All Chapters of 自己顕示欲が強い妹にプロデュースされる事になりました: Chapter 1 - Chapter 10

82 Chapters

1話 切っ掛け

 春、俺は無事二年生に進級できた。 校門の前で感動して立ち尽くしている。 という訳ではなく、緊張して足がすくんでしまっていた。  何故なら今年からある目標に向かって頑張る事になったからだ。『ヲタぼっちの俺が学校一のリア充になる!』 今まで俺はリア充の事を心の中で馬鹿にし、自分の好きなアニメ観たりゲームさえ出来れば人間関係なんてどうでもいいと思っていた。 そんな俺の信条を変える出来事が3月の終業式の後に起こった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 終業式が終わり、そそくさと学校を後にする。 クラスメイトが「これからカラオケ行かね?」等とやり取りをしているが、俺には関係ない。 何故ならボッチで友人が居ないからだ。 早く家に帰ってアニメでも見よう。 などと考えながら歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえた。 声の聞こえた方を確認すると、どうやら公園から聞こえてきたらしい。 公園に近づき中を覗いてみる。 すると数人の女子がたむろしているのを見つけた。 いわゆる『ギャル』と称される、俺とは無縁の異種族だ。 ボッチの俺にギャルの知り合いなど居る訳が無いので、今聞こえた声は聞き間違えだろう。 そう結論づけて踵を返そうとすると、再び聞き覚えのある声が聞こえた。 その声はやはりギャル達の方から聞こえる。 ギャル達の方をよーく見てみると、そこには妹の姿があった。 妹は決してギャルではない。 むしろギャルとは正反対に位置しているだろう。 そんな妹が何故? と観察していると「マジうけんだけど~」「何すわっちゃってんの~?」「お腹でも痛いんですか~?」「「ぎゃはははは」」 と不快な笑い声をあげながら妹を見下ろしている。 妹は殴られたのだろうか、お腹を押さえて蹲っている。 何故妹がこんな目に合っているのだろうと考えていると「まさかアンタにあんなキモイ兄貴がいたなんてね~」「思い出しただけで吐きそうー」  原因は俺だったらしい。 確かに俺は中学時代学校中から嫌われていたが、何故妹まで標的にされているんだ? 俺の妹だからというだけで虐められているのか? そんな事を考えていると、妹はギャル達に言い返す。「だからどうしたのよ! それより私を蹴った事謝りなさいよ!」「は? 
last updateLast Updated : 2026-07-28
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2話 春休みの特訓

 昨日柚希にどうすればリア充になれるか聞いた時の柚希の驚きっぷりを思い出して笑ってしまう。 あんな表情の柚希を見たのは初めてだ。 その後は「どうしたの?」「拾い食いでもしたの?」「生きるのしんどくなったの?」と散々な言われようだったが「何かあったの?」という質問に対してだけ答えた。「柚希が俺のせいで虐められた。だから俺は変わりたい」 俺がそう言うと「本気なの?」「ああ」 という短いやり取りの後「わかった! 私がお兄ちゃんを立派なリア充にしてみせる!」 という心強い言葉を貰った。 そして柚希の提案で今日からリア充に成る為の特訓をする事になった。 今の時間は朝の7時58分 朝から特訓するから8時にリビングに来てと言われている。 リビングのドアを開けながら「おはよー」と入って行くと「遅い!」 と、いきなり怒られた。「まだ8時になってないぞ?」 と反論すると「これも特訓の内なの。待ち合わせには常に5分前行動を心掛ける様に!」「す、すまん」 既に特訓は始まっていたらしい。 しかし、柚希の様子がいつもと違う。「っていうか、その喋り方はどうしたんだ?」 という質問に対して「私はお兄ちゃんに立派なリア充になって貰いたいの。だから厳しくいくからね!」 俺を思っての事みたいだけど、その喋り方は全然似合ってないな。「特訓って一体何をすればいいんだ?」 素直に疑問をぶつけてみる。「逆に聞くけど、リア充ってどんなイメージ持ってる?」 質問に質問で返されてしまったが真剣に考える。「えーっと、やたら騒いでて群れてるイメージかな?」 俺のイメージをそのまま伝えた。「なるほど~。じゃあ私のイメージは?」 柚希のイメージか。「いつも笑顔で明るくて、人懐っこくてみんなから好かれてるイメージかな」 俺の中のイメージをそのまま伝えると「そ、そうなんだ……」 と言い顔を赤くしている。「顔赤いぞ? 大丈夫か?」「だ、大丈夫だから!」 と言いながら顔の前で手をブンブン振っている。 やがて気を取り直して「お兄ちゃんが私に抱くイメージみたいに、やたら騒いで群れるだけがリア充じゃないんです! むしろお兄ちゃんがイメージしたリア充はクラスカーストだと上から2~3番目って所かな」「そ、そうなのか……」 流石トップカーストに属する妹さま
last updateLast Updated : 2026-07-28
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3話 姿勢と表情

