All Chapters of 自己顕示欲が強い妹にプロデュースされる事になりました: Chapter 21 - Chapter 30

82 Chapters

21話 放課後の教室で

 放課後の静かな教室で二つの影だけがある。 俺と、俺を教室に残る様に指示した水瀬南だ。 話があると言われたが、水瀬が俺に何を話すのか見当もつかない。 水瀬が近づくにつれて俺の鼓動も早くなる。 顔も熱くなり、赤くなっている事が容易に想像できる。 そんな俺をよそに、水瀬は一歩一歩近づいてくる。 既にお互いの距離は手を伸ばせば届く距離までになっていた。 これ以上近づかれたら心臓の音が聞こえてしまうんじゃないか? 頭が熱でショートしかけている。 何か話さないと。「は、話ってなに?」 俺は出来るだけ平静を装い本題に切り込む。 すると今まで黙っていた水瀬が口を開く「……た?」「え?」「…いた?」「ごめん、聞こえない」「聞いたの? って言ってるの!」「うぉっ!」 声が小さくて聞き取れなかったので聞き返したら怒鳴られた。 聞いたってなんのことだろう。「えっと、何を?」「今日、がっちゃ…小川さんと話したんでしょ?」「う、うん話したけど」「小川さんから聞いたの?」「だから何を?」 どうしたのだろう。何処か焦ってるように感じる。 何か二人の間での秘密の様な物があったのだろうか。「小川さんから何も聞いてないの?」「昼に話した通りだよ。昨日俺が水瀬と何を話したか聞かれただけだよ」「ホントに?」「本当だよ、水瀬に嘘なんか吐かないよ」「そ、そっかぁ~」 と言い水瀬は力無く近くの椅子に座った。 「えっと、水瀬は何か誤解してて、その誤解が解けたって事でいいのかな?」「そう……だね。うん、佐藤の事信じるよ!」 よく分からないけど誤解が解けたならいいか。 ってあれ? 話があるってこの事だったのか?
last updateLast Updated : 2026-08-15
Read more

22話 新島楓

 夜、自室で表情や言葉のトーンの練習をしながら放課後の事を考えていた。 『ミナミって呼んでね』 水瀬には『ミナ』という部活内でのあだ名があったがあまり気に入っていなかったらしく、俺が思いついたというか、気づいたあだ名の中にある『ミナミ』が気に入った様でこれからはミナミと呼ぶ事になった。 しかし、今日の話を知らない奴が聞いたら俺が突然水瀬の事を名前で呼び始めた様に見えるだろう。 皆にはどう説明すればいいのだろう? そんな事を考えていると、不意に携帯の着信音が鳴った。ティローン 確かLINEの通知の音だったはず。 誰からだろうと見てみると柚希からだった。 まぁそうですよね。グループの連中とも交換したけど、まだプライベートでやり取りする様な仲ではない。 トーク画面を開くと〈11時に私の部屋に来て〉 とだけ書かれていたので〈了解〉 とだけ書いて返信した。 恐らく今日の課題についてだろう。 まだ水瀬の事をあだ名で呼べていないので文句を言われそうだ。 それよりも柚希は今日部活見学に行くと言っていたがどうなったのだろう。 高校でもめぐと一緒にテニス部に入ると言っていたからテニス部に顔を出したのだろうか? テニス部には確か新島が所属していたはずだ。 新島の印象は文武両道、容姿端麗、社交性抜群のパーフェクト美少女だが、何処か柚希に似ていると感じた。 自己顕示欲の塊である柚希には新島はどう映るのだろう?ティローン とその時、また携帯が鳴った。 柚希が何か伝え忘れたのかと思い、画面を見ると以外な名前が記されていた。  新島楓 つい今まで考えていた相手から連絡がきた。 内容を確認してみると〈まだ起きてるかな?〉 という内容だった。 これだけでは何の用か分からないので〈起きてるよ。どうしたの?〉 と返信
last updateLast Updated : 2026-08-16
Read more

