「…本当に着替え中?何か隠してない?大丈夫なのかい?」困惑でいっぱいのロイの声に、私は何とか答えようとした。「だ、だい、じょう、ゴボッ!ゴボッ!」しかし、それは私の口から大量の血が飛び出たことによって叶わなかった。吐き出された血がラグだけではなく、私の服にまで散り、ここら一帯に錆びた鉄のような匂いを充満させる。「…ステラ!」ついにこの状況に痺れを切らしたのか、ロイがただならぬ様子でこの部屋の扉を開けた。「え…リタ…?」そしてロイは私の姿を見て、目を大きく見開いた。もう慣れてしまった体の感覚と視線の高さでわかる。今の私は、本来の姿に戻っているのだろう。ロイの知っている12歳のステラではなく、19歳のステラがそこにいれば、いくら彼でも驚きを隠せないはずだ。だが、ロイはそれだけではなく、何故かそんな私を〝リタ〟と呼んだ。どこをどう見れば、私をリタと見間違えてしまうのか全くわからない。私は口から垂れる血を拭いながらも、今どうすることが最善か何とか考えを巡らせた。先ほどまで保護していた子どもの部屋に血塗れの知らない大人の女がおり、その子どもの姿がない。今の状況だけ見ると、血塗れの女である私は確実に不審者…いや、保護していた子どもに危害を加えた犯人にしか思えないはずだ。説明の余地はない。今すぐ逃げなければ。逃走ルートを確認する為に、まずは扉の方へと視線を向ける。…が、そこには当然だが、こちらを見て、呆然と立ち尽くすロイがいた。扉からの逃走は不可能だ。ならば…と、次の逃走ルートを探ってみる。ここはこのホテルの最上階、4階だ。ここから地上まで飛び降りることは、自殺行為と同じだが、各部屋には立派なバルコニーがある。そこに飛び移りながら下を目指すのはどうだろうか。今の私の身体能力ならいけるはずだ。19歳の姿に戻り切ったので、もうあの苦しさもない。考えをまとめ終えた私は、元々用意していた最低限の荷物を握り締めると、ロイに背を向けてバルコニーの方へと駆け出した。「待って!リタ!」後ろから私を必死に呼び止めるロイの声が聞こえる。何故か私を先ほどからリタと呼ぶロイに、疑問を持ちながらも、私はバルコニーの扉に手をかけた。「待ってくれ…!僕はずっと君を…!」バルコニーへと飛び出た私に、まだロイが必死に何かを言っている。それでも私
Dernière mise à jour : 2026-09-14 Read More