 俺は今、リビングの壁に『踵』『お尻』『背中』『後頭部』をくっつけて直立し、お笑い動画を観てわざとらしく爆笑している。 うん。客観的に見るとキモイな。頭がおかしくなったのかと思われても仕方ない。 だが、これが柚希曰くリア充に成る為の第一歩らしい。 1時間程前に遡る――――――――「まずお兄ちゃんはコミュ力の前に色々足りてないの」 俺は真剣に柚希の言葉に耳を傾ける。「まず、その猫背! リア充で猫背の人見た事ある?」 そう言われハッとする。「居ない……な」「でしょ?」 そうか、俺はいつも派手な言動にばかり目が行っていたが、よーく思い出してみればみんな背筋がピンと伸びていた気がする。「猫背だけで自分に自信が無い、なんか暗そうって思われちゃうの!」 なるほど。「例えば、携帯ショップの店員さんいるじゃん? 色々なプランとか説明される時に自信なさげに猫背で説明されるのと、自信たっぷりに背筋をピンッと伸ばして説明されるのとどっちが納得しやすい?」「それは、自信たっぷりに姿勢よく説明された方が安心しやすいかな」「でしょ? それは学校という場所でも同じ事なの」 なるほど確かに。 そう考えると姿勢って大事だな。「あと、表情も大事!」「表情?」 柚希は軽く頷いて「そう!」と言い、顔の横に人差し指を立てて「お兄ちゃんが私に抱いてるイメージをもう一回言ってみて」「それは、いつも笑顔で明るくて、人懐っこくて男子からも女子からも好かれてるイメージだな」 さっきと同じ回答をする。 すると柚希は「そう! それ!」と言って俺の顔を指さす。「いつも笑顔でって言ったでしょ? お兄ちゃんは表情が硬いし、いつも口角が下がってるの。これって不機嫌とか暗いとかのマイナスイメージしかないんだよ!」 確かに俺はあまり表情豊かではないな。 でも口角が下がってるっていうのはどういう事なんだろう。「表情が硬いのは分かったけど、口角ってどういう意味なんだ?」 素直に疑問をぶつけてみる。「口で言っても分かりずらいと思うから見せてあげる」 そういって「よく見ててね」といい、両手で顔を隠した。 そして「どう?」と言いながら両手をどける。「え? あれ?」 そこには見慣れた柚希の笑顔は無く、少し暗い感じの顔をした柚希の顔があった。「じゃあ元に戻すね。今度は手で隠さ
last updateLast Updated : 2026-07-29
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4話 言葉の抑揚

 「はぁ、はぁ……」 直立したまま爆笑する事1時間、柚希の「もういいよ~」という言葉で俺は生き地獄から解放された。 慣れない姿勢で、しかも爆笑しながらの1時間は想像以上にキツかった。「お疲れさま~。大丈夫?」「いや、だいじょばない……」「ははは」 両手と両ひざを床に付いた状態で呼吸を整える。 しばらくして呼吸も落ち着いてきた時「じゃあ、この鏡の前に立って自分を見てみて」 柚希に促され何とか立ち上がり鏡の前に立つ。「これは……?」 鏡に映し出されたのは笑顔で姿勢よく立つなかなかのイケメンが居た。「柚希! こ、これって……!」 興奮しながら柚希に尋ねる。「それが本来のおにいちゃんだよ」 このイケメンが俺? 鏡に映った自分を見て驚愕していると「始めたばかりだからそんなだけど、これを続けて行けばもっと変わると思うよ?」「は? え? もっと変わるのか?」 今でも十分イケメンの部類に入るかもしれないのに、もっとイケメンになれるだと? 俺が半信半疑でいると柚希は自信ありげに言う。「兄妹なんだからもっといけるよ! それともお兄ちゃんには私がそこまで可愛く映ってないのかな?」「いやいや! 柚希は滅茶苦茶可愛いよ!」 俺が興奮気味に言うと「ふふ、ありがとう。 だからお兄ちゃんももっと上を目指そう?」 俺を諭す様に柔らかい口調で言ってくる。 ここは兄の意地を見せなければ!「ああ、柚希のお蔭で自信が沸いてきたよ!」 こうしてキツイ訓練が終わった。 と思っていたら「じゃあ、次の訓練に移りますか」 という天使の声色で悪魔の言葉がリビングに響いた。 「あー! あー! あ~。 あ
last updateLast Updated : 2026-07-30
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5話 話題の選択

