屋が気になりますか?寄りますか?」「寄るならお申し付けください。まずは俺が安全確認をして参ります」「…」先ほどからこれなのだ。私がどこかを見るたびに、メアリーが私に問いかけ、ジャンが安全確認をしようとする。まあ、2人とも仕事だから仕方ないのだけれど。だが、私は何度も言うが素性の知れないただの子どもだ。こんな貴族…それも重鎮のような扱いはやめてもらいたい。「…はぁ」「お疲れですか!ジャン!」「ああ」この状況に思わずため息を吐くと、メアリーは血相を変え、大慌てでジャンの名を呼んだ。すると、ジャンは淡々とメアリーに返事をし、私の目の前で跪いた。「失礼します。ステラ様」「え…って、わぁ!?」そして気がつけば、私はジャンに何故かお姫様抱っこをされていた。「ななななんで!?」恥ずかしくてジャンの腕の中でジタバタと暴れてみるが、びくともしない。屈強すぎる!
last updateDernière mise à jour : 2026-08-18
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22.強制お茶会

「…こ、こんにちは」この帝国の皇太子様、ロイを無視することなど当然できず、私はその場でなんとか笑顔で頭を下げた。「こんにちは。こんなところで会うなんて奇遇だね」するとロイは、何故かそれはそれは嬉しそうに微笑み、私のもとへと歩み寄ってきた。こ、こっちに来てしまった…。これでは挨拶だけして逃げることも叶わないではないか。「ここには何をしに来たのかな?買い物かい?」「…はい。そんなところです」「そう。文房具屋から出てきたね。何を買ったのかな?」「…えっと」最初からわかっていたんですか。まさかの展開に、笑みを浮かべたまま、心の中で頭を抱える。この皇太子、本当に視野が広すぎる。もしロイが皇太子ではなかったら、彼の天職は暗殺者やスパイだっただろう。そもそも何で私の買った物に興味を示すのか。「自分用にいくつか文房具と…、あとユリウスに万年筆を買いました」「ユリウスに?」「はい」私の答えに、ロイのまとう雰囲気が一瞬だけピリッとしたものになる。…が、それはほんの一瞬で、すぐにいつもの柔らかいものへと戻った。あの冷たさは見間違いだったのかもしれない。「ステラ、今時間はあるかな?よかったらそこのカフェでお茶でもどう?」「…」お断りしたい。少しでも関わりを持ちたくない。「…ごめんなさい。私、これから授業があるんです。だからもう帰らないと」私はそう言うとわざとらしく眉を下げた。とにかく残念そうに見せるために。もちろん授業なんてない。これも穏便にお誘いをお断りする為の嘘だ。「へぇ」そんな私に、ロイが意味深に瞳を細める。そして、その視線は私ではなく、メアリーに向けられた。 何故、私ではなく、メアリーを見るのだろうか?しかし、この疑問はすぐに解消された。「…ほ、本日の授業は先ほどなくなりました!ステラ様にご予定はございません!」「…っ!!!」ビシッと背筋を伸ばしてメアリーがとんでもないことを口走ってしまう。メアリーの言動に、私は大きく肩を揺らした。ロイはメアリーに圧をかけて自白させたのだ。幸いメアリーは優秀なので、私が嘘をついているとは言わず、〝予定がなくなった〟と言ってくれたが。私では取り付く島もないからと、メアリーにターゲットを変えるとは。この腹黒皇太子は、私が嘘をついていると最初からわかっていたのだ。何て
last updateDernière mise à jour : 2026-08-21
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23.探し人

