王家の地下墓所から響いた爆発音は、黒曜城の石壁を震わせ、上階の窓硝子までかすかに鳴らした。警鐘が鳴り始めるより早く、ヴァルゼインは寝室を出ていた。傷は完全に塞がっておらず、黒い上衣の下には厚い包帯が巻かれたままだったが、止めようとしたネルーヴァの言葉を聞く様子はない。リュシエナとセイグ、カルネアも後を追い、王家の墓所へ続く北棟の地下階段を駆け下りていった。階段を降りるほど空気は冷たくなるはずなのに、下から流れてくる熱気と焦げた油の臭いが肌へまとわりつき、鼻の奥へ刺さった。「陛下、走らないでください!」ネルーヴァの怒声が背後から飛ぶ。「走っていない」「それを走っていないと言うなら、あなたの歩幅を半分にしなさい!」ヴァルゼインは返事をしなかったが、脇腹を庇うように一度だけ右手を添えた。リュシエナはその仕草へ気づいたものの、今は無理に支えようとはしなかった。彼が自分の足で進むと決めているなら、その隣を離れず、必要になった時だけ手を出す。それが今の二人の間にできつつある距離だった。地下へ続く最後の扉が見えたところで、先行していた衛兵がこちらへ駆け戻ってきた。「陛下! 墓所内部で崩落が起きています。火は広がっておりませんが、入口付近の柱が二本倒れています!」「オルネスは」「中にいる可能性が高いです」その言葉を聞いた瞬間、ヴァルゼインの表情から僅かに残っていた血色が消えた。石扉は半分開いた状態で歪み、蝶番の一部が爆風で外れていた。内部から黒煙が流れ出し、墓所特有の冷たい土と石の匂いに、焦げた布、油、砕けた石灰の臭いが重なっている。カルネアが濡らした布をリュシエナへ渡し、自分も口元を覆って先へ進んだ。地下墓所は、王家の歴代当主を安置するための長い石室だった。左右の壁には黒鉄の燭台が並び、中央の通路沿いには代々の王族の石棺が置かれている。最奥には先王とその前の王の墓があり、その一つ手前、反乱者として王家の正式な墓列から外された位置に、グレイヴァルの棺が置かれていた。爆発は、その周辺で起きていた。崩れた石柱の下に、人の脚が見える。「オルネス!」ヴァルゼインが声を上げた。返事はなかった。全員で瓦礫へ近づくと、侍従長は横向きに倒れ、上半身を大きな石板の陰へ押し込まれていた。背中の上衣は裂け、破れた布から血が滲んでいる。左脚は膝から下を瓦礫に挟まれ
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-24 อ่านเพิ่มเติม