 俺は自分のコミュ力の無さに打ちひがれていた。  家族相手にすらまともに話せないなんて……。「お兄ちゃんは会話には何が必要かわかる? って聞くまでも無いか」 再び言葉のナイフが俺を切り刻む。「何気ない会話にも相手や周りの事を考える必要があるの。相手が興味の無い話題を振っても相手は食いつかないし、その周りの人も同調出来ない。だから先ずは相手や流行りについて知る必要があるんだよ。流行りの話題だったらリア充なら当然把握してるしね」 という柚希からの有り難いお言葉を頂いた。「でもどうやって相手が興味が有るか無いか見分けるんだ?」 「ん~、お兄ちゃんの場合は観察から入った方がいいかな。クラス内を観察して誰と誰が仲がいいのか、クラスでどんな話題が流行ってるのかを観察するの」 観察なら得意だ。  伊達にいつも休み時間一人で過ごしてないからな。  あれ? なんだか悲しくなってきた。「あと、喋る時はキチンと自信を持って喋る事! 携帯ショップの店員の話ししたでしょ? 自信なさげに喋ってもスルーされるか笑いものになるだけだからね!」 「はい。肝に銘じます」 とは言っても喋り慣れてないから自信がもてないんだよなぁ。  自信持って喋った事がスベッたらどうしようとか考えてしまう。「その事を踏まえてもう一回やってみよう!」   それから何回も挑戦した。  柚希の学校の事や部活の事、友人や高校でやりたい事などを話題に出して、何度も繰り返し、何度もダメ出しを食らう。それを何度も何度も繰り返した。「う~ん、及第点ってところかな」 「やったー! ってか疲れた~」 やっと柚希からオッケーを貰えた。「お兄ちゃんにしては頑張ったね」 「まぁな。リア充になる為だしな」 俺がそう言うと、柚希は少し沈んだトーンで「私が虐められない為に……だよね?」 俺は一瞬言葉に詰まるが「まぁ、そうだな」 と返す。  すると
last updateLast Updated : 2026-07-31
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6話 髪型と服装

 翌朝、柚希に半ば強引に外に連れ出された。 何処へ行くのかと尋ねると「着いてからのお楽しみ」としか答えてくれず、柚希に引っ張られるような感じで歩く。 しばらく歩いて、駅前の繁華街までやってきた。 繁華街といっても大都市の物に比べると繁華街と言っていいものか困るが、一応俺の住む市では一番栄えてる場所なので気にしない。 結構人が居るのにスイスイと人を避けながらスムーズに歩いている柚希とは対照的に、俺は時たま肩がぶつかってしまい、思うように進めない。 柚希の姿を見失わない様に必死に後を追うと、柚希は目的地に着いたのかとある店の前で俺を待っている。 ようやく柚希に追いつくと「遅いよ~」 とお叱りを受ける。「それじゃあもうすぐ予約の時間だから受付に行って予約した佐藤です。って言ってきて」 と言い、柚希の後ろにある美容院を指差した。「え? 何で俺が?」「お兄ちゃんが髪を切って貰うからに決まってるじゃん!」 いやいや、俺が美容院? 無理無理無理無理! 美容院ってまさにリア充御用達感あるし、店員も凄い話しかけてくるしで、俺の苦手な物の一つだ。 「ま、まだそんなに伸びてないし切らなくてもいいんじゃないか?」 と、小さな抵抗をするが「ダメ! 身だしなみをキチンとするのもリア充には必須なの」「それはそうだけど……。店員に何て言って切って貰えばいいんだ? それに話しかけられたとき平常心でいられる自信ないぞ」 俺の言葉に柚希はニヤリと笑って「大丈夫! 今日カットしてくれる人はいつも私の担当の人だし、予約する時にある程度事情は話してあるから!」 なんて用意周到なんだ! と驚いていると「もう時間だから早く! 1センチ程カットして貰って、全体的に梳いてください。って言えば大丈夫だから!」 半ば強引に店に入らされた俺は、緊張と元からのコミュ力の無さで店員にどもりながら「あ、あの……。よ、よ、予
last updateLast Updated : 2026-08-01
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7話 実践訓練①