23話 天然

 今、柚希と二人で新島の家の前にいる。 昨日の新島とのやり取りを伝えたら自ら進んで同行する事になった。 それにしてもデカい家だなぁ。ウチの何倍あるんだろう。 インターホンを押すとドアが開き新島が顔を出す。「ちゃんと来たのね」「断れる雰囲気じゃなかっただろ」 そんなやり取りをした後、家に入る様に促される。 玄関を入り新島の案内で二階の部屋へ向かう。 所々にきっと高いであろう壺や絵画等の骨董品が飾られていた。 だからついついこんな言葉が出てしまった。「新島の家って金持ちなんだな」 俺の言葉を受けて「一般的にはそうね、ただ親が稼いでるってだけで私自身は大した事ないわ」 と淡々と答えた。 俺は触れてはいけない物に触れてしまったと感じ、部屋に着くまで黙っている事にした。 柚希も調度品に目が行ったりしているが俺のようなヘマはしないようだ。 それから少しして一つのドアの前で歩みを止めた。「ここが私の部屋」 と言い、ドアを開けて俺達を招き入れる。 新島は「飲み物を持ってくるから適当に座ってて」と言い残し部屋を後にした。 柚希以外の女子の部屋は初めてだが、あまり女子の部屋という雰囲気は無かった。 必要最低限の物だけ揃えたという感じだろう。 ただ一つ女子の部屋なんだなと思わせたのは何処からか香って来るいい匂いだった。 しばらくして新島が戻り、俺と柚希に飲み物の入ったグラスを渡して新島も席に着いた。 俺達は部屋の中央にある丸いテーブルを三人で囲むように座っている。 三人が三人共顔が見える位置取りだ。「今日は来てくれてありがとう」 いつもの調子でお礼をいう新島「こちらこそお邪魔します」 と俺が言うと、柚希も「今日はお招き有難うございます」 と、こちらも普段通りに挨拶する。 一通り挨拶を済ませた所で新島が声のトーンを落として、この会議の口火を
last updateLast Updated : 2026-08-17
Read more

24話 二人の秘密

 俺が天然ジゴロで水瀬が俺に好意を寄せているという疑惑。 俺自身好意を持たれていると思ってないので疑惑としたが、水瀬ってチョロインだったのか? イケメンなら誰でもいいんじゃないか? 等考えてしまう。 今まで女子と接してこなかったので、ネットの知識で変な勘繰りをしてしまう。 俺が未だに信じられないという顔をしていると「それで友也君、南の事はちゃんとミナミと呼ぶの?」「まぁ約束しちゃったしな」「グループの誰か。まぁ田口辺りに突っ込まれると思うけどどう対処するつもり?」「突っ込まれるってどういう事?」 はぁ、とため息を吐いた後「昨日まで水瀬と呼んでいたのに急にミナミなんて呼び出したら二人の間に何かあったんじゃないか? と勘繰られるのが普通なのよ」「ちゃんと説明するよ。これはただのあだ名で、陸上部では当たり前だって事を」 そして再び溜息を吐かれ、今度は柚希が「水瀬先輩はそのあだ名を嫌がってたんでしょ? それで今までグループの人達に黙ってた。それをお兄ちゃんが話しちゃダメでしょ?」 た、確かに。「でも、水瀬はミナミって呼んでって言ってきたんだぞ? どうすればいいんだ?」 俺がそう言った瞬間、二人の口角が上がった。「それなら」「いい考えがあるよ」 と嗜虐的な笑みを浮かべる二人。 「どうするんだ?」「とりあえず今すぐ南にLINE送って」「は?」 意味が分からない。 「私の言う通りに送れば昨日の約束を守れて、かつ好感度も上がるからよ」「そんな都合よく行く訳ないだろ?」 LINEを送った程度で好感度上がるなら今頃俺はモテモテだ。 あ、今まで送った事無かった。 でも、昨日少しだけど新島とやり取りしたよな? あれはやり取りした内に入らないか。「とりあえずお兄ちゃんは私達の言う事を聞けばいいの!」 と何故か怒られてしまう。 この
last updateLast Updated : 2026-08-17
Read more