「それじゃあ、ステラ、また。気をつけて帰るんだよ」「はい。ロイ様もお仕事頑張ってください」夕暮れの空を背に、ロイが美しく微笑み、軽く手を振る。私はそんなロイに、同じくなんとか笑みを浮かべ、手を振り返した。もう疲労困憊だ。疲れた。事あるごとに宮殿へ来るように誘われ、皇太子様の誘いを無碍にできる訳もなく、それを毎度毎度ご丁寧に断り続けた、この約2時間。常に頭はフル回転で、精神的疲労が溜まりに溜まってしまった。カフェのお茶や好きなだけ食べてもよかったスイーツは美味しかったけれど。「…はぁ」ロイと別れた後、私は小さく息を吐くと、ぼんやりと街を見つめた。少しずつ灯りがともり始めた建物や街灯。行き交う人々の様子も変わり、昼間とは違う賑わいが街を包み始めている。ーーー帰ろう。公爵邸周辺の街の構造や治安は何となくわかった。あとは一度帰ってこの情報を地図に落とせばいい。いろいろと考えを巡らせながらも、公爵家の馬車へと向かい、歩みを進めた。ーーーその時だった。「見つかりましたか」聞き覚えのある声が、わずかに私の耳に届いた。この、声は…。ドクンッと心臓が大きく跳ねる。挙動不審にならないよう、あくまで自然に視線を動かす。すると、私の視界の端に、とある集団の姿が入った。どこかの…いや、ルードヴィングの騎士たち数名と、彼らに囲まれるように中心に立つ人物。夕日に照らされて、キラキラと輝く色素の薄い後ろにまとめられた白い長髪が、風に吹かれてゆらゆらと揺れている。透き通った水色の瞳に、男にしては美しすぎる顔。 彼は、大人の私と同じ19歳であり、リタの専属執事、セス・レイエスだ。そう気づくと、私は足早にセスから見えない死角を探し、ジャンを壁にした。ここからでも彼らの会話が、わずかにだが、聞こえてくる。「ここには例の者の情報はありませんでした」そう報告した騎士に、セスは表情を変えず、冷静なまま淡々と口を開いた。「そうですか。わかりました。例の者が逃げて数ヶ月が経ちましたが、国境記録によると帝国を出た者の中に、例の者と同じ特徴の者はおりませんでした。近場で潜伏していると考えられます。徹底的に探しましょう」騎士に向けるセスの瞳は相変わらず冷めており、怒りも憎悪も焦りも、何の感情も読めない表情を浮かべていた。しかしそれでも私にはわかった。
last updateDernière mise à jour : 2026-08-22
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24. 俺のお嬢様 sideセス

「それで?ステラは見つかったのかしら?」 夜。煌びやかな照明の光を受けて、リタ様がこちらに歪んだ笑みを浮かべる。 リタ様の横には、リタ様のお父上、ルードヴィング伯爵様もおり、2人は立派なソファに腰掛け、こちらをじっと見据えていた。 ここはルードヴィング伯爵邸内にあるルードヴィング伯爵様の執務室だ。 俺は今日も仕事の合間を縫って行っていた、ステラ様の捜索について報告をしていた。 「いえ。ステラと思わしき人物の情報はありませんでした」 「はぁ、そう。やっぱり簡単には見つからないのね」 俺の淡々とした答えに、リタ様が面白くなさそうに表情を歪める。 我がミラディア帝国の美の女神と讃えられているその美貌も、これでは台無しだ。 「あの女は賢い。こちらが一度敵意を向けた以上、どんな手を使って報復してくるかわからん。1番最悪なのは帝国を出て、こちらの機密事項を全て情報として売り出すことだ」 リタ様の横にいた伯爵様は、チッと舌打ちをし、悔しそうに眉間にシワを寄せた。 「やはり暗殺はお前に任せればよかったな、セス。他の者に頼むからこんなことになってしまった」 それから俺に視線を向けると、いつものように大きなため息を一つ吐いた。 あの夜を後悔している伯爵様を、ここ数ヶ月で何度見てきたことか。 ステラ様の暗殺は、もうずっと昔から俺がやると決められていた。 そしてそれを不足なく、完璧に遂行するために、幼い頃から、俺は執事業だけではなく、暗殺業も叩き込まれていた。 ステラ様を確実に殺せるように、たくさんのルードヴィング伯爵家にとって邪魔な者を排除してきた。 そうして、いよいよやってきた、ステラ様を殺す日。 伯爵様は俺にステラ様を殺させなかった。 俺がステラ様に情を抱き、殺さないかもしれないと判断したからだ。 その為、俺はあの日の夜、まさかステラ様が暗殺されるとは夢にも思わなかったのだ。 しかし暗殺は失敗に終わり、ステラ様は今、どこかに身を隠し、まだ生きていた。 「…俺なら確実にステラを殺せます。その為に今まで力をつけてきたのですから」 俺は伯爵様に何の感情を込めず、淡々とそう告げる。 何でもないことのように。 俺がステラ様を絶対に殺すと信じさせる為に。 「わかっている。お前の実力は我が家一だ
last updateDernière mise à jour : 2026-08-23
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25. 皇帝からの強制招待状