 自宅に帰って来た俺は昨日柚希から教えて貰った友達の情報を反芻して暗記していた。 春休みに入ってから今日まで色々な特訓をしてきたが、果たして上手く出来るか不安もある。 俺に特訓をさせた本人である柚希は「ちゃんと情報を整理しといてね!」 と言い残し、友人を迎えるための準備をしている。  しばらくして柚希に呼ばれリビングに向かう。 「もうすぐ来ると思うからお兄ちゃんは其処に座ってて」「わかった」 指示に従いソファーに腰掛けながら昨日から気になっていた事を聞いてみる。「あのさ、友達は俺の事知ってるの?」 俺の事とはつまり、中学の時ヲタクでぼっちで学年どころか学校中から避けられていた事だ。 高校ではまだそこまでではなく、いつも一人で居る暗い奴という認識だろう。 この間まで同じ中学に通っていた妹の友達が俺の存在を知っている可能性はある。 今回俺に協力する事で終業式の時の妹の様に周りから虐められたりしないか心配なのだ。 そんな心配をしていると「知ってるよ。勿論私のお兄ちゃんって事も知ってるから!」「そうか。 大丈夫なのか?」 虐められたりしてないかという意味を込めて聞くと「大丈夫だよ! それどころかお兄ちゃんに対してそんなに嫌なイメージは持ってないと思う」「マジで?」「うん。私が色々補助してたからね」「そうか。 悪いな」 中学で俺に対して悪いイメージを持ってないなんて奇跡的だと思う。 人は誰でも空気という物を読む。 その空気を読んで行動する人が多数だろう。 そして俺が在学していた時の中学の空気は『佐藤友也=悪』という方程式が成り立っていた。 なので俺に味方したりすると『空気の読めない奴=悪』という方程式に組み込まれ、俺と同じように『悪』として扱われてしまうのだ。 だからこそ妹の友達が俺に悪いイメージを持っていないという事にビックリした。 しかしそれは、柚希が『佐藤友也=悪
last updateLast Updated : 2026-08-02
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8話 実践訓練②

 俺がやらかしてしまったと後悔して謝ろうかと考えていたら『取り乱してすみませんでした!?』 と、急に謝られてパニックになる。  謝るのは俺の方じゃないの? 何で染谷さんがあやまるの? 等考えていると、一つの答えにたどり着いた。  また柚希がフォローしてくれたんだと。  なんて兄思いな妹なんだ! 今度お礼をしなくちゃなと考えていると、柚希が俺の隣に座って耳打ちしてきた。「お兄ちゃんは悪くないから、さっきの調子で話して」 え? 俺は悪くないの? ってかさっきの調子で話せって……。  とりあえず柚希の指示に従ってれば問題ないのかな?  そう思い、さっきの件で少し萎縮してしまってる染谷さんに話しかけた。「謝らなくてもいいよ。気にしてないから! 染谷さんもどうぞ座って」 という俺の言葉に一瞬驚いた様な顔をしたが直ぐに笑顔になり俺の向かいの席に座る。  それを見届けてから改めて自己紹介をすると「さっきはすみませんでした」 「はは、それはもういいって。でもなんであんなに驚いてたの?」 出来るだけ軽い感じで聞く。「えっと、失礼かもですけど、中学の時と大分雰囲気とか違ってたので、別人だとおもってました……」 おお! 第三者から変わったと言われた! これは柚希の特訓の成果なのだろう。  もう少し踏み込んでみるか。「今の俺はどう? 変じゃないかな?」 「い、いえ! 全然!? っていうかむしろカッコイイと思います!」 俺がカッコイイ? まぁ自分でもそこそこイケてるんじゃないかと思っていたがやはり第三者、しかも女子から言われると現実味が増すなぁ。  ニヤけそうな顔を鍛えた表情筋で押さえつけて、なるべく軽いトーンで答える。「ありがとう。染谷さんにそう言って貰えてうれしいよ」 「い、いえ! ホントの事ですから!」 なんだこの爽やか青年は! 本当に俺か? これも特訓の成果なのだろうか?  などと考えていると、染谷さんが顔を少し赤くして「あ、あの! 私の事はゆずが呼んでる様にめぐって呼んで貰って構いませんから!」 「うん、わかった。じゃあよろしく、めぐ」 そう言うと、染谷さんもとい、めぐの顔があからさまに赤くなった。  やっぱり恥ずかしいのかな? 無理してなければいいけど。「それじゃあ! わ、私は友也さんって呼
last updateLast Updated : 2026-08-03
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9話 違和感

