放課後の静かな教室で二つの影だけがある。 俺と、俺を教室に残る様に指示した水瀬南だ。 話があると言われたが、水瀬が俺に何を話すのか見当もつかない。 水瀬が近づくにつれて俺の鼓動も早くなる。 顔も熱くなり、赤くなっている事が容易に想像できる。 そんな俺をよそに、水瀬は一歩一歩近づいてくる。 既にお互いの距離は手を伸ばせば届く距離までになっていた。 これ以上近づかれたら心臓の音が聞こえてしまうんじゃないか? 頭が熱でショートしかけている。 何か話さないと。「は、話ってなに?」 俺は出来るだけ平静を装い本題に切り込む。 すると今まで黙っていた水瀬が口を開く「……た?」「え?」「…いた?」「ごめん、聞こえない」「聞いたの? って言ってるの!」「うぉっ!」 声が小さくて聞き取れなかったので聞き返したら怒鳴られた。 聞いたってなんのことだろう。「えっと、何を?」「今日、がっちゃ…小川さんと話したんでしょ?」「う、うん話したけど」「小川さんから聞いたの?」「だから何を?」 どうしたのだろう。何処か焦ってるように感じる。 何か二人の間での秘密の様な物があったのだろうか。「小川さんから何も聞いてないの?」「昼に話した通りだよ。昨日俺が水瀬と何を話したか聞かれただけだよ」「ホントに?」「本当だよ、水瀬に嘘なんか吐かないよ」「そ、そっかぁ~」 と言い水瀬は力無く近くの椅子に座った。 「えっと、水瀬は何か誤解してて、その誤解が解けたって事でいいのかな?」「そう……だね。うん、佐藤の事信じるよ!」 よく分からないけど誤解が解けたならいいか。 ってあれ? 話があるってこの事だったのか?
Last Updated : 2026-08-15 Read more