25話 新しい会話のテクニック

 夜十一時。恒例となった柚希との会議が始まる。 昼間に新島の家へ行き、色々やったり、課題を出されたりしたので今日は柚希との会議は無いだろうと思ってくつろいでいたら、柚希から「いつもの時間に部屋に来て」と言うメッセージがきた。 一体これ以上何をするのだろうか。「とりあえず新島先輩の家での会議の感想を聞こうかな」 柚希はいつものようにベッドに腰掛けながら聞いてきた。 相変わらず俺の分の飲み物は無い。「感想かぁ、俺自身は何もやってないから何とも言えないな。水瀬とのLINEも言われた通りの言葉を送っただけだし」 俺自身の考えで行動した記憶が無い。 ずっと二人の話を聞いて言われた通りに動く、まさに操り人形状態だった。「そうだね。お兄ちゃん自身で考えての行動が無かった。まぁ新島先輩と私が居る所で自分の意見を通すのは今のお兄ちゃんじゃ厳しいかもね」  そうなんだよなぁ。二人から物凄いリア充オーラというかなんというか、そんな物を感じていてそれに圧されて自分の意見を言うと場がしらけるんじゃないかという不安を持っていた。 「お兄ちゃんはまだまだ人との会話の経験値も低いし、女子にも何処かビクビクしちゃう所もあるしね」 確かに会話はまだスムーズに出来ないし、女子に関しては緊張して何話したらいいんだろう? となってしまう。 話題の引き出しがあれば何とかそこから話題を引っ張り出して話す事は出来るけど、何もない状態だと今の俺ではパニックになる。「でも、水瀬さんのあだ名の時はちゃんと話せたでしょ? どうしてか分かる?」 言われてみればそうだな。 最初は告白かと勘違いして緊張しまくってたけど、あだ名の話の時はそうでもなかった。「それは、何とか課題をクリアしなきゃと思ってたからかな? それと水瀬があだ名の事を凄く恥ずかしがってたから何とかしなきゃと思ってかな」 あの時も緊張はしてたんだけどね。変な空気になっちゃってたし。「そう! それなの!!」 ビシッ! と俺を指差しながら言う。「え?
last updateLast Updated : 2026-08-18
Read more

26話 実践訓練Lv2

 鏡の前で表情の確認と髪型を整える。 もうすぐ実戦訓練としてめぐがやって来るからだ。 前回の時と違い自分で話題を探さなければならないので若干緊張している。『相手の事を話題にする』 と柚希から言われているが、今の所入学おめでとう! ぐらいしか思い浮かばない。 色々考えている内に玄関のチャイムが鳴る。 柚希が対応しているがどうやらめぐが来たらしい。 こうなったら覚悟を決めて当たって砕けろだ! リビングに入ると既にめぐが席に座っており、柚希はいつもの定位置に座っている。 俺とめぐが同時に見渡せる位置取りだ。「こんにちは、始業式振りだね」 と言いながらめぐの向かい側に座る。「こんにちは、お久しぶりです」 と笑顔で返事をしてくれた。 さて、ここからどう話題を探そうかとした時「今日は敢えて学校の制服を着てきたんですけど、どうですか?」 めぐから話題を提供してくれた。「凄く似合ってるよ」「有難うございます……」 と言って顔を赤くするめぐ。 俺までつられて顔が火照る。 そこで柚希が「めぐー、ちょっとこっち来て~」 とめぐを呼んだ。 めぐは柚希の所まで行き、柚希に何か言われているようだ。 きっと自分から話題を提供してしまった事を怒られているのだろう。 ごめん、めぐ。俺がふがいないばっかりに。 そして話し終わっためぐが元の席に座る。 めぐの顔を見ると、口を一文字に結んでいる。 これは柚希に相当注意されたんだな。 早く解放してあげないと。と思うが話題が出て来ない。 さっきは制服の事を少し話したからその話題を広げるか?「制服も高校のになって少し大人っぽくなったんじゃない?」「ホントですか!」 と、さっきまでの一文字は何処へやら、大きく口角を上げて満面の笑顔をみせる。 あれ、よく見るとうっすらと化粧しているのがわかった。 すかさずそれを話題にする。「化粧もしてるから余計に大人っぽく見えるんだね」「そんなに化粧分かりやすいですか!」「いや、すごく自然な感じだよ。それがナチュラルメイクってやつ?」「はい! 進学を機に化粧を覚えました!」「高校デビューってやつ? でもめぐは元から可愛いからそういう訳じゃないか」「そ、そんな……可愛いだなんて……」 また顔を赤くして俯いてしまった。 でも、今結構会話になってたよ
last updateLast Updated : 2026-08-19
Read more