sideステラ「ステラに皇帝陛下から直々に招待状が届いた」とある日の夕食時。いつものようにフランドル公爵一家と食卓を囲んでいると、フランドル公爵が淡々とそんなことを口にしたので、私からサラダが吹き出そうになった。今、何て言いました?皇帝陛下から直々に招待状が届いたと聞こえましたが?「あらあらー。いつの間に陛下はステラをお知りになったのかしら?まだご紹介はしていないはずだけど?」公爵の横で顎に手を当て、呑気にそんなことを言っているのは、フランドル夫人だ。美しい所作でスープに口をつけながら、不思議そうに首を傾げている。「内容は我がフランドルに所属する多才で優秀な踊り子、ステラを宮殿に招待する、というものだった」「…踊り子?ステラがですか?」「ああ」公爵が伝えた招待状の内容に、ユリウスは怪訝な顔をした。そして私は思い当たる節しかなく、心の中で頭を抱えた。絶対にロイだ。私のことを踊り子だと勘違いしている人なんて、ロイしかいない。何故かあんなにも私を宮殿へと呼ぼうとしていたが、まさか皇帝陛下まで使って強制ご招待しようとするとは。「滞在期間は3日。急だが、明後日からだそうだ」「3日?」公爵の言葉に、ユリウスの声音がますます低くなる。「何故、そのように長い間、ステラを宮殿に行かせなければならないのですか。せめて1日、顔を見せる程度でいいでしょう」ユリウスは不満げにそう言うと、じっと公爵の次の言葉を待った。ただ視線を向けているだけなのだろうが、その視線は傍から見ると睨んでいるようにも見える。今のユリウスはいつもの冷たい顔に、さらに怒りが加わり、迫力が増していた。
last updateDernière mise à jour : 2026-08-24
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26.勘違いからのおおごと

「父上、ステラはああ言っていますが、彼女が多才で優秀な踊り子であることは間違いないです。僕はこの目でフランドルの花畑で舞う妖精のような彼女を目撃しております」 私を見定めるように、じっとこちらの様子を窺っていた陛下に、ロイはすらすらとそれらしいものを並べる。 あのたった一度だけ見たお遊戯会レベルの舞で、よくもまあ、自信を持って陛下に太鼓判を押せるものだ。 にこやかながらもまっすぐなその瞳に呆れを通り越して、感心してしまう。 「ですから予定通り話を進めてよいかと」 「…ふむ。そうだな。ロイがそこまで言うのなら、間違いないだろう」 ロイの言葉に、陛下は何か納得したように頷いた。 正直、事情を全く知らないので、2人が何について話しているのか全然わからない。 私についてなのは何となく察せられるが。 「ステラ」 やっと陛下の瞳が、ロイから私へと向けられる。 「実は明日、私と皇后、ロイを含めた3人の皇子、それからロイの婚約者のリタ嬢とで夕食を共にするのだ。そこで相談なのだが、ぜひ、そこでそなたの舞を披露してくれないか」 「…え」 にこやかに告げられた陛下からの提案に、私は笑みを浮かべたまま固まった。 陛下は今、何て言った? 舞を披露する?皇族一家の前で? しかもリタまでいるの? 「…も、申し訳ございません。先ほども申しましたが、私は踊り子ではないのです。そのような者が皇族の皆様の前で舞を披露するなどとても…」 「何を言う。確かにそなたは踊り子ではないのかもしれない。…が、どうやら踊り子としての
last updateDernière mise à jour : 2026-08-25
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27. 手助け

「大丈夫?ステラ?」私は確かに後ろへと倒れたはずだった。だが、背後から現れたロイによって、それは免れた。「…っ!!!!???」私を支え、心配そうにこちらを見つめるロイに、思わず声にならない悲鳴をあげてしまう。ななな!何で!?何で、ロイがここにいるの!?天井のステンドグラスから降り注ぐ太陽の光によって、ロイの色素の薄い金色の髪がキラキラと輝く。まっすぐに向けられた瞳は、相変わらず宝石のルビーのように美しく、整った顔立ちには、柔らかな笑みが浮かべられていた。あまりにも幻想的なその姿に、背中に真っ白な大きな翼の幻覚まで見える。まるで天使のようなロイに、私は先ほどまでの混乱を忘れ、思わず息を呑んだ。腹黒皇太子だという本性を知らなければ、きっと私もリタのようにこの男に骨抜きになっていたことだろう。「…おーい。ステラ?」つい見惚れてしまい、固まっていると、ロイはおかしそうに笑いながら、私の目の前で手を振った。「あ、あぁ…。ありがとうございます…」いけない、いけない。思考停止している場合ではない。 奪われていた意識を現実へと引き戻し、何とかロイへのお礼を口にする。それからそのままロイから離れると、私はロイを見据えた。「…どうしてロイ様がここにいるんですか?お仕事ですか?」怪訝な顔をしたい気持ちを抑え、ロイに首を傾げる。するとロイはそんな私に、優しげに瞳を細めた。「君が困っていると思ってね。助けに来たんだ。随分探したよ?」「…」誰のせいで困っていると思っているんだ。柔らかく微笑むロイを、思わず恨みを
last updateDernière mise à jour : 2026-08-26
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28.おやすみ

