脱走しようとしてから、数日。私は毎日、誰かに監視されていた。…といっても、四六時中誰かが私に張り付いているというわけでもなく、近くにいる、といった感じだ。私の部屋の外に必ず護衛騎士がいるのもそういった理由からだった。前までは、こんな命を狙われている重鎮みたいな扱いなど受けていなかったというのに。…命を狙われているのは間違いないんだけど。「昨日のユリウス様との剣術のお稽古はいかがでしたか?」昼食を食べ終えた昼下がり。いつものようにソファでくつろぐ私に、メアリーがストロベリーティーを淹れてくれる。そして彼女は、にっこりと笑いながら慣れた手つきで、それを私の目の前の机の上に置いた。「…んー。楽しかったかな。ユリウス、強いし」「そうでしょう!そうでしょう!ユリウス様はとてもお強いんです!かっこよかったでしょう!」昨日の剣術の稽古の感想を述べると、メアリーが本当に嬉しそうに笑う。ユリウスは時間を見つけては、よく私に剣術の稽古をつけてくれていた。この帝国内で、ユリウスの剣術の腕前を知らない者はいない。どんな先生よりも優れた能力を持っていることは間違いないだろう。その為、ユリウスが剣術の稽古に現れると、いつもヴィル先生からユリウスへと剣術の先生が変わっていた。ユリウスが剣術の先生になる時は、基本、模擬戦をしながらだ。私はただ剣を振るうだけよりも、目まぐるしく状況が変わる模擬戦の方が好きなので、ユリウスとの稽古はヴィル先生の稽古よりも好きだった。リタの代役を務めていた時も、ユリウスとのいつもの口論の末に模擬戦にまで発展することもよくあった。その時も、密かにユリウスとの模擬戦を楽しんでいたものだ。もちろん表向きは、憎まれ口しか叩いてなかったが。「ステラ様もご存じだとは思いますが、ユリウス様は騎士団に最年少で所属を認められた天才
Huling Na-update : 2026-08-06 Magbasa pa