27話 会話の主導権

 夜自室でくつろいでいると、スマホの通知音がなった。 今までの俺ではありえない出来事だった。 画面をみると『新島楓さんからグループに招待されました』 というメッセージと招待を受けるか受けないかの選択がある。 グループっていうのは複数人で会話をやり取りするんだったよな。 学校だけじゃなくプライベートもグループでいなきゃならないなんてリア充は大変だな。 しかし、画面をよく見てみると、招待されてるのは俺と水樹と及川だった。 何故この四人何だろうと不思議に思ったが、俺が悩んでいる内に皆が招待を受けた事が表示された。 やばい出遅れた。怖気づいてると思われるかもしれない。 慌てて招待を受けるを押す。 すると早速メッセージが飛んできた。〈佐藤君おそ~い〉〈こんばんは〉〈オッス友也、よろしくな〉 次々とメッセージが飛んでくるのでどうしたらいいか分からない。 一人一人に挨拶した方がいいのか? しかしチャット形式ならそれは必要ないだろう。 なので気になった事を聞いてみた。〈この集まりは何なの?〉 とメッセージを打ち込むと、新島が答える。〈中居って5月5日が誕生日だから誕生日プレゼントを今度の休みに買いに行こうというメンバーだよ〉 中居は端午の節句に生まれたのか。まさに男って感じに育ってるね。〈それなら田口や水瀬も呼べばいいんじゃないか?〉 俺がそう言ったら、今度は新島ではなく及川が口を挟んだ。〈それは駄目!〉〈なんで?〉〈えっと……〉 というやり取りをしていたら今度は水樹が〈実は及川は中居の事が好きなんだよ。それをその二人には知られたくないらしい〉 ビックリして言葉が出ないとはこの事か。及川が中居を好きだったとは……。〈ちょっと水樹、勝手に言わないで!〉〈グループに入ってるんだから説明しない訳には
last updateLast Updated : 2026-08-19
Read more

28話 意見を通す

 グループLINEで話し合ってから2日後の夜に再びグループにメッセージが書き込まれた。 発信者は水樹で〈中居が欲しがってる物が分かった〉 という内容だった。 その日は中居が欲しがっている物に着いて話して、土曜日にターミナル駅に隣接する百貨店に行く事にきまった。 そして金曜日の夜に新島から着信があった。「明日の買い物の件なんだけど、そこで友也君にやって欲しい事があるの」 俺がもしもしと言う前に、開口一番そんな事を言ってきた。「やって欲しい事ってやっぱり課題みたいなもんか?」「言い方を変えればそうなるわね」「それで、やって欲しい事って言うのは?」「明日、一回でもいいから自分の意見を通しなさい」 いきなり何言ってんだコイツは。意見を通すっていつも水樹がやってる事じゃないか。 しかもその水樹が一緒に居る時に意見を通すなんて難しすぎるだろ。「それはいくらなんでも難易度高くないか?」「そう? 何でもいいのよ。どこどこの店に行きたいとか、少し休憩にしないか? とかね」「ん~、そう考えると出来なくはないのか? でも大体は水樹が仕切るんじゃないか?」「常に水樹が仕切る訳でもないから安心して。私も色々意見言ったりするから」「わかった。一応努力はする」「おっけ。じゃあまた明日」 通話が終わりいきなり出された課題をどうやってクリアするか考える。 もう一つの不安要素だった服装は、柚希に相談した所マネキン買いのもでいいらしい。 めぐ以外は始めてみるから大丈夫だそうだ。 そしてその日の会議でも新島と同じような事を言われて解散となった。 翌朝、鏡で服装と髪型、表情をチェックして家をでる。 最寄駅からターミナル駅までは15分で着いた。 指定された待ち合わせ場所に行くと既に新島が居た。「おっす、新島早いな」「10分前行動は当たり前じゃない?」 相変わらず二人きりの時は本性の方が前に出てくるな。「
last updateLast Updated : 2026-08-20
Read more