「本当はまだステラといたいんだけどね…。仕事があるからもう行かないといけないんだ。また明日も必ず会いに行くよ。最終調整をしよう」舞の構成を全て決めた後。ロイはそう言い、私ととても名残惜しそうに別れた。それがたった数時間前の話である。「やあ」確かに先ほど〝また明日〟と言った人物は、何食わぬ顔で、私の部屋に現れた。爽やかな微笑みを浮かべるロイに、夕食を食べ終え、今まさに舞の練習をしようとしていた私の動きが止まる。この帝国の皇太子を、怪訝な顔で見てしまう。仕事があると言っていませんでしたか?お忙しいのでは?「…何しに来たんですか」先ほどは助けてもらったが、この男がそう何度も無償で助けてくれるとは思えない。邪魔をしに来た可能性だって十分にある。疑い深い視線をロイへと向ける。「うーん。邪魔をしに来た、かな?」すると、ロイは人差し指を唇に当て、にっこりと悪戯っぽくその瞳を細めた。やっぱり!!!!邪魔しに来やがった!!この腹黒皇太子!!!!何て迷惑な!!!「帰ってください」あくまでも穏やかな笑みで、私は冷たくそう言い放つ。…が、ロイは気にも留めず、こちらにゆったりとした足取りでやって来た。「どうして?」どうして!?だと!?おかしそうに首を傾げるロイに、怒りが沸々と湧く。確かにたった数時間で、舞の全ては決められたが、私はそれをまだ形にしていない。明日が本番なのだ。少しでもものにしなければ、恥をかくのは、私だ。それなのに、それを邪魔しに来た存在など、お帰り願いたいに決まっている。
last updateDernière mise à jour : 2026-08-27
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29.寝過ぎた朝に皇太子

「…ス」遠くの方から誰かの声が聞こえる。「…テラ」聞き覚えのある声。その声が何か言っている。「…ステラ」私の名前を呼んでいる。「…ん」そこで私の意識は覚醒した。この声はーーー。「…ステラ、やっと起きた」ぼんやりとした私の視界に、窓からの光を浴び、キラキラと輝く天使の姿が入る。キラキラと輝く色素の薄い金髪に、私を優しく見つめるルビー色の瞳。髪も瞳も、そして、美しい顔立ちも。まるで本物の宝石のように美しく、思わず見惚れてしまう。微笑む天使に、私は思った。ここは天国なのかな…と。くすくすと笑う声でさえも、綺麗な小鳥のさえずりのようだ。「ステラぁ?まだ寝ぼけているのかな?そろそろ起きようね」「…」だんだん思考が回り始めた私は、改めて自分の前へと舞い降りてきた天使をじっと見つめた。美しい顔立ちに、金の髪に、ルビー色の瞳。…ロイっ!「…っ!!!!」やっと状況を理解した私は、その場から勢いよく体を起こした。ななな、何故ここにロイが!?それより私はいつの間に寝てしまったの!?どのくらい寝てしまったの!?「おはよう、ステラ。昨晩はよく眠れたみたいだね」「…お、おはようございます、ロイ様」驚いている私などよそに、ロイが涼しげに微笑む。そんなロイをもちろん無視する訳にもいかず、とりあえず口角を上げるが、うまく
last updateDernière mise à jour : 2026-08-28
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30.夕食会の主役

約8時間のロイとの練習や準備を終え、いよいよ夕食の時間がやってきた。 一応それらしいものはできるようになったが、それでも不安は消えない。 素人のお遊戯会レベルが、たった数時間でどうにかなる訳がない。皇族の皆様に見せられるものではない。 …が、それでも、私はここに立つしかなかった。 「おお、ステラ。待っていたぞ」 ホールに現れた私に、最初に声をかけたのは、皇帝陛下だった。 嬉しそうに、そして何より興味深そうにこちらを見つめる陛下を始め、各テーブルにつく皇族の皆様からの視線が私に一斉に集まる。 今日は私が舞を披露する、たったそれだけの理由で、彼らの食事会場がこのホールに決まっていた。 食事をするには広すぎる空間には、たった3つの円卓しか並べられていない。 そこに、陛下と皇后様、2人の皇子、そしてロイとリタが、分かれて座っていた。 …胃が痛い。 こんなロイヤルな方々に、どうして素人の舞を披露しなければならないのだ。 頼む、プロの舞姫を今すぐ招集してくれ。 「…ステラと申します。よろしくお願いいたします」 淡い黄緑とピンクと白の踊り子の衣装に身を包み、私はにこやかに自分の名前を口にし、丁寧に頭を下げた。 この踊り子の衣装は、フランドル夫人が、「一応、入れておきましょう」と入れてくれていたものだ。 まさか着るな
last updateDernière mise à jour : 2026-08-29
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