「へえぇ~。じゃあ高校でもテニスは続けるの?」「はい。でも軟式から硬式に変わるので不安はありますけど」「めぐなら大丈夫だって! それに私も居るしね!」「ゆずは運動神経いいから羨ましい~」 めぐが協力を申し出てから三人で会話の練習という形で雑談していた。 俺は事前に柚希から聞いていためぐの情報を元に話している。 兄妹が居なく一人っ子な事、成績が学年2位の秀才な事、ソフトテニス部だった事、意外にもラノベを読んでいる事、そして俺と同じ咲崎高校に通う事等を駆使していた。「じゃあ中学からはウチの高校に来るのは柚希とめぐだけなんだ?」「はい。通学が楽な地元の高校に行くみたいです。それに咲崎高校は進学校で偏差値が高いので諦めてるみたいですね」「だからめぐが協力してくれると凄い助かるの! 流石に高校で私一人じゃ限界があったから。ホントにありがとね!」 そういう理由もあって今日の特訓の相手がめぐだったのかもしれないな。 そして柚希の思惑通りにめぐが協力を申し出た。 一体どこまで計算してるんだろう。「あ! もうこんな時間。そろそろ帰らないと」 というめぐの言葉で既に17時を過ぎている事に気づく。 ただ会話していただけなのに時間が経つのが早く感じた。  「ごめんね~、遅くまでつきあわせちゃって」 「ううん、私こそ無理言って手伝わせて! なんて言っちゃったし」 「それは全然大丈夫だよ~。二人で協力してお兄ちゃんを立派に育てよう!」 「おい! 俺はペットじゃないぞ?」 「「はははっ」」 今日一日で大分会話できる様になった気がする。「友也さん、よければ連絡先交換しませんか?」「う、うん。そうだね、交換しよう」 女子から連絡先を交換しようと言われて動揺してしまった。 でもしょうがない。 今まで同性にすら聞かれたことなかったし。 連絡先の交換を終え「これからよろしくお願いしますね、友也|先《・
last updateLast Updated : 2026-08-04
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10話 自己顕示欲

 俺が柚希の発言に戸惑っていると「あ~あ、上手く行ってると思ったんだけどな~。でも、流石の洞察力だね。普通の人なら気づかないんだけどね」 と笑いながら言った。「どこまでが計算なんだ?」 素直な疑問をぶつけると、柚希は薄く笑って「質問が違うよお兄ちゃん。何処からが正解だよ?」 その言葉を聞いて俺は背筋が凍った。 俺は恐る恐る尋ねる。「もしかして、ギャル達に虐められていたのも?」 俺の中で何かが崩れていく「せいか~い」 意味が分からない。何でそんな事を……。「お兄ちゃんが通るだろう時間にあいつらを呼び出して、私があいつ等を焚き付けたの。案の定お兄ちゃんは私があいつ等に囲まれてる所を目撃してくれた。その後は悲劇のヒロインを演じるだけ。正義感の強いお兄ちゃんは自分の所為で妹が虐められてると知ったら必ず変わろうとする。全部計算通りだよ」 そんな話を楽しそうに話す柚希。 今までの特訓も何もかも柚希の思い通りだったわけか。 だとしたら、めぐは? 「めぐは? 親友だって言ってたよな? そんなめぐも利用したのか?」 そうだ。柚希はめぐが親友だと言っていた。 めぐも柚希を大切に思ってる事も伝わって来た。 だが、そんなめぐすらも柚希は……。「うん、利用した」 何の感情も無く平坦な声音で柚希は肯定した。「なんで……どうしてそんな事が出来るんだよ? 親友だって言ったのは嘘だったのか!?」 俺は怒りの余りつい語気が強くなってしまった。 それでも柚希は表情を変える事無く淡々とした声で「うるさい。 お母さんたち起きちゃうでしょ」 と言うだけだった。 俺はカッとなり柚希の肩を掴んで、怒気を孕んだ声で言った。「どうしてこんな事したんだよ!?」 怒
last updateLast Updated : 2026-08-05
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