29話 内輪ネタ

 皆にバレない様に柚希から教わった店までを地図アプリで確認しつつ俺が皆を誘導する。 俺が美味しいパスタ屋を知ってると言ったので必然的にそうなる。 まさか俺がリア充を引き連れて歩くとは。 しばらくして目的の店に着いた。「ここのパスタが美味しいんだよ」 と知ったかぶりで言うが、柚希がオススメするぐらいだから間違いないだろう。「へ~、いい雰囲気の店だね」「佐藤すっごーい!」「友也って実は食通なの?」 皆褒めてくれるが、柚希のオススメに従っただけなので何だか申し訳ない。 申し訳なさを誤魔化す為、皆を先導する。「たまたま見つけたんだよ。それより早く入ろうぜ」 と言い店内に入る。 店内はアンティーク調でインテリアやテーブルもアンティーク一色で染められていた。 「うわ~すご~い」「うんうん」「へ~」 皆がそれぞれ感嘆の声を漏らし、席に案内される。 思わず俺も声が出そうになったが必死に堪えた。 席に着きそれぞれメニューに目を通しながら「どれも美味そうだな。やるな友也」「ホントホント、佐藤って実は学校では遊ばないで外で遊んでる系だったの?」「去年とのギャップがすごいね~」 とまたしても褒めてくる。 っていうか「及川、なんだそれ。俺は正真正銘のぼっちだったぞ。って言ってて悲しくなってきた」「「ははは」」 及川の変な誤解を解いたら笑いが起きた。 これが会話で人を笑わすということなのだろうか。「みんな決まった? 決まったなら注文するけど」 と皆の注文を確認する。 新島が「私は和風パスタね」と言った後、及川が「私はミートソース!」 と言った時に水樹と新島が同時に笑った。 何で笑ったんだ? と不思議に思っていると「及川はいつもミートソースだよな。他の食べてる所見た事ないわ」「佳奈子は相変わらずだね~」
last updateLast Updated : 2026-08-20
Read more

30話 初デート前夜

 帰宅し、夕飯や風呂等を済ませて落ち着こうとしたが落ち着けない。  柚希との会議はいつも両親が寝た後の11時からやっているが、時刻はまだ8時。  新島が俺を誘った理由、デートと呼ぶべきなのかどうか等色々頭を悩ませる疑問はあるが、一番の問題は『明日着ていく服が無い』 だった。  マネキン買いした服は今日着てしまったので、さすがの俺でも2日連続で同じ服を着ていくのはマズイとわかる。  なので一刻も早く柚希のアドバイスが欲しかった。  どうするか悩んでいたらスマホから通知音が鳴った。  画面を見ると柚希からだった。「今日の成果を楽しみにしてるよ~」 という内容だったが、この手があったか!   俺は単刀直入に「明日、新島から買い物に誘われたんだが着ていく服が無い」 とメッセージを打ち込んだ。  直ぐに既読が付いたので返信をジッと待つ。  中々返信が来ないのでもう一度メッセージを送ろうか迷っていると コンコンッ と誰かにドアをノックされた。  家族でノックする人物が思い浮かばなかったので不信に思っていると コンコンッ コンコンッ と再びノックされた。  俺は意を決して恐る恐るドアをあけると、そこには不機嫌な顔をした柚希がいた。「もう! 早く開けてよね」 と文句を言いながら部屋に入って来る。  俺は慌ててドアを閉めて柚希に尋ねる。「大丈夫なのかよ?」 「大丈夫でしょ、最近のお兄ちゃんは変わったなとか言ってたし」 両親は俺と柚希が仲良くする事に反対している。  中学の時の俺は学校だけでなく家でも殆ど喋らずゲームばかりしていたので、そんな俺と親しくしていると優秀な柚希まで変な目で見られるかもしれないという理由で、両親の前では会話すらできなかった。  そんな経緯があり、両親が寝た後に会議を開いていたのだが、まだ両親が起きてる時間に、しかも俺の部屋に柚希が居るとバレたらどう弁明しようか。「今日も帰
last updateLast Updated : 2026-08-21
Read more
PREV
123456
